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日本帝国記  作者: 浦波
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5.5 感謝と崇拝

今回始めて北郷以外の視点が出ます。


かなり北郷が美化されてます。

 長老サイド



 北郷様がこの地に降臨されてもう3年か。

この3年は私の今までの人生全てを合わせても足りないくらい濃い3年だった。


初めて北郷様に会った日は今でも昨日の事のように思い出せる。

何時も通り皆で晩飯を食べていた時、突如北郷様は現れた。

始め見た感じでは、長身で見たことの無い服を来ているよく分からない奴。というのが印象だった。

そのせいで無礼にもいきなり北郷様に槍を向けてしまった。

私の他にも数名の男達がそれぞれ武器を持って北郷様を警戒した。

今思い出すとなんと恐れ多い事をしてしまったと、あの時の自分を殺したくなる。


しかし寛大な北郷様は我々の暴挙には一切触れず、我々にありがたくも「私に従えば飢えを無くしてやる」と仰られた。

しかしそんな寛大なお心を持つ北郷様に対して私は信じられず、「何が出来る?」と言ってしまった。

全く、正に神をも恐れぬ諸行だ。

そんな私の態度にも北郷様は一切嫌な顔をされず、私の目の前に木の実や野菜の山を出現させるという奇跡を見せてくれた。

そんな奇跡を見せて頂いたのだから直ぐに従えば良かったのに、私はまだ疑っていた。

何か仕掛けがあるのでは? と。

全く、神が奇跡を起こすなど当たり前だと言うのに。

信じない私のために北郷様はもう一度、今度は肉の山を出してくれた。


この時、やっと私は北郷様が神なのだと信じ、跪き手を合わせて許しを請いた。

武器を向け、散々失礼な態度を取ったというのに、北郷様は全てをお許しになり、我々の臣従を受け取ってくれた。

まさしく神の如き慈悲だ。

いや、北郷様は神なのだから当たり前か。


北郷様はこの地に留まる事を決めてくれた。

もしあの時、北郷様が気分を害してこの地を去っていたらとんでもない事になっていただろう。

何しろ神を追い出したのだ。

必ずや我々に裁きが下っていただろう。




 北郷様は我々に様々な知識をお与え下さった。

今までは狩りをして生活し、不安定な日々を過ごしていた。

しかし北郷様が新しい農業法を伝授してくれたおかげで安定的に食料を得られるようになった。

我々では到底思い付かなかった水田や栽培、養蜂、塩田等々数えたらキリが無い程だ。


慈悲深い北郷様は更に石より丈夫で加工が楽な鉄や青銅の製造法も伝授してくれた。

これによって今まで木では大変だった農機具も鉄で出来るようになり、遥かに楽になった。

おかげで収穫は増え、更に我々は豊かになった。




 このように様々な知識を授けて頂いたのだから、豊かになった食料で我々が出来る最高に贅を尽くした食事を北郷様に出したのだが、北郷様は食事を一目しただけで「私はいらん。その食事は村の者達に分け与えるのだ」というお言葉をくれた。

何という慈悲深さ!

我々人間より遥か高位にあらせられる北郷様が我々人間に施しを下さるとは!


北郷様のお言葉通り、食事は村の者達と分け合った。

村の者達は普段中々食べられない豪華な食事を北郷様に感謝しつつ、喜びながら食べた。




 北郷様の慈悲深さはまだ留まる事を知らず、出産を終えた女に対して「出産後で体力が落ちているだろう」と肉や魚、果物等を下さった。

更には新たに子供が産まれた家には食料を優先的に配給していただける等、またもやとんでもない慈悲を下さる。




 まだまだ沢山あるのだが、数えていくとキリが無い程に沢山の慈悲を与えて下さる。

きっと北郷様は神の中でも最上位におわすに違いない。

今まで祈っても何もしてくれなかった神々と違い、北郷様はわざわざ下界に降りて来て下さり、直接与えてくれる。

このように慈悲深い神は北郷様以外にはいまい。



あぁ、北郷様。

私は、我々一族は貴方様に永遠の忠誠を誓います。

何なりとお命じ下さい。

貴方様のお言葉に間違いなど無いのですから。

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