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【完結済】へなちょこリリーの惚れ薬  作者: 水樹みねあ
第三章 雨の古城
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第13話 夢の中


 ……ふわふわする。


 ほうきに乗って飛んでる。

 私……空を飛んでいた。

 いつから魔法が使えるようになったんだろう。


「そうか夢か……」


 そうでもなきゃ、私が飛べるはずないもの。

 夢の中とはいえ、頬で風を受けるのは気持ちいい。


 眼下に、城が見えてきた。


 あのバラ園だ。

 私がよく似た子が泣いている。

 長い赤毛。黒いワンピースを着ている。


『ノア様……どうして』

 

 真ん中に深い穴が掘られている。

 その中に眠っているのは……。


 ノア様。



「どうして!?」


 私は空から、ノア様に土がかけられているのを見ていた。


 体が、すーっと、城から離れた。




 あれは、ラウネルの村。


 激しい怒鳴り声が聞こえた。あの女の子と、知らない美女。


『黒百合、あんたどうして、どうしてあんなことを言ったのよ!!』

『私は、お前の望む答えを教えてやっただけ。敵を国に侵入させないためにどうすればいいか、と』

『ノア様を人柱にするなんて……!』

『あの子が望んだことよ。希望者を人柱にするのが最も良い。そうすれば、この森を迷いの森に変えて、侵入者から国を守れる』

 彼の、望み?

『ノア様は、この国の将来に必要な人なんだ』

『ノアが人柱にならなければ、明日にでもこの国は滅びる』


 長い黒髪の美女は、薄ら笑いを浮かべている。


『ローズ。私が決めたことだ』


 あの女の子の前に、音もなくノア様が現れた。

 ローズ?


『でも、ノア様、あなたが死んだら……』

『この国を守るんだ。君にしか頼めない。黒百合の女神の守護を持つ君にしか』


 ……あの黒髪の美女のことらしい。


『君にしかできないこと。君がやるべきことなんだ』




 私の命を使って、この国を守れと彼は繰り返し説得している。


『永遠の闇なんてない。肉体が滅びても、必ずめぐり合える』

『そんな保障どこにもない、私は嫌よ、どうして死なないといけないの』

『私は世界中で君だけを守りたい』


 彼らの会話が遠くなり、私はまたバラ園に戻ってきた。


『黒百合の女神。私の力で戦を終わらせる』

『本当にいいんだね』

『戦いを終わらせるんだ』


 黒い髪の美女。

 黒百合と呼ばれていた。



 ……やめて。


 やめてよ。




 お願い、ノア様を殺さないで!





『私の力によって、ノア、あなたの魂はこの城に留まり、永遠にラウネルを守る森となる』





「やめてーーーーーー!!」






 私の声は届かない。

 彼が倒れ、泣き叫ぶ少女の声が、途切れて消えた。

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