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日本帝国記  作者: 浦波
49/55

48 日ロ戦争

 通告を出して1週間。

勿論ローマ側から何ら返答は無いから宣戦布告を受けたとしてローマ帝国への侵攻を命令。

日ロ戦争が勃発した。




 日本軍が先ず攻めたのは北アフリカだった。

何故なら今の北アフリカの守りは最小限でしかなく、開店休業状態だ。

何故ならローマ帝国は日本がアフリカに進出した事を知らない。

だからローマ軍はイラン方面に動員され、日本からの侵攻に対して防衛体制を取っている。

そのせいで他の防衛体制は脆弱。

流石にガリアやゲルマニア方面などの不安定地域の戦力は残しているが、上記に比べたらまだ安定傾向にある北アフリカの戦力をアジア方面に派遣した。

まぁ別にどっちでも良かったんだがな。

いきなりアジア方面に侵攻しても問題無く勝てた。

しかしやはり簡単な方が良いからアフリカ大陸を制覇する。



現代で言えば既にモロッコやアルジェリア、リビアも大部分を占領していたが、バレないようにローマ帝国の領土からかなり南部に建設した基地から進軍を開始。

すると突然南部から攻められたローマ軍はパニックだ。

何せ敵は遥か東方から来ると思っていたのに、いきなり南から来たんだ。

パニックになっても不思議は無い。

それに攻めてきたのは戦車や自走榴弾砲、装甲車、輸送車だ。

その未知の何かが砲弾や銃弾を発射して仲間を殺していく。

その何かに攻撃を加えても全く効果が無く、逆に殺られる。

今度はガンシップやヘリを動員し、兵舎や軍事施設、逃げ惑うローマ兵の破壊をさせる。

最終的には無人兵器や装甲歩兵を派遣してヘリなど上空では見つけられなかった敵を捜し、殲滅する。

これで終わりだ。

後はローマ側からの援軍を防ぐために駆逐艦でも地中海に侵入させ、警護させれば良い。

別に駆逐艦じゃなくて巡視艇でも十分だが、威圧効果を期待するために駆逐艦にする。

駆逐艦なら一撃でこの時代の船を撃沈出来る。

ついでに戦艦も動員すれば占領した北アフリカも逆らう気は起きなくなるだろう。

戦艦は存在するだけで脅威だからな。




 北アフリカは1週間程度で占領が終了した。

今は基地や軍港の建設を行っている。

ここは地中海の制海権を握る重要な地域だからな。


軍は現在スエズを越え、イスラエルやヨルダンに侵攻している。

ちなみにイランに集結させた軍もトルコに侵攻を開始。

ついでにカフカス方面の軍もアゾフ海沿岸部に侵攻を開始。

ボスポラス王国(クリミア半島)には侵攻しないけど、こっちの沿岸部にローマ帝国領があるからそこは占領する。

ここを占領すればヴォルガ川以南の支配は完璧になる。




ローマ軍サイド


 時は少し遡り、日本軍が北アフリカに攻め込んだ時の話だ。

「何なんだアイツ等は!!?」

アフリカ方面のローマ軍兵士は逃げ惑いながら叫ぶ。

日本帝国との戦争のために北アフリカの兵士のほとんどはアジアに動員され、残っていたのは警備のための兵士達だ。

日本との戦争が始まったが、あくまで戦場は遥か遠くのアジアだと思っていたので開戦の雰囲気は無く、何時も通りの事をしていた。

しかし突如その平穏は破られた。

何か大きな音が聞こえたと思ったら、兵舎や家屋が爆発して巻き込まれた兵士や民間人の体が裂けて死んだ。

何が起きたのか分からず、兵士達は混乱してパニックになっていた。

そんな所に今度は鉄で出来た人間? のような何かの大群が来た。

そいつ等はさっきのよりかは小さいが大きな音を連続で出しながら右腕の穴から火を噴いた。

するとその穴の先にいた人間はバラバラになって死んでいく。

その鉄の魔人から逃げるためにバラバラになって走っていたら、次は空から現れた。

鉄の大きな鳥のような化物が大きな音を鳴らしながら鉄の化物のように火を噴く。

鉄の鳥には何種類かいて、羽? を回転させている奴と羽を回転させていない奴がいる。

回転させている奴はまだマシだが、回転してない奴は最悪だ。

アイツが上に来ると火の雨を降らし、下にいる人間を皆殺しにしやがる。

もう生きている人間はほとんどいない。

民間人なら見逃して貰える事もあるが、兵士は皆殺しにするらしく、逃げても追ってくる。

これが日本軍なのか?

だったらローマ帝国は一体何と戦っているんだ?

まるで神の裁きのようだ。

「はぁ…はぁ…、ちきしょう!!」

羽が回転しない奴が来やがった。

これで俺は終わるのか?

何か分からない奴に殺られるなんてっ……。




ローマ帝国サイド


 日本軍の侵攻が予定通り始まった。

皇帝アントニヌスは軍の指揮のためにアジア方面に向かっている途中で、信じられない報告が届いた。

「…今なんと申した?」

アントニヌスは耳を疑い、聞き返す。

しかし軍高官は同じ事を繰り返すだけ。

「…マウレタニア(モロッコ)、アフリカ(アルジェリア)、カルタゴ(チュニジア)、キレナイカ(リビア)、エジプトが陥落しました。

アフリカ方面のローマ軍は全滅し、日本軍が占領しました」

聞き違いでは無いと悟り、アントニヌスは叫ぶ。

「バカな!?? 開戦から僅か12日だぞ!?

誤報か敵の策略では無いのか?」

正確には7日に陥落したなのだが、情報の伝達速度のせいで7日遅れた。

しかしこの時代で考えればこれでもかなり早い。

遥か遠くのアフリカから海路や陸路を駆使し、僅か14日でローマに情報を伝えて来たのだから。


アントニヌスは常識的にあり得ないとして聞き返す。

「いえ、間違いないようです。

敵は不意を突き、南方から一気に侵攻し、アフリカ方面を制圧しました」

「南方だと!?

しかし日本の領土はパルチア方面だけでは無いのか!?」

「いいえ、どうやら我々に気付かれないように大きく迂回し、あらかじめ南方を制圧していた模様です。

そうでなければこんなに早くは動けません」

軍高官の意見は最もだが、アントニヌスには予想も出来なかった。

何故ならローマ帝国領土以南のアフリカは広大な砂漠が広がっており、人間が住める地域じゃない。

どうやってそんな所を領土にし、軍を隠しておけたのだ? とアントニヌスは考えるが分からない。


しかし今はそんな事より優先すべき事がある。

「アフリカ奪還は出来るのか?」

「…いえ、難しいかと。

奪還を試みて兵士を満載した船団を派遣しましたが、1隻も返って来ませんでした。

おそらく敵の船団によって全滅させられたのかと」

それを聞いてアントニヌスは更に絶望した。

陸だけではなく海でも勝てないとは。

しかし落ち込んでいられないので別の事を聞く。


「敵の現在の侵攻状況は?」

「アフリカ方面を制圧した日本軍は現在シリアに進軍中です。

更にパルチア方面の日本軍も進軍を開始し、メソポタミア、カッパドキアを攻撃中です。

そしてボスポラスも攻撃を受けています」

「ボスポラス?」

「はい、どうやらカフカス方面にも日本軍は侵攻しており、ケルチ海峡以東沿岸部が占領されました。

しかし日本軍はそれからは進軍を停止。

どうやら海峡で進軍は止めたようです」

それを聞いてアントニヌスはまた分からなかった。

何故海峡で進軍を止めたのか。

今日本軍は奇襲状態で圧倒的有利。

だったら勢いに乗って取れる所は取っといた方が良い。

「ふむ……、どうやら日本は先に要求した領土以外には興味は無いのか?」

それしか思い付かない。

日本はボスポラス王国のタナイスから線を引き、クリミア半島は丸の中にあって黒く塗られてなかった。

「ならば日本はローマには攻め込まないのだろうか?」

戦争なら先ず敵国の首都を目指す。

首都には王や皇帝がいて、両者を追い詰めて降伏させれば手っ取り早く勝利出来る。

アントニヌスの質問に誰も答えられない。

相手が分からなすぎるからだ。



とりあえず今は前線に急ぐ事にした。

もし遅れたら前線に着く前に戦闘が終了してしまうかも知れないのだから。

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