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第一部 第三話

 ダンジョンが異世界へ開通してはや一週間が経過した。

 その間侵入した人間の数は僅かに五名。

 これを少ないか、多いか、どう捉えるかはそれぞれだろうが、リュウセイにとっては少ないと感じていた。

 そこからダンジョンの在り処が人通りの少ない場所、ないし秘境に近い場所なのだと推測する。

 ダンジョンマスター及び、ダンジョンに生息する魔物は逆進行が出来ない。

 という“原則”により、どの場所と繋がったのか知りえないのだ。

 冒険者なりを生け捕りにすれば、その限りではないのかもしれないが、尋問の方法など知る由もなかった。

 だが、それもここ暫くだろうと考えている。

 その理由は手に入れたアイテム、いや、魂にあった……


 アイテム名:絶望せし貴族娘の魂(高品質)

 ランク:4

 効果:配合に使用可能。配合時に使うことで配合結果に影響を与える。

 補足:とある貴族の娘が遊び半分で護衛とダンジョンに入り込み、結果ゴブリンなどに陵辱の限りを尽くされ、絶望しながら果てた結果生まれた魂。

 非常に暗黒質のエネルギーを保有し、邪悪な魔物を生み出すのに適している。


 他にもランク2程度であれば幾つか手に入っているのだが、これだけは別格であった。

 ランク4とは、ステータスにあったヘルプ機能によると、準ユニーク級と呼ばれる魔物が存在し始める階級である。

 準ユニーク。その階層において一体しか存在できない、同ランクの魔物より優れた存在。

 また、再召喚には同じく素材を消費しなければならない制限がある。

 能力も然ることながら、成長性も高く、まさしく今のリュウセイには喉から手が出るほど欲する存在であった。

 幾つか配合の表示を試してみれば、案の定準ユニークと思わしき配合例が出てくる。


 レイス×レイス×絶望せし貴族娘の魂(高品質)

 =????(非常に強力な個体が生まれそうだ)


 レイスは数日前に創り出した4層目、そこに生息している雑霊ランク1の上位個体である。

 ランク2でありながら、霊属性を持ち、物理を無効にするという優秀なスキルを保有している。

 反面魔術全般に弱いようだが、同階層にはタフで知られるゾンビと、少数のグールが同じように生息しているため、相性がいい。

 薄暗い靄に包まれた湿地帯で、足が取られることはもちろん、先の見通し難い視界が天然の罠となり行く手を阻む。

 コストがギリギリであった為、罠の類は仕掛けられなかったが、現状4層中、最難易度を誇るのは間違いない。

 

 そして今回はこの生まれるだろう準ユニークの個体を、“5層目の守護者”にしようとリュウセイは考えていた。

 ダンジョンとは5層毎にボスを設置しなければならず、またそれは必ず準ユニーク以上でなければならない。

 この制約のおかげで、5層を作り上げることこそが、ダンジョンマスターにおける最初の登竜門であると言われている。

 今回運がよかったのか、高ランクの配合素材を得た為上手くいったが、そもそも配合スキルがなかった場合は考えたくもないだろう。


「悩んでも仕方ないしな。さっさと配合してしまおう」


 仮にも貴族の娘が行方不明となれば、ここらに捜索の手が伸びる可能性は高い。

 そうなれば、折角見つかりにくい位置にあるダンジョンが露呈されかねなかった。

 できるだけ早く5層に切り札を生み出し、ダンジョンを強化していかなければならない。


「配合スキル起動……」


 言葉にする必要はないが、気分で口に出せば不思議な感覚が身を包む。

 対象の魔物、2体のレイスが蒸気のような霊体を溶け合いながら一つとし、輝き出す。

 そこに禍々しい靄を放つ絶望せし貴族娘の魂を近づける。

 すると、白色に輝いていた光はその光量を増し、ドス黒くも禍々しい色に移り変わる。

 吹き込んでもいないのに強い風が発生し、着ていたマントがはためく。

 明らかに何時もと違う配合の様子に、僅かな緊張とわくわくとした感情が湧き上がる。

 一際強い光りがダンジョンマスターの間を照らし出した瞬間、そこにはぼろぼろの黒のローブ、フードのような物を着込んだ美しい少女が宙に浮いていた。


「ぅ……ぁ…あぁ……ぅっ…うぅ……」


 うめき声のようなものを上げてはいるが、襲ってくる様子はない。

 最近知ったが、基本よほど自身より強力な魔物でもない限り配合において生み出した魔物が逆らうことはないと知っている。

 ヘルプによれば忠誠度が25を上回っていれば基本的に安心だと書かれていたからだ。

 

「霊体なのが残念なほど、綺麗だな……」


 リュウセイは知らないことだが、その面立ちはこのダンジョンで無念のうちに果てた貴族の少女のものだった。

 アメジストのような輝きを持った艶やかなロングストレートの髪の毛。

 白というより、青白く背景が透けた肌。

 絶望と、嘆きに染まりながらも幼さの中に光る均整の取れた容貌。

 朱色の唇はまるで男を誘うかのようであり、漏れでる悲哀すらどこか艶やかだった。


「……きれ、い?」


 配合されてから、ずっと嘆きの慟哭ばかり呻いていた少女がそこで初めて顔を上げリュウセイと視線を合わせた。

 瞳は困惑に揺れている。その姿はまるで迷子のようだと思える。


「ああ、その紫の髪も、アメジストのような瞳も、俺は見たことない。とても綺麗だ」


 容姿も地球で希に見る以上だったが、そこまでは流石に臭いかと自重する。


「ぁり、がと…ぅ……」


 小さく囁くような声だったが、確かにリュウセイの耳にそれは届いた。

 それまで絶望しか見せなかった表情が、一瞬の間だけ笑みに変わる。

 まるで萎れていた花が久方ぶりの日と水を得て、めいっぱいの大輪を咲かせたかのような。

 そんな錯覚さえ覚えるほど、その儚げな笑みは美しかった。

 貴族の少女であった頃の記憶はほぼ全て忘れてしまったが、それでもその紫の容貌により受けた虐待の記憶は残滓として残り、己は醜いのだと今でも信じていた。

 ゴブリンに陵辱された記憶はなくとも、ひたすら己は不幸なのだと思い込んでいた。


 目を覚ませばしかし、目の前の偉丈夫は美しいと口にする。

 うっすらと、自分が元は人間だったのだと知りながらも、原因は目の前の人物だと感じながらも。

 それでもいいのではないかと。

 切実に彼は“自分”を必要としてくれているのだから。

 

 


 その様子をリュウセイは黙って見つめていた。

 少女の、いや、バンシーの揺れ動く感情の機微を。

 これが“配合”にて植えつけられる感情操作の結果なのかと。

 感じる感情が偽者だと知らない。今や絶望と悲哀を振りまく魔物、“バンシー”と成り果てた少女に何を感じるものもない。

 この肉体となってから、人間的な感情は確実に磨り減っている。

 それを残念だとも、怖いことだともリュウセイは思わない。


「バンシー。君には第5層の守護者をしてもらう。君が頑張れば頑張るほど、その胸に抱えた絶望が、悲哀が、薄れていくだろう」


 こくりと従順に頷くのを見て、先に確認したバンシーのステータスをもう一度視認する。


種族:バンシー

属性:魔・死・霊・夜

特攻:人・聖・獣

特性:準ユニーク

ランク:4

クラス:暗黒魔法使い

称号:嘆きと悲哀の幽霊

忠誠度:75

レベル:1


能力値:STR(D)VIT(C+)INT(B)WIS(B) DEX(C+)AGI(C)CHA(C+)


成長性:STR(D)VIT(C)INT(B)WIS(A) DEX(C)AGI(D)CHA(C)


耐性値:斬(F)打(F)火(6)水(9)風(9)雷(6)土(9)光(5)闇(C)無(5)特(9)


スキル:暗黒魔術(35)暗黒闘気(15)ライフハンド(50)

霊体(80)聖属性虚弱(35)貫通攻撃(20)

    状態異常攻撃《衰弱・麻痺》(20) 夜・死・活性化(15)


補足 :レイスの上位亜種、嘆き女の亜種個体。

    深く絶望した魔法的資質に優れた貴人の魂が堕落し、魔物化した存在。

    ランク4ではあるものの、その厄介さ、実力はワンランク上に相当している。

    様々な暗黒魔法を扱い、触れた者の生命力を奪うライフハンド、物理を無効化する霊体属性。

    聖属性以外の属性耐性を増す暗黒の闘気。

    更には一部の防御スキルを透過する貫通攻撃に、状態異常付与にオマケに自分以外の夜と死属性の味方の能力活性。

    どれも厄介なスキルであり、レベルの上がったバンシーは最早英雄を持って打倒するほかにない程だと言われている。


一言 :「……必要だと言ってくれたあなたの為に多くの生贄を」


 実に破格の能力であった。

 他の雑魚とは比べるまでもない強力さだ。

 レベルが上がれば一層の活躍が期待できるだろう。

 5層毎の空間は一体しか魔物を配置できない代わりに、その魔物のステータスを丸々ワンランク底上げする効果を持つ。

 この場合バンシーなら、WISだとA相当になるということである。

 加えて、一層ごとに一体だけ魔物を指揮官設定という枠を当てることができるのだが、個体ごとにこれで新たなスキルを獲得できる。

 更にギミックを幾つか仕掛けることも可能であり、予定としては生命力促進、魔力供給力場をリュウセイは考えている。


 正直5層目の配置ボスとしては相当強力だろう。

 10層目以降で十分通じるステータスなのだから。

 指揮官スキル、地形効果、様々な付与を加味すれば、大規模なダンジョンの下層の魔物にすら匹敵するかもしれない。

 このような魔物がまだまだ存在するのかと思えば、否が応でも奮い立つというものだ。



 その後、残りの魔力を使い、さっそくリュウセイは5層目の創造へと踏み切るのであった。


後書き


魔物の案を当作品では募集しています。

以下はテンプレです。

種族:

特性:(ユニーク、準ユニークのみ表記)

ランク:

クラス:

称号:

レベル:

能力値:STR()VIT()INT()WIS() DEX()AGI()CHA()

成長性:STR()VIT()INT()WIS() DEX()AGI()CHA()

耐性値:斬()打()火()水()風()雷()土()光()闇()無()特()

スキル:

補足:


 指揮官化した時に得られるスキルも一緒に書いてくださると助かります。

 (スキルお任せでも構いません。こちらで設定します)


 ユニーク、準ユニークとは?

 あとで本編にも出ますが、こちらでも。

 ユニークはそのダンジョンで一体しか生み出せない強力な成長性や能力を秘めた魔物。

 準ユニークは階層に一体しか設置できない、階層ボス的な魔物。


 それと、能力値に関してですが。

 基本的に能力値Dで一般人。

 Cでベテラン、Bで一流、A~S超一流、天才。

 それ以上=天蓋、規格外。

 成長性も同じようなものだと思ってください。

 耐性値に関しては平均値を5と定めています。


 特攻や属性はこちらで特徴などから設定します。

 忠誠度も同上。

 一言は忠誠度で変化しますので、これもまた、です。

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