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日本帝国記  作者: 浦波
51/55

50 終戦

今回もちょっと長いです。

 ローマ帝国は日本帝国からの条件を全て飲み、無事日ロ講和が調印されて日ロ戦争が終結。

同日に日ロ不可侵条約も締結されたのでこれでとりあえずの脅威は無くなった。



この突然の終戦にローマ市民は驚愕した。

噂ではかなりローマが劣勢と聞いていたが、まさか僅か30日で戦争は終わり、名目こそ講和だが明らかに日本有利な内容なので、ローマ帝国が負けたのだとハッキリと分かった。

領土の半分を失い、更には日本人がローマ領内で罪を犯してもローマの法では裁けない、関税も日本が自由に決めるなど「栄光あるローマ帝国が受け入れられる筈は無い」と当初市民は反発した。

しかし時間が経つにつれて日本との戦争に奇跡的に生き延びた兵士達が帰国し、どんな戦争だったのかを聞いてローマ市民も反発を弱めていった。

帰還兵達の話はとても信じがたい内容がほとんどだったが、嘘をついている様子は無いし、帰還兵全員が同じ証言をするので信憑性は嫌でも高まる。

それに軍の高官達や皇帝に仕えている侍従達や奴隷も主人から同じ話を聞いた事で、ローマ市民は真実なのだと悟った。


では日本とはどういう国なのかと、日本への入国を申し出る市民も多くいたが、講和条件にローマ人やヨーロッパ人の入国を禁じられているので入国申請は下りない。

マルタ島もまだ開発、整備が終わってないから公開されてなかった。

中にはどうしても我慢出来なくて密入国を試みた者達がいたが、全員帰って来なかった。

皇帝からの発表によれば、「日本帝国の法において、密入国をした者は原則全員即刻死刑とされるので決して密入国をしないように」と警告されたので密入国を試みる者は激減した。

尚、密入国した者の死体は火葬をした後、骨だけローマ帝国に渡され、持ち物や服から特定して家族に返還された。

特定出来なかった遺体は身元不明としてローマ帝国が埋葬した。




 日本との戦争こそ終わったが、これからがローマ帝国にとって大変だ。

日本との戦争で領土を半分失い、国力は急激に低下。

ローマ軍も日本軍との戦闘でかなりを消耗した。

ローマ帝国の国力と軍事力が大幅に低下した事に気付いたゲルマニアやガリア、ブリタニアなどの隣国の攻撃が強まった。

これにローマ軍は残存戦力を集結させ、ひたすら防衛に徹した。

確かに軍事力はかなり低下したが、それでもヨーロッパにはかなりの戦力が残っている。

それに戦争が早期に終了した事で残存戦力はそこそこある。

領土拡大には動けないが、今の領土を守ることぐらいなら十分可能だ。

逆に今まで東方やアフリカに分散していた戦力をヨーロッパに集中出来るからヨーロッパにおいてはむしろ力は増している。

属州や属国はかなり減り、奴隷の数も減ったが、腐ってもローマ帝国だ。

ヨーロッパでは以前として最強の力を持っているから負ける事は無く、領土を防衛出来た。


今はまだ国力の維持に取り組むしかないが、何れはかつての大国に戻るために領土を拡大するだろう。

史実と違い、北方も攻めてヨーロッパ統一を目指す。




日本サイド


 さてと、ようやくローマ帝国との戦争が終わったから新たに領有化した土地の整備をしなくてはならない。

先ずは「日本支配が嫌で、ローマ帝国に戻りたいという者はローマ帝国に帰って構わない」と宣言する。

ボスポラス海峡に渡し船を出し、ローマ帝国に返す。

別に日本支配が嫌なら出ていってくれて構わない。

日本人を大量に植民させれば労働力不足にはならないからな。


宣言を出した後、たまたまいたローマ市民の旅行者や技術者、ローマ市民では無いが位が高い者や一般市民も大量にローマ帝国に帰っていった。

しかし中には先祖代々の土地を離れたく無い者、金が無くてローマ帝国に行っても仕方ない者、日本とはどういう国なのかと興味津々で自分から残った者、奴隷階級で日本の支配に望みを託す者などかなりの数が残った。

そこでもう一度宣言する。

「これがローマ帝国に帰る最後の機会だ。

これ以降はローマ帝国への入国を禁ずるので、この機会を逃すとローマ帝国に帰る事は出来なくなる」と警告した。

残った者達の中には「日本支配が住みにくかったらローマ帝国に移れば良い」と考えている奴がいるだろうし。


すると案の定、新たにローマ帝国への帰還を申し出る者達が現れ、渡し船でローマ帝国へ帰っていった。

その後にも「今ローマ帝国に渡るなら餞別としてある程度の資金や食料を支給する」と、金が無くて嫌々残っていた奴等も追い出す。

渡した資金とは旧硬貨である金、銀、銅貨だ。

ローマ帝国の貨幣とは違うが、良質なので値段は高いだろう。

それにローマ帝国も外貨が欲しいだろうから価値は更に上がる。

別にローマ人はいらないからな。

1から教育しなきゃいけないからむしろ邪魔にしかならない。

だから追い出せるだけ追い出し、本当に残りたい者だけを選別した。


結果、ほとんどの者達は出ていった。

残った者は日本に興味がある者、先祖代々の土地を離れたくない者などだ。

ローマ人やローマに憧れを抱いている者達はローマ帝国に行った。

まぁこれである程度振るいにかけられたから良いか。




 さて、本格的な支配のために政庁や役所の建設する。

占領直後から建設を始めていたから間もなく完成する予定だ。

後はインフラ整備だ。

ローマ帝国には原始的な上下水道はあるが、管理はしにくいので解体し、現代式に変える。

他にも戦争で邪魔な建物は粗方破壊したが、残ってるのをもあるから解体して広い道路を整備する。

と言っても全部破壊する訳ではなく、邪魔にならない地域の建物は重要文化財として保存する。


学校を建設して残った奴等を洗脳するために義務教育をさせる。

ローマ市民ならまだしも、属州民は地位が低いからロクな教育を受けていない。

奴隷として働く者達が多いからな。

だから先ずは奴隷から解放し、平等に三等国民にする。

そして今まで受けられなかった教育を受けさせる。

雇用についても北郷商会や日本資本を進出させて大量に作る。

戦争や区画整理で家を無くした者達にはマンションや借家を建てて住まわせる。

家賃は10年間無料だ。

10年経つと普通のマンション同様家賃を払わなくてはならない。


これだけでも現地住民にはかなりのカルチャーショックだ。

今までローマ人以外は差別され、ロクな仕事にも就けなくて奴隷をやるハメにもなったというのに、日本支配になってからは奴隷制度は無くなり、無料で学校に行けるようになった。

住まいも用意してくれ、職も豊富にあるから仕事に困らない。

だからと言って賃金が安い訳ではなく、きちんと生活出来、税金もほぼ無い。

店には様々な商品が置いてあり、店自体も洗練されたデザイン性が高い。

今までも上下水道やインフラはあったが、日本支配に変わってからはローマ支配時代が原始時代に感じる程に発展した。

もう昔には戻れない。

そう思う者達がほとんどだった。




 次はマルタ島の整備だ。

マルタ島は鎖国してた江戸時代の出島の役割をさせる。

まぁこの世界の日本も鎖国してるから江戸時代と変わらないか。

自国以外とは極力関わらないようにしてるし。

と言っても史実の日本と違い、世界の8割近くを支配してるから別に鎖国しても不便は無い。

内需で十分やっていける。


マルタ島は貿易特区に指定されているので民間人の立ち入りは禁止だ。

島に住んでいる日本人は全員国家公務員で、ラテン語を話せる。

ちなみに外国人との結婚や性行為は禁じられている。

もし破れば両方とも死刑だ。



マルタ島のみ通貨を旧式の金銀銅貨にし、ローマ人にも分かりやすくする。

そしてヨーロッパ原産の植物や動物などを買う。

高値で買い取ると言えば何でも持ってくるだろう。

逆に売るのは胡椒や唐辛子などヨーロッパでは手に入らない調味料やチョコレート、コーヒー、紅茶など食品。

木綿などから化学繊維や合成繊維などの衣類や生地。

日本刀や長弓、クロスボウ、防具などの武器。

バイオリン、チェロ、フルート、トランペットなどの楽器。

酒、タバコなどの嗜好品。

家具や食器などの調度品。

ダイヤモンドの指輪やプラチナのリングなどの装飾品。漢方、鍼灸、あんま、整体など東洋医学を中心とした医療技術や医薬品。

つまりヨーロッパにはまだ無い物を売る。

そうすりゃ買ってくれる。

合成繊維やガラス製品などこの時代の技術ではあり得ない物も沢山売るが、作れる技術はまだ無いし、多少技術の進歩が早まっても問題無い。


ただしレートは高く設定してあり、ローマ通貨は複雑で分かりにくいから分かりやすくドル換算すると、1ドルが1万円ぐらい。

そこに更に、日本がローマ帝国に高い関税をかけさせるから、市場に行き着く頃には更に数倍に膨れ上がる(マルタ島で直接買うなら免税される)。

とてもじゃないが庶民の手には入らない。

買えるのは王族や貴族、豪族、大商人ぐらいだ。

例えるならリンゴ一個が1万円ぐらい、タバコなら一箱3万円ぐらいかかる。

更に輸送費やその他諸々もかかるから通常より物価が上がる。

とてもじゃないが庶民は暮らせない。



何故こんなに高く設定するのかと言うと、日本ブランドの確立と、何よりあんまりマルタ島に進出させないためだ。

安く設定すればローマ帝国の市場を独占出来るが、別にローマの市場はいらないし、マルタ島に商人が集まりまくって治安が悪化したり、日本領への進出なんて考える奴が出てくるだろうから、値段を上げまくって客層を制限する。

こんな値段の商品しか無いならマルタ島に貿易で来る客層は王族や貴族、もしくはそれら御用達の商人しか来ないだろう。

それなら数が少ないし、まだ治安の悪化が防げる。

ついでに入島制限も設けよう。

金持ちって結構いるからな。

観光で来る奴等もいるだろうし、そういうので溢れられても困る。


ちなみに果物など植物は加工した物しか販売しない。

そのまま種付きのを売れば間違いなく自分達で栽培して利益を得ようとする。

だから栽培が出来ないように種を取り除くか、冷蔵や冷凍で種子を殺す。

そうすりゃ幾ら植えても芽が出ない。

これならマルタ島でしか手に入らない果物として高く売れる。

1個100円もしない果物が1万円にもハネ上がる。

とんでもない詐欺だが、他に方法が無いなら買うしかない。

ヨーロッパには無い果物とかなら、王族や貴族が自分達の格を他者に見せつけるために競って買うだろう。

日本ならスーパーで買える食材も、ヨーロッパならとんでもない高級食材に変わる。




 次はマルタ島の開発だ。

ローマ帝国やヨーロッパ人を迎える所だから盗まれても構わない文化レベルに抑えながらも、ヨーロッパより進んでいるレベルにする。

貿易の島だから港は大きく建設する。

しかし設備は精々15世紀レベル。

一応検疫施設があり、明らかな病人は入国を許可しない。


街並みもブルキナファソ同様、ヨーロッパの街並みを意識しながらも、どこか日本テイストが入った建物を多く作る。

交易地であると同時に、日本帝国の顔になるんだから巨大で尚且つ、彫刻や装飾が美しい建造物を多く建てる。

今は中世のレベルの建造物だが、時代に合わせてどんどんレベルアップさせていく。

そうすりゃ日本帝国はただでさえ自分達より遥かに進んでいるのに、まだ進化を続けている。と思うだろう。


道路はレンガで舗装し、広いメインストリートを整備する。

上下水道もレンガや石で作り、一応トイレは原始的だが水洗式。

日本らしさを見せるために木造の施設や旅館も建設する。

その際には温泉は無理だが、大浴場を設計する。

ローマにも浴場があるから問題無い。

旅館の他にも宿泊施設としてホテルを建てる。

旅館は布団で寝るが、ベッドが良いというのもいるだろうし。


明かりはランプかロウソク、松明だ。

ヨーロッパらしく鯨油で点けようと思ったが、鯨油より原油の方が余ってるから灯油ランプにした。それにヨーロッパの油田は基本的に海底油田ぐらいだし、一大生産地のバクー油田も日本が支配した。

後残ってるのはウクライナかな?

まぁそれでも原油が何かすら分かってないから日本から輸入するしかない。

原油価格はこの世界でも高いから大量に購入出来ればだが。


移動手段はブルキナファソ同様馬車だ。

ちなみに馬具には蹄鉄や鐙を使っている。

ローマ時代には馬に革の靴を履かせていたらしいが、鉄の蹄鉄は知らないだろう。


服装は19世紀で良いや。

中世ヨーロッパの服装って動きにくいし、何かヤダ。

でも島にいるのは全員公務員だからスーツ姿が多い。

農業担当者や軍人は流石に違うが。


料理については日本料理やフランス料理、イタリア料理など様々があるが、この世界じゃ全部日本料理だ。

区別するには○○風と言う。

作法は別に厳しく無いが、基本ルールはある。

だからローマ式の食べ方はあまり良くない。

ローマではスプーンやスープをかき混ぜる棒などもあるが、基本的に手掴みで食べる。

だから見栄えがよろしくない。

それがその国の作法なんだと言ってしまえばそれで終わりだが、一応マルタ島に来たローマ人に日本式の作法を教える。

箸は難しいだろうが、フォークやナイフなら扱えるだろう。


ヨーロッパとは言え、マルタ島はアフリカに近くて冬でも結構暖かいが、一応暖炉もある。

燃料は薪か木炭だ。

石炭は無い。

料理にも石炭は無いので薪か木炭だ。

火力が弱いが仕方ない。

中華料理みたいにふいごを使って火力を上げる。


病院はあるが、外国人にも開放しているので医療技術は中世レベル。

本当にヤバイ場合は最新設備が整った医療船に搬送する(日本人限定)。



基本的に食料などの物資はチュニジアやリビアなど北アフリカから輸送しているが、微かに農業や牧畜もしている。

土地が少ないからあまり耕作地は広げられないが、人口も少ないから島に住んでいる日本人に配給するぐらいは生産出来る。

勿論化学肥料など近代の技術は用いず、昔ながらの人や家畜の糞尿や堆肥を使う完全無農薬の有機農業だ。

機械類は極力使わず、畝立てや種まき、収穫には馬を使う。

脱穀には足踏み式を使い、精米には水車を使う。


牧畜も牛や豚、鶏、羊、ヤギ、馬など様々な動物を養殖している。

ちなみに餌は主に残飯や飼い葉など。

この島で生産している農産物は売り物ではなく、島の日本人達が消費するためのものなので備蓄もしている。

これで万が一補給が途絶えてもある程度自給出来る。




 マルタ島の軍もやはりレベルを下げられ、武器は日本刀や剣、槍、ハルバード、パイク、長弓、短弓、クロスボウなど。

防具はまだ日本統一をして無かった頃の全身を覆う鎧で、関節など隙間はチェーンメイルで守り、盾を持つ。

兜もヨーロッパ式の顔も覆うやつ。

馬にも鎧を着せ、突破力を持たせる。

銃はまだ持たせられないから攻撃力は低いが、この時代なら最強の装備と言える。

鐙や短弓があるから馬上でも矢を放てる。


このように完全武装した兵士、1個連隊がマルタ島を守っている。

内訳は3個歩兵大隊と1個騎兵大隊。

わざわざ中世ヨーロッパの武装をさせた兵士を1個連隊も集めるのは面倒だし、無駄だから1個大隊か中隊にしたかったが、あまりにも少ないとバカな国が攻めてくる可能性があるし、もし攻められても時間稼ぎが出来る兵数が必要だった。

これだけあれば北アフリカの空軍や海兵隊の援軍も間に合うだろう。



ちなみにマルタ島にも治安維持のために警察署や交番があり、警官の装備はサーベルと木製警棒、槍だけ。

マルタ島で外国人が犯罪を犯した場合は原則日本の法で裁く。

日本人と違って別に更生させる必要は無いから強制送還か死刑だ。

マルタ島も日本領内なので銃刀法が適用され、外国人も武器の所持は禁じられているので、武器は港で預かり、出国の際に返す。

街で武器を購入してもその場では渡されず、購入者の船に直接運ばれる。




 日本がマルタ島に商品や人員を運ぶ船は、竜骨を持たないジャンク船だ。

しかし交易船だからかなり大型のジャンク船を使用する。

それと念のために護衛用の船もつける。

万が一交易船が海賊にでも襲われたらたまんないからな。

護衛船には自動小銃やロケットランチャーも積んであるので、例えローマの軍艦と戦っても勝てる。



制海権確保と抑止力のために海軍もある。

まぁ海軍とは名ばかの偽装船団だが。

艦艇は小早川船や関船、安宅船など攻撃用の和船や大型ジャンク船だ。

外海だから和船では多少不安だが、地中海は結構波が穏やかだから大丈夫だろう。

小早川船や関船で敵に近付き、火炎ビンや火矢を撃ち込んでやる。

それで無理なら次は炮烙弾だ。

安宅船の中には鉄甲船もいるから突撃も出来る。

本格的に侵攻してきたらチュニジアの駆逐艦を派遣すれば良い。

全滅させれば噂も立ちにくい。

後はジャンク船や鉄甲船で敵を殲滅したと宣伝すればそう信じる。

バレそうになったらガレオン船や大砲を見せれば良い。

流石にそれ以上があるなんて考えないだろうし。



何故技術をわざわざ低くするのかと言うと、ローマ帝国に技術を渡したくないのと、あんまり急激に発展されても困るからだ。

何も偽らずに現代の技術を見せてもそう簡単には真似出来ないが、何れは出来るようになる。

だからその何れかを出来るだけ長引かせる。

渡す技術を精々中世レベルに落とせばヨーロッパを支配するのも難しい筈だ。

幾らローマ帝国が強大と言っても東欧やロシアの寒さには勝てないだろう。

そうなれば後に残るのは日本領しかないが、日本と戦った所で勝目が無いのは明白。

例え奇跡を信じて攻めようが要塞線や海峡を越えることは不可能。

海戦なんか仕掛けたら全滅は必至。

だから何れは史実のようにローマ帝国は分裂するか、ロシアにでも負けるだろう。

そうなればヨーロッパは史実のようにかなり荒れる。

こっちは宇宙進出を目指しているのでヨーロッパに構う暇は無い。

勝手に戦争してれば良い。




 日本は宗教の自由を許しているから他宗教を信奉しても布教しても許されるが、貿易特区に指定されてるマルタ島では北郷教以外の布教を禁じている。

基本的にマルタ島は外国との貿易をするための特区だから宗教なんて必要無いし、キリスト教が布教に来る可能性があるから未然に防ぐ。

もし万が一にも島の国家公務員がキリスト教にでも改宗したら面倒な事になる。

だからそのために布教は許可しない。


北郷教の布教は認めているが、別にキリスト教みたいに熱心には勧誘しない。

精々やった所でホテルや旅館に翻訳文付きの教典を置いておくぐらい。

他は特にしない。

別に外国人でもマルタ島の神社へ参拝するのは構わないし、北郷教に改宗するのも許可する。

まぁ改宗した所で日本への入国は許可しないがな。

許可すれば間違いなくスパイが紛れる。

だから改宗してヨーロッパに北郷教を布教するのは別に良い。

まぁ改宗すると言っても別にキリスト教みたいな洗礼がある訳じゃ無いがな。

ただ自分が北郷教信者だと思えば良いだけ。

礼拝(参拝)は義務じゃないし、寄付(賽銭)も別に無くても良い。

あくまで自由意思を尊重する北郷教では、現代みたいに正月でもなきゃわざわざ神社に行かない。



一応宗教だから寄付金も受け付けてはいるが、あまりにも莫大な額の寄付金は受け付けない。

維持費だけで十分なので余れば国に献金する。

慈善団体に寄付するより政府に渡した方が確実だからな。

教典にも「宗教はあくまで宗教であるべきであり、金儲けをしてはいけない」と記してあるので、北郷教は基本的に商売はしない。

神社でお守りや破魔矢、お札とかは売るが、あくまで神社の維持費や人件費に充てるためだ。

宗教が金を持つとロクな事にならないからな。

だから国内で圧倒的多数派なのに北郷教の規模は小さい。


現在の総本山は皇居があるシカゴにあるが、国内で一番デカイ神社は俺が降臨した地である福岡にある。

総本山は神の直系である皇帝の近くにあるが、聖地としては降臨した福岡や、天へ還った東京となっている。

役割としては福岡が伊勢神宮で、東京の方は靖国神社だ。

毎年初詣にはこの二つの神社へ参拝に行く信者が多い。

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