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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界に親友と共にトリップして彼の付き人として頑張りました!!

作者: ヒジリ

完璧超人の青年の親友をやっている青年の話

長かった・・・

異世界に来て苦節三年。

ようやくこの日を迎えた。


「勇者カズマ、魔王を倒しくれて有り難う御座います。あなたのお陰で世界は救われました」


「いえ、僕だけの力ではありません」


物語で言うところクライマックス。

魔王を倒した勇者がその功績を讃えられるエンディングの部分・・・

美しい姫(今は女王陛下)に讃えられる超美形の勇者。

実に絵になる二人、正直映画を見ている気分だ。

周りの人達も二人の姿に酔いしれている。

そして・・・


「勇者様、本当に帰ってしまうのですか?」


キター!!!

異世界トリップのお約束帰還フラグ。

帰還しようとする主人公ゆうしゃを引き留めとめる姫・・・

でも勇者は・・・


「はい、僕の役目は終わりました。それに此処の住人でない僕がいるとよけいな争いが起きるかも知れませんし・・・」


「それは・・・」


「それに向こうに大切な人達がいますから」


引き留める姫を優しく諭し帰還を望む勇者。

勇者の言葉に姫は・・・


「そうですか、貴方には返しきれない恩が有ります。ですがそれが貴方にとって負担になるのなら仕方ありません。不誠実な我が身が情けない」


「陛下、先ほども言いましたが全て僕の力でなし得た事ではないのでそこまで気に病む事は有りません。それに陛下は突然異世界に放り出された僕達を保護してくれて尚且つ帰る手段を用意してくれた、それだけで十分です」


「カズマ・・・」


うわー、何この掛け合い。

同じ人間なのに次元が違うね、色々と。


「わかりました、共に旅をし戦った仲間として貴方の帰還を喜びましょう。準備は整っています」


「有り難う、ソフィ」


あれ、思いのほかあっさりと・・・

もうちょっと甘い雰囲気なると思ってたんだけど。

一正カズマの奴、姫さんのフラグ立て忘れたのか・・・?


「女王陛下、準備整いました」


「ご苦労様、エリカ」


あ、考えてる間に準備が終わったぽいな。

今姫さんと話してるのは魔王討伐の旅を共にした仲間の一人僧侶エリカ、回復魔法が得意な女の子。

年は15才、旅の仲間で最年少。

因みに俺と一正は高二でこの世界に来たから今は19才(姫さんは俺達と同い年)。

ついでに旅の仲間は後一人いるが諸事情の為この場にいない。


「イチさん」


ん、いつの間にか目の前にエリカがいた。


「どうした、エリカ?」


「帰っちゃうんですか?」


小動物を彷彿させる女の子のエリカが少し潤んだ眼で俺に問い掛けてきた。

因みに俺の名前は田中一郎あだ名はイチ。


「ああ、そのために一正の後についていてたからな。大して役に立って無かったけど・・・」


いや、完璧超人二枚目の幼なじみ勇者様と比べるとおこがましいくらい力の差があったし。

実際戦闘は自分の身を守るので手一杯、役に立ったのは料理を作る事ぐらい。

地球にいたときから家事は得意です(キリっ!!)


「そんな、そんなこと無いです!!」


「え、エリカ!?」


まさかの全力否定。

エリカさん、どうしたのそんな泣きそうな顔で・・・

なんかギャルゲーのワンシーンみたいになってるんですけど。


「イチさんのお陰でわた「イチ、少しいいですか?」姫様・・・」


エリカが何か言いかけたところに姫さんが話しかけてきた。


「姫さ、じゃなかった。女王陛下何か・・・」


「クス、今までどうりでかまいませんよ。貴方にかしこまられると少し違和感がありますし」


「姫さん、何気にひどい」


あ~、王位についても変わらないな。

周りの騎士たちは凄い眼で睨んできてるのに(若者連中が・・・)

金髪碧眼、顔立ちは一流モデルが裸足で逃げ出すぐらい整っている。

剣を取って戦う姿は光の戦乙女ヴァルキリーといわれていて民や騎士達に大人気。

一正と2人並ぶと凄く絵になる(二人のラブロマンスが本で出ていて大人気らしい)

一緒に旅してるときもそこそこ仲良かったからな・・・


「イチ、今まで有り難う御座います。貴方とカズマのお陰で我が国と世界が救われました、本当に有り難う」


「姫さん・・・」


姫さん、優しいな~

あまり役に立てなかった俺にまでそんな言葉を掛けてくれるなんて・・・

よし、こうなったら漢田中一郎初めて本気でかっこつけます!!


「姫さん、いやソフィ。それはこっちのセリフだ、右も左も分からない世界に放り出されて困っていた俺達を君は助けてくれた、もし君が助けてくれなければ俺と一正はこの日を迎えて無かったと思う・・・」


「イチ・・・」


「それに・・・」


いけ、イチこれできめる!!

昔からの幼なじみ(一正の妹)に言われている締まりのない顔を引き締めて・・・


「君と過ごした時間が俺の支えになった、今まで有り難うソフィ。王様頑張れよ、向こうで応援してるぜ」


姫さんにそう言って一正が立っている魔法陣に向かって歩いていく。

なんとか言い切った、最後少しさむかったけど・・・

グイ

あれ、なんか服の袖を掴まれた感覚が?

掴まれた方を見ると・・・


「姫さん?」


俺の服の袖を掴んで顔を俯かせている姫さんがいた。

 

「えと、姫さ「・・・やです」ん?」


俺の問いに彼女は・・・


「嫌です、イチ。私は・・・」


顔を上げて俺を見るその顔は涙に濡れていて・・・


「貴方と別れたくない!!私は貴方の側にいたい!!!」


涙で潤んだ眼で俺に訴えてくる。

あれ、おかしいぞ。

この立ち位置は俺じゃなく一正の立ち位置じゃ・・・


「イチ・・・」


あ、これはヤバい。

姫さんその先は言っちゃまず・・・


「わたし、ソフィリア・リ・エクリシアはイチロー・タナカを愛しています」


マジですか、お姫様・・・




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