第一部 第二話
「なんだこれ。名も無き盗賊の魂?」
ダンジョンがどこぞの異世界に通じておよそ三時間が経過した頃。
インベントリ機能という、いわゆるRPGお馴染みの異次元収納スペース一覧をみると、見慣れない名前がnewと表示されていた。
アイテム名:名も無き盗賊の魂(低質)
ランク:✩
効果:配合に使用可能。配合時に使うことで配合結果に影響を与える。
ダンジョン機能にある魔物一覧表に表示された個体数が減ってるかと思えば、盗賊が侵入していたらしい。
結果その盗賊は死に、ドロップアイテムとして魂がインベントリに転がり込んだのだろう。
また、特筆事項としてはリュウセイのレベルが二に上昇していることか。
能力値こそ大幅な上昇という訳ではなかったが、最大魔力保有量が伸びたおかげでダンジョン四層を作成できそうであった。
「これなら先ずは少なくなった魔物の補充。次に新階層の増築、その後召喚と配合……かな?」
一度召喚した魔物は再召喚するとき、必要魔力量は五分の一で済む。
どんな原理なのかさつぱりであったが、自然交配しない魔物などに対してはなくてはいけない機能だろう。
さっそくダンジョンスキルを使用し、召喚コマンドから失った配下を再召喚補充していく。
ステータスの魔力量が七割まで減ったのを確認し、数時間の仮眠を取る。
今の肉体には睡眠欲といったものはないのだが、眠れない訳じゃない。
魔力を効率よく回復させるにも必要なことであり、下手をすれば地球に居た頃より眠っているかもしれなかった。
「四層を作る前に、先に配合を試してみるか……」
やはり魔物の配合というのは非常に心惹かれるものだ。
地球では某クエストなモンスターズを結構やり込んだものである。
最強のスライムを育成するのは、きっと誰もが通った道に違いない。
ワンダーランドの配合結果で出る???の文字には、誰もが心躍らせただろう。
ワクワクとした気分で配合スキルを意識することでアクティブ化する。
現在配下の魔物一覧が表示され、それを二体選べば、次にアイテムを使用するかどうかで確認が出る。
試しにはいを押せば、ずらりと様々なアイテム名が並んだ。
盗賊の魂は勿論、岩やら土やら樹木やら、水やらと、そのへんに転がってるようなものまでだ。
これには流石に驚いたが、逆にその自由性に興奮する。
自由性があるという事は、恐らくはそれだけ結果も豊富ということだ。
先ずはと、幾つかの組み合わせを表示だけ試してみる。
配合
スライム×スライム=スライムロード(ランク3)
(配合に使用するスライムのレベルが足りないため、実行出来ません)
スライム×樹木=フォレストスライム(ランク1)
スライム×岩=ロックスライム(ランク1)
スケルトン×スケルトン=ハイスケルトン(ランク2)
(配合に使用するスケルトンのレベルが足りないため、実行出来ません)
ゴブリン×ゴブリン=ハイゴブリン(ランク2)
(配合に使用するゴブリンのレベルが足りないため。実行出来ません)
グレイハウンド×グレイハウンド=グレイルハウンド(ランク2)
(配合に使用するグレイハウンドのレベルが足りないため。実行出来ません)
ゴブリン×グレイハウンド=コボルト(ランク1)
スケルトン×名も無き盗賊の魂=スケルトンシーフ(ランク2)
ゴブリン×名も無き盗賊の魂=ゴブリンシーフ(ランク2)
スライム×名も無き盗賊の魂=水精(ランク2)
とりあえず、思いつく程度に組み合わせを表示していくと、大体このような結果におさまった。
どうも、同種同士で掛け合わせると基本的には上位種が生まれるようだが、条件があるようだ。
自然物との配合は、その特性を受け継いだ、亜種といったところだろう。
人間の魂も自然物の配合に近いようだが、まだ色々確認が必要である。
とりあえず、水精とコボルトを作成することにする。
配下の魔物をダンジョンマスターの魔に召喚し、配合を実行。
するとどうだろうか、まるで二つの魔物が溶け合うように混じり合い、光り輝いたかと思えば一体の魔物へと変わったではないか。
スライムもなにやらモヤモヤしたものと融合され、光り輝いたかと思えば変貌していた。
コボルトは二足歩行する犬のようであり、茶色の毛並みと瞳がどこか愛嬌を窺わせる。
水棲は半透明かつ水色をした少女……いや、幼女といった風情だ。
衣服をまとっておらず、どこかぼぉーとした様子で佇んでいる。
わざと靴で石畳をカツンと鳴らせば、ハッとしたかのように二体の魔物がこちらを見つめてきた。
その瞳に反逆の意思は見えず、逆に忠誠のような感情が揺れている。
まだ確定とはいえないが、配合で生まれた魔物による反逆は今のところなさそうであった。
この配合、予想以上に魔力を消費するらしく、仮眠で回復した魔力は実に残り三割まで減っている。
自然回復しかできない現状、起きてれば一日。
睡眠による回復でも半日近くかかるだろうか。
これでは四層作成はできないなと、その作業は次の日に決める。
とりあえずと、一度配合した魔物は召喚が可能なようなので、残りの魔力で数体召喚。
水棲は最大コストギリギリまで密林の沼付近に配置。
コボルトは草原と洞穴に数体ずつ放つ。
これなら四層目は湿地帯などにした方がいいかと考えつつ、リュウセイは二体の魔物のステータスを確認し、再び仮眠を取ることに決める。
種族:コボルト
属性:亜・魔・獣
特攻:蟲
ランク:1
クラス:雑兵
称号 :忠実な犬
忠誠度:95
レベル:1
能力値:STR(E)VIT(E)INT(F+)WIS(F) DEX(F+)AGI(F)CHA(F)
成長性:STR(F+)VIT(F+)INT(F+)WIS(F) DEX(F+)AGI(F)CHA(F)
耐性値:斬(4)打(4)火(3)水(5)風(5)雷(4)土(6)光(4)闇(6)無(3)特(3)
スキル:忠実(15)拙い知性(8)肉体戦闘(3)側面攻撃(5)
補足 :二足歩行を可能とする獣人の祖の一つ。
犬の性質を持ち、それなりの力とタフさを備える。
一言 :「コボルトウラギラナイ!!」
種族:水精
属性:水・聖・亜
特攻:魔・火
ランク:2
クラス:精霊
称号 :無邪気な水精
忠誠度:75
レベル:1
能力値:STR(F)VIT(F+)INT(E+)WIS(E+) DEX(E)AGI(F+)CHA(F)
成長性:STR(F)VIT(F)INT(E)WIS(D) DEX(E)AGI(F)CHA(F)
耐性値:斬(6)打(5)火(8)水(C)風(8)雷(2)土(4)光(9)闇(4)無(6)特(5)
スキル:水魔術(8)擬態(12)拙い知性(15)潜伏(10)
補足 :この世界では精霊も魔物の一種である。綺麗な水源地に棲む。
姿は幼い少女に擬態しており、基本的には襲ってくることはない。
一部の好事家に人気がある。
一言 :「……みずはあなたとともに」
次は17時頃投稿
感想は今回以降のより返事を返します。




