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女装男子とお見合い前のお嬢様とブラコンの妹。  作者: 岬ツカサ
一、女装男子と嘘と彼女
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ブラコン登場!!

――自宅

「ただいまー!」

「お帰り、おにぃ!」

 ツインテールをポヨポヨ弾ませながら出迎えてくれるのは妹の(あい)。ビー玉のように真ん丸な大きな目がチャームポイント。

 ちなみに僕がユウキで妹がアイ、アニソンの歌詞に由来するのは言うまでもないよね。

「バレなかったでしょ!」

 矢継ぎ早に藍が続ける。

「うん、バレてはないと思う」

「むっふー! 当然だよ! おにぃは元々華奢で女の子みたいな体プラスきゃわいい顔してるんだから! 私がメイクを伝授した今となっては――もはや本物の女の子と言っても過言では無いね!」

「過言だよ! 褒められてるからってスルーできるものじゃ無かったよ!? ……確かに容姿はそれらしくなってると思うけどさ。でもまだまだ改良するところがあるもん」

「あるもん! きゃわいいですねぇおにぃ。食べちゃいたいです! 本当に食べちゃおうかな」

「肉親にそんなこと言われるなんて夢にも思わなかったよ」

「ユウキーちょっとこっちに来なさい」

 キッチンから母さんの呼ぶ声がした。

「やぁん、やめておにぃ! くっ付いていたいのー!」

 僕は腕に巻き付いている藍を振り切ってキッチンに向かう。

「お帰りなさい、高校初日はどうだった?」

「あぁ、楽しかったよ。友達もできた」

「あらあらまぁまぁ! よかったわね! 母さんはてっきり、女装がバレてでも余りの可愛さに男子に言い寄られて、勢いで押し切られたユウキは人生初の彼氏をゲットできてしまうかもって思っていたわ」

「息子を心配する親心と作家の願望が入り混じってるよ!?」

 母さんはいわゆるヤオイ系の小説家で、男子同士の恋愛が大層お好みだ。僕が女装が趣味だと告白した時にも怒るよりもニヤニヤする方が先だった。

 でも今日は一応親として僕の学校生活がどうなるか心配してくれてたからよしとしよう。

「あらあら、心配しているのよぅ?」

「よだれを垂らしたまま言っても説得力というものは生まれないのですよ?」

 藍がヤレヤレと嘆息気味に母さんに言った。

「でも本当に気をつけなきゃだめよ? 男の子だってバレちゃったらお母さん庇いきれないわ。せっかくお友達の理事長に頼み込んであげたんだから、うまくやってね」

 僕は学校に女の子として入学している。僕が男だと知っているのは理事長だけだ。母さんが理事長と知り合いで頼んでくれたらしいけど……ヤオイ作家の頼みを聞き入れるしかない理事長(五十八)っていったいどんな性癖なんだ……あまり考えないことにしよう。

「おにぃ! べ、別に晩御飯食べたら藍の部屋に来てもいいんだからね!」

「なんでいきなりツンデレ風になったのかは知らないけど、行くよ」

 僕が女装を始めてからずっと藍がメイクとかを教えてくれている。竜宮寺さんの相談を受けたのも実は藍の力を借りれば何とかなるかもと思ったからだ。

 今日も女装講座をしてくれるつもりなのだろう。優しくていい妹だ。

「あらあら、二人とも仲良しねぇ~、お母さん嫉妬しちゃうわ」

「えへへ、おにぃきゃわいいから好き!」

「はいはい、母さんは仕事の〆切が近いんだから頑張ってください。ご飯食べられるのは母さんのおかげなんだから」

「あら、お母さんだけ仲間はずれなのね……兄妹(きょうだい)でやっちゃいけないことしちゃだめよ」

 母さんはそう言ったけど、妹から女装の仕方を教わるのはやってもいいことだったのだろうか? はてさて疑問は増えるばかりだ。





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