プロローグ
ドラゴンクエストモンスターズって面白いよね。
テリーのワンダーランドは今でも鮮明に覚えている。
2014 1/21
設定変更などを結構行いましたので、最新話まで30分区切りで投稿し直します。
『オメデトウ、キサナリュウセイクン。キミノネガイハカナウダロウ』
「はっ?」
気づけば、見知らぬ場所に居た。
といえば頭がおかしくなったと思うだろうか。
だが現実問題として、彼、鬼里無隆聖は今自分がどこにいるかが分からなかった。
陳腐な物言いかもしれないが、黒のみに支配された空間。
そう表現するのが適切な場所だ。
足元もどこかふわふわと浮つき、地面なのかさえ判別できない。
そんな中で唯一、自分と対面に存在する真っ白なシルエットだけが、どこからかスポットライトに当てられ暗闇の中主張している。
『ソノヒョウゲンハショウショウザンネンダナァ。ヨンダダロウ? ワタシタチヲ、キミハ』
本来なら声を出すには適さないものを無理やり震わせ、理解できる言語を発してるかのような、不快な声が心外だとばかりに笑って口にする。
一言喋るたび、神聖とも言える白のシルエットが歪み、奇妙な形を幾つとも作り出す。
直視に堪えない異形は見るものの正気をすり減らすだろう。
(そうだ。俺は学校から帰った後、古書店で買った怪しい魔導書をグーグル先生を使ってなんとか読み解き、書かれた内容を……)
「まさか……」
『ソノマサカダ。アノホンニハワレワレヲヨビダススベガカカレテイタ。キミハソレヲシラズニジッセンシタヨウダネ。ダガ、ケイヤクハケイヤクダ、シゴノタマシイヲダイカトシテ、ネガイヲカナエヨウ』
「まっ、待て、まてまて!! 契約!? なんのことだ、俺はそんなこと知らないぞ!!」
喚き散らさないだけ、まだ幾分冷静なのかもしれないが、それでも実際のところ現状に心は悲鳴を上げていた。
今まで、日常を望み、非日常を望んできたつもりだが、なんの準備もなくこんなことになるなんて思ってた訳じゃない。
そもそも契約なんてした覚えがないし、代価として死後の魂だなんて、あまりに不吉すぎて冷や汗が止まらない。
『キミガエガイタマホウジン、ソノナイヨウハケイヤクダ。シゴ、エイゴウノクルシミトヒキカエニ、ユウズウノキクネガイヲヒトツカナエルトイウ。スデニネガイハジュリサレタ、キミノヨクボウヲカナエヨウ!』
まるで嬉しそうにシルエットがおぞましい声を響かせて告げる。
その白が大きく伸び縮みし、幾つもの形を産み出し、それぞれが訳のわからない呪文めいたものを唱え出す。
心の底に恐怖を植え付け、聴く者を発狂させるかのような音の羅列に、目眩を感じる。
(なんだ、これ……すごく、ねむ……)
僅か一分も経たず冒涜的な詠唱は終わりを迎え、隆聖は誘われるがままに眠りへと落ちていく。
『ノゾミハカナッタ。ソレデハシゴニマタアウ。キミノタマシイハドンナゼッキョウヲアゲツヅケテクレルノカ、イマカラタノシミダ』
――シルエットの名は千の無貌。
数多の次元世界を千の化身で干渉せし者。
名を口にするのもはばかられる悪神でありながら、気まぐれに奇跡を起こしたりもする。
今回も本来なら召喚足りえない儀式に参じ、矮小な人間の願いを面白半分で叶えたに過ぎない。
「ここ……は…?」
ふと目が覚めれば、ズキンッと頭部が痛んだ。
我慢できるギリギリとも思える頭痛が断続的に続く。
石畳のような地面に座り込み、呻きながらもようやく痛みが治まった頃、自分がどうなったかを思い出した。
誰かに話せば一笑に伏されるような出来事。だが真実起こった事実を反芻し、ここはどこだと見渡す。
「はっ? 行き止まり、いや。部屋……なのか?」
正方形のような石壁に囲まれた出口のない部屋。
それが隆聖が感じたこの場所の印象。
灰色をした人工的な石畳は勿論、煉瓦的に組まれた天井や壁にも入口の類が見当たらない。
(閉じ込められた? いや、そもそも俺の願った願いってなんだったんだ?)
まさか密室に閉じ込められたいなんてのが願いだとは、思いたくはなかった。
とりあえずと、広さを確かめるように部屋中を歩き回り、不安に高鳴る心音を無視しながら地面に耳を当て、壁を叩き反響音を調べていく。
結果、一つの突破口と、残念なお知らせが判明した。
やはりというべきか、この部屋に出口はなく、壊すこともできそうにないこと。
音の類は全く持って拾えず、どこを叩いても硬く重い音しか返ってこないこと。
少なくとも、人間どころか人外の膂力でも外に出ることはできそうになかった。
「……あっ?」
心が絶望しそうになった瞬間、ぽんっ! と、コミカルな音をたててそれはひらひらと地面に舞い落ちた。
メモ長を乱雑にちぎったかのような一枚の紙片。
そんなものはくまなくこの部屋を探したが存在していなかった。
だが実際に紙片はどこからともなく舞い落ち、足元で存在を主張している。
半ばやけくそ気味にそれを拾い、裏返せばびっしりと日本語で様々なことが書かれていた。
活字は嫌いじゃない方であったが、それでもそう大きくもない紙片に細かな文字は読む気をなくさせる。
とはいえ貴重な現状を把握する手がかりだと、読みすすめてみれば……
――要訳。
己は安易な契約召喚により神を呼び出し、死後の永遠なる苦痛を代価に内に秘めし望みを叶えた。
叶えられる範囲は神により様々だが、少なくとも隆聖が引き当てたその神にとって、現状を叶えることは容易いことらしい。
アフターケアもバッチリだと書かれている証拠に、ご丁寧にも“ステータス”なるシステムを用意してくれたようだ。
実際書かれたとおりに念じれば、半透明のホログラフっぽいウィンドウが視界に映ったのを確認している。
また、今居る場所が“狭間界”と呼ばれる、あらゆる多元世界同士を繋ぐ境界内であること。
実時間で一週間後、あらゆる多元世界と段階を経て繋がること。
そのままでは生命の危機間違いなしだが、願いの一環として、それに抗う能力を与えられていることなどが大雑把に書かれていた。
《ステータス》
名称:《入力して下さい》
種族:吸血貴族
属性:魔・不死
特攻:聖・人・神・獣
クラス:ダンジョンマスターLV1
サブクラス:配合士LV1
称号:ひよっこダンジョンマスター
レベル:1
能力値:STR(D+)VIT(C)INT(D)WIS(C+)
DEX(E+)AGI(D)CHA(D+)
耐性値:斬(C)打(C)火(5)水(6)風(9)雷(7)土(9)光(5)闇(F)無(7)特(A)
成長性:STR(SS)VIT(S)INT(S)WIS(SSS)
DEX(A)AGI(A)CHA(SS)
スキル:ダンジョン創造(99)万物配合(99)超再生(65)魔眼《石化・魅了》(50)カリスマ(35)
補足:異世界からやってきた哀れな元人間。
これがステータス項目の“一つ”である、ステータスの内容だ。
能力値や成長性は比較対象がないため判然としないが、それなりに高いのではないかと隆聖は睨んでいる。
レベル1でありながら能力値はそこそこに思えるし、成長性に至っては高水準だと言えるのではないか。
属性は恐らくそのまんまの意味だろう。特攻も大体の予想は付く。
問題は耐性値というやつだが、ヘルプ機能という部分にある参照項目。
その内容によれば、物理の斬撃、打撃耐性、5大属性に対する耐性、光と闇の属性耐性、そして特殊な効果に対する耐性とあった。
また、数値は1~9までの次はアルファベットでA~Gまで存在し、1~9までは一段階増す毎に、その対応する属性のダメージその他に対して5パーセントの耐性補正になる。
Aからは10パーセント刻みになりFで無効、Gになるとむしろ相手に有用な効果となってしまう。
火や光に弱いのはやはり吸血鬼だからだろうか。
それでも優秀といえる範囲かもしれないが。
スキルこそ戦闘系は無いものの、詳細を見ればかなり有用なものが多い。
ダンジョン創造はそのままの意味であり、生命線とも言えるスキルだ。
魔力と呼ばれるものを代価にこの閉じた部屋を拡張したり、新たな階層を作り出したりその他もろもろが可能である。
万物配合はサブクラスによる恩恵スキルであり、効果はあらゆるものを結合させ、一とするとだけ書いてある。
超再生は肉体の一割以上が残っていれば、逆再生でもするかのように肉体を復元してくれる自己回復スキルだ。
魔眼は色々種類があるようだ。石化、魅了意外にも戒め、圧迫・弱体・封印など様々のようである。
最後のカリスマはその人物の魅力に恩恵を与えてくれる。
「色々突っ込みどころはあるし、文句も言いたいけど。少なくとも、これなら一週間後すぐ死ぬなんてことはない、か?」
とは言え、やることは山済みだ。
先ずは魔力を消費し、このダンジョンに新たな階層を生み出さなければいけない。
その次は配下となる魔物とやらを生み出したり、階層を複雑化したり、施設を充実させないといけないだろう。
一週間でどこまでやれるか分からないが、出来なければ待つのは死であり、そして永劫の苦痛だ。
――――願いを叶えたという割りには、中々HARD仕様だなと頭痛を感じながら、早速ダンジョンクリエイトを開始した。
後書き
能力値は+-含めてSSS~F
成長性は+-無しでSSS~D
スキルの数値はその習熟度的な、あるいは性能的な。
例:~~活性化(対象の素ステの数値に活性数値分のパーセントを上乗せ)
例:貫通攻撃(数値分以下の特定防御スキルを無効。貫通10であれば、物理防御9持ちまでを無効など)
この物語は、魔物と魔物、あるいは魔物と人間、魔物と無機物を配合。
今だ見ぬ新たな魔物を生み出していく物語。
思いつき、突発なので、完結するきはない。
物語ではなく、魔物や能力、ステータスとかそんなものにニヤニヤするだけ。