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女装男子とお見合い前のお嬢様とブラコンの妹。  作者: 岬ツカサ
二、女装男子と嘘とお見合い
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 ――どうやって着替えよう。

 このままじゃ僕の裸が見られてしまうし、竜宮寺さんの裸を見てしまう。いや、見れるものなら見たいけど……ここは危険を冒せない。

「藍、ちょっと……」

「なぁに? あー! おにぃ、水着可愛いね!」

 藍に小声で話しかける。水着を持って笑顔を浮かべる藍は僕の心配など毛ほども感じていないみたいだ。

「ちょっと、僕が着替えるの手伝って欲しいんだけど」

「へ? い、いやいやおにぃ? そんなマニアックな要求を妹にしないでよっ! おにぃに水着着させるとか……はぅう、恥ずかしいよぉ!」

「そうじゃなくって! 僕が着替えるのを竜宮寺さんに見つからないようにしてってこと!」

「な、なんだそう言う事……分かったけどどうすればいいの?」

「とりあえず僕と竜宮寺さんの間に入って視界を遮ってくれればいいよ」

「ガッテン!」

 僕は竜宮寺さんの方を見ながら着替えを始める。竜宮寺さんはいくつかの水着を見比べてどれがいいか迷っているみたいだ。

 いまならイケるッ!

 パンツを先に下ろしてまずはノーパン状態になる。スースーして気持ちが悪い。そこで初めて水着を手に取った僕は驚愕し硬直する。

「ビ、ビキニ……ッ!?」

 そう、水着は白のビキニだったのだ。しかもビキニラインが三十度となかなかの切れ込み具合を見せていた。

「あらあらおにぃ、そんなの穿いちゃったらおにぃのオニィが大変なことに!?」

「おにぃのオニィって何のこと!?」

「何って……おち――」

「分かった! 言わないでいいから、とりあえず藍は竜宮寺さんの方を見てて!」

「え~! だって花音ちゃん水着に夢中って感じで全然こっちに興味無いみたいだから張り合いないんだもん」

「ないんだもん、じゃなくて見張ってて! 僕だけの問題じゃ無いんだからね!?」

 そう、兄の僕が女装趣味、しかも女の子として学校に通ってることがバレればどれだけの人を巻き込んでしまうか、想像もできない。

「ちぇ~」

 藍は渋々竜宮寺さんの方を向きなおす。分かってくれたようで結構。

 さて、僕はこのビキニをどう穿きこなすかを考えねば。しかしこれどうすれば……。

「うん! 考えていても始まらない! とりあえず穿いてみよう」

 早速足を通してみる。

「こ、これはッ!?」

「ど、どうしたのおにぃ!」

「あ、藍どうしよう……膨らんじゃう」

「え? 膨らむ? ……ビキニパンツを穿いたマッチョ同様、モッコリーナってことだね、おにぃ!」

「モッコリーナでは無いと思うけど、まぁ目立つ感じになっちゃってる」

「ふぅ~む、困ったねぇ」

 これは確かに困った。女物の水着を着るのは初めてだったから完璧に失念していた。

「じゃあ……足の間に挟んでみれば? ほら、ちっちゃい子がよくやってるみたいにさ」

「は、挟む!?」

 確かに男なら誰しもやったことのある『挟んで女性になる』行為だけど、そんなうまいこといくわけ……まぁでも物は試しだよね。息子を股に挟みこむ。

「――ッ!?」

 ごくり。

「どうしたの、おにぃ! なんか凄い息飲むのが伝わってきたけど?」

「藍! 成功だ! 今僕は……完璧に女の子になったよ!」

「え、えぇ!? ちょっと見せて!」

 藍が振りかえり僕の下半身に目を落とす。

「お、おにぃ。いや、おねぇ! すごいよ! まるでギロチンで切り落としたかの様なスッキリ感だよ!」

「うん、おねぇはやめようか」

 なんか本当にそっちの組合の人になってしまいそうで嫌だ。

 そして僕の可愛いオニィをギロチンで切り落とすなんて、そんな恐ろしい事考えたくもない。

 しかし、改めて自分で見てもスッキリした外見になっていて、ここに棒があるなんて思えなかった。いやまぁ、股の間に棒の存在は感じているんだけどね、ひしひしと。すごく内股になってるし。

「夕貴、着替えは終わったのか? なんだまだ下しか穿いてないのか!」

「あ、花音ちゃん来ちゃった」

 いつの間にか学校指定のスクール水着を着用した竜宮寺さんが近くに来ていた。胸の大きさが大きさだけに、抑えきれずにはち切れんばかりの盛り上がりだ。というか、散々迷ってスク水をチョイスするあたり特訓の成果が窺えた。

「ちょっと、こっち来ないでよ!」

「ん? まぁ恥ずかしがるな、女同士ではないか! 何か恥ずかしい物があるわけでもあるま――」

「竜宮寺さん?」

 竜宮寺さんの舐めまわす様な視線が下半身から徐々に上半身に移り、僕の胸元で止まった。

「――まぁその、大きさは個人差があるものだ! 恥ずかしがることは無いのだが……少々無神経だったようだ。すまん」

 そう言って後ろを向く竜宮寺さん。なんか前にもこんなことがあった気がする。あの時も胸の大きさばかりに注目されて、下半身は見られなかった。先入観って怖いよね。

 まぁでも、自分の胸に感謝をしたのは生まれて初めての経験だった。

「……っぷ! あーはっは! にゃはははは!」

 横で様子を見ていた藍が腹を抱えて笑っていた。まったく、兄の女装がバレるかも知れなかったのに呑気な妹だ。



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