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A morbid illusion(病的な錯覚)  作者: 超人合体ハシライン
プロローグ
4/15

プロローグ4(自覚症状)

前回→布団がふっとんだ→風穴祭り

俺が振り返った先では、布団に風穴が開いていた。


林田「解ったかよ?」

土岐「解ったかって何がだよ?」

林田「お前も強情な奴だな、俺が聞いてんのはお前の能力についてだよ」

土岐「だから!俺には能力なんて!」

林田「いい加減にしやがれ!!」

土岐「っ……」

林田「いいか、もうお前は()()()()ではなくなっちまったんだ、お前が自覚して行動しない限り、お前の兄と同じような犠牲者を、今度はお前が生み出しちまうんだぞ」

土岐「俺はそんなことっ!」

林田「しないってんのか?自覚もなく布団に風穴開けて、尚且つ人の胸倉を掴んでる奴が?お前は今のままじゃいずれ間違いなく人を殺す」

土岐「俺は…俺は……」

林田「お前にとっては辛いことかもしれねーがな、俺はお前みたいな奴を放っておくことなんて出来ねーんだよ」

土岐「何で……」

林田「御影賢治、お前が知らないはずないよな?」


俺は無言で頷く。


林田「一昨年の夏、俺の妻の真菜もあいつに殺されたんだよ、100人以上の人の人間を一方的に虐殺したあの悪魔に」

土岐「えっ?」


俺は知らなかった事だが、林田は同じ事件の被害者の親族、自分と同じ立場だったのだ。


林田「いいか?強い力っていうのはな、多くの物に影響を及ぼすんだ、だからお前のその力も考えて使わなきゃいけないんだ、使う必要がない時に感情任せに使ってしまったらお前も、御影と同じ犯罪者になっちまう」


林田は後ろを向いていつの間にか開いていた窓に近寄る。


林田「お前は最初、周りに余りにも興味がなさすぎた、お前の中には他人に構っていられないほど大きな感情があるんじゃないかと思っていた、だから俺はお前について調べさせてもらった。」


そして窓際に近付き、俺に振り向き窓枠に腰かける。


林田「正直驚いたよ、野球好きの響が連れてきた野球に興味のない新入部員が、まさか俺と同じような経験をしていたなんて思ってなかったからな、だからお前は俺の言っている事が解るはずだ」


林田は俺に向かって手を差し出す。


林田「俺はお前を見続けてきた、お前は優しく、誰よりも人の為に動ける人間だ、俺はお前を御影(あいつ)と一緒にはさせたくない、俺に……お前を救わせてくれ」


知らず、俺は涙を流していた、一時期、自分は一人になってしまったと思っていた。

両親は幼くして他界し、親戚はなく、唯一の肉親であった兄は一昨年前の夏に大量殺人事件の被害者として亡くなった。

その頃中学に入学したての俺は元々、高校に入らず、就職をする予定だったので、2年だけ施設に入ることになった。

そこでは、話しかけてもあまり反応しない不気味な奴として、異物扱いされた。

そんな時に先輩が話しかけて来てくれたのだ。

先輩は学校の先輩でもあるし、施設の先輩でもある。

同じ中学の後輩が事件の直後に同じ施設に入って来て、最初はどう接すればいいか解らなかったそうだ。


響「俺なんか両親が帰って来なくて餓死寸前で保護されたんだぜ?」


彼が施設で俺に話してくれたのだ。

彼の父は女癖が悪く、最悪1月近く帰って来ないこともあったそうだ。


響「母については父の浮気に愛想が尽きて出ていった、母が居た頃は食事もあったのだが、母は父の面影がある俺を連れて行ってはくれなかった。」


そして、父はますます家に帰らなくなり、父の置いていった金も底をつき、食料もなく、保護された時には布団の綿を喉に詰まらせて、虫の息だったそうだ。

そんな彼の経験を聞かされて俺は、自分だけが辛い思いをしていた訳じゃないんだと思えた。

先輩と打ち解けてから俺は、周囲の人達とも打ち解けて行った、部活に仲間は出来た。

でも、どんなに仲間が出来ても、心を許せるのは先輩だけだった。

(だけど今目の前にいる人は、同じ苦痛を共有出来て、俺を見てくれている。)

先輩が俺に部活を進めた時の一言が不意に蘇る。


響「顧問の先生が良い先生なんだけど、ぶっきらぼう過ぎて勘違いされやすいんだ」


そうか、先輩は多分この林田先生が俺の心の支えになると予感していたんだ。

そして俺は()()の手を取った。


林田「あんがとな、信じてくれて」


俺は嗚咽を漏らしながら首を横に振って一言言った。


土岐「いいえ、俺の…方こそあり…がとう…ございます」

林田「あぁ、もういたたまれないからあんまり泣くんじゃねーよ、ったく」


先生はぶっきらぼうに言いながら俺の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でる。


林田「とにかく、お前の為には、その能力の使い方と、患者(ペイシェント)となってしまったお前の為の居場所が必要だ、だからお前にある組織を紹介する」

土岐「ある組織?」

林田「兆候(サイン)犯罪者取締局(オフェンダーコントロールオフィス)通称SOCOだ」


先生が言った組織の名前に聞き覚えはなかったが、恐らく何をする組織なのかは理解できた。

先生、バスケがしたいです。

更新遅くなってしまって申し訳ありません、なので今日中にもう1話位上げる予定です。

取り置きがないので更新は何時になるか確定出来なくて申し訳ありません。


6/1 13:29

林田「ありんがとな、信じてくれて」

林田「あんがとな、信じてくれて」


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