第01話 惚れ薬作ろう!
~森で素敵な人を見つけたので惚れ薬飲ませてみることにした~
「惚れ薬を作って、クラスの女子に売ったら大儲けできるんじゃない?」
ある朝、友人のトレニアが言った。
「……アホか!」
「なんでよ!」
「惚れ薬あったら、あたしが使いたいよ!」
私はリリー。
そして、私たちは魔女の卵。学校で魔法と常識と読み書きと、その他雑多なおおよそ生きていくために必要な知識を学んでいる。
ここはラウネル。
山と森と周囲を大国に囲まれた、小さな国。
「じゃあ、早速作ろうか!」
「あたしの話聞いてる!?」
「作ってみて、成功したら売ればいいんだよ」
気楽に『惚れ薬を作ろう』と言い出した彼女は、トレニア。
学校でいじめられっ子だったあたしを助けてくれた。
「大丈夫よ、なんたってあたしは超絶美少女天才トレニアだからね!」
「自分で言う?!」
まあ、少し自信過剰なところがあるけど、頭がいい。口ケンカはめっぽう強いし、超絶ではないけど、ほどほどの美少女ではある。
少し声が大きい。
「トレニア、惚れ薬なんて、どうやって作るの?」
「材料探しからやりましょ。この本に載ってたから」
「……本に載ってるものなの?」
「リリー、甘いわね。これからは魔女も情報の時代よ」
そうなんだ?
その情報はどこからと聞いたら、図書館で本を借りてきたと笑う。
「えっと、材料はっ、と……」