お見合いにツンデレはよくない
「ツン……デレ!? 聞いたことがあるぞ、普段はツンツンしてるのに時折みせるデレとのギャップで高感度が上がり易いという、魔性の性格!」
二人で目をカッと見開く。どうやらツンデレの凄さは竜宮寺さんも知っているらしい。まぁツンデレの定義は時代と共に移り変わってしまうものだから、細かいところは言いっこ無しだ。
「そう、そのツンデレに竜宮寺さんはなれる!」
ツンデレと言えばツインテール、ツインテールと言えばツンデレ! この二つは離すことができない言わば最高のマリアージュ! ワインのソムリエも絶賛すること請け合いだ!
「私が、ツンデレ……いやしかしそれは無茶なんじゃないか?」
「そんなことは無いよ、『らき○た』のかが○んだって容姿は可愛い系では無くて綺麗系なのに、性格がツンデレというだけで時には妹の可愛さを上回ることがあるじゃない!」
そして服がメイド服なのもまた点数が高い。メイドなのにツンツン、そしてデレデレ、堪らなく可愛いんじゃないのかひゃっほう!
「う、うむ。『ら○すた』が何かは分からないが、夕貴がそこまで熱意を持って言うのならそうなのだろう。しかし私はどうすればツンデレになれるのかが分からない」
「それなら僕に任せといてよ!」
僕は懇切丁寧に竜宮寺さんにツンデレとは何たるかを説明する。
――十分後。
「分かったかな?」
「う、うむ。べ、別に夕貴のおかげで分かったわけじゃないんだからね! 私の頭脳があったからこそ、あんたの下手な説明でも理解できたの! でも……まぁお礼を言ってあげないことも無いわ。えーと、その、ありがとう……ね?」
新しい竜宮寺さんが誕生していた。
「よし! じゃあこれでさっきのお見合いシミュレーション行ってみようか!」
「わかった、夕貴がそう言うなら、やる」
なぜか既にデレ期に入っている。
よし、台本を用意してもう一度挑戦だ。
「ご趣味は?」
「べ、別にスポーツなんて好きじゃないんだからね!」
うん、まぁなんか「べ、別に~だからね」って言っておけばいいんでしょ? みたいな安易な考えが見えるけど、まぁそこら辺は深く追求したら可哀想なので今は目を瞑ろう。
「スポーツですか、具体的には何をするんですか?」
「スクワ――テニスだからね!」
見え隠れするスクワットへの情熱!
「是非、ご一緒にやりたいものですな」
「え? だ、誰もあんたとやりたいだなんて言ってないんだけど!? まぁでも……どうしてもって言うんだったら、相手してあげてもいいわ」
ツインテールを手で払いながらそう言い放つと、頬を赤く染めて後ろを向く。振り向いたときにふわりと舞うのもいい感じだ。実に可愛らしい。
でもこれは……。
竜宮寺さんと目を合わせて頷きあう。お互いに言いたいことは決まっているみたいだ。
「「お見合いに出る態度じゃないな(ね)!!」」
「ご、ごめん。僕がツンデレなんかをお勧めしたから……」
「いや、失敗は成功の元だ。もっと他にお勧めの性格は無いか?」
「それだったらまだまだあるよ!」
昨日の晩に必死に藍と色んな性格パターンを考えたからストックだけはまだまだある。
「うむ、ではそれを次々に試してみよう。私とマッチする性格があるかもしれない」
竜宮寺さんは手を胸の前でグッ握り込む。彼女の真剣さは嫌でも伝わってくる。
「よし、じゃあ次はクーデレでいってみよう!」
「よし来たー!」
こうして僕達はあらゆる性格(ツンデレ、ヤンデレ、クーデレ、イタ可愛い、ウザ可愛い、天然、小悪魔、悪魔、小坂大魔王、委員長、お嬢様、おっとり、活発)を試すことにした。もちろんその性格ごとに髪形も変えた。今となっては僕は竜宮寺さん専属のヘアメイクさんと言っても過言ではない。
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