第16話 黒百合の女神
また調べてみるね、とトレニアは帰っていった。
私は、久しぶりにちゃんと寝ようと思って、枕カバーとシーツを換えた。
黒百合の女神のことが何故か気になり、とても練習に手がつかなかったから。
(おばあちゃんに聞いたら早いんだろうけど)
どうして知ってるか、まず話さないといけないし、そうすると、ノア様の話も全部しないといけない。
私の心を重くしてる理由は、きっとそこなんだ。
ノア様はおばあちゃんの元カレ。
100歳をとっくに越えているうちのおばあちゃん。
ノア様と結ばれることはなかったから、私が生まれた。
……私がどうこういえることでは、ないけど……。
おばあちゃんは、きっとノア様が死を選ぶのを最後まで反対したに違いない。
好きな人ならそうする。
……黒百合の女神とやらは、どうしておばあちゃんの説得を聞いてくれなかったのだろう。
本人に聞かなきゃわからないだろうけど。
「出てきてくれないものかしら」
無理無理。
灯りを消して、布団を頭まで被った。
もう寝よう。
■
……ギシ。
ベッドの端に、重みがかかった。
(……?)
いつの間にか寝てしまったらしい。
目を開けると、ベッドに腰掛けている、女の姿があった。
「あなた……誰?」
「こんばんは、リリー・ロック」
「……あなたは……」
白い肌が闇に浮かんで見える。
「ノアから話は聞いたわ。魔法が使えるようになりたいんでしょう?」
「……ええ」
「力の使い方を教えてあげましょう。あなたが望めばだけど」
人間じゃない。
間違いない。
長い長い黒髪、アメジストの瞳。
「ついていらっしゃい。私を見つけられたら、あなたの力になりましょう」




