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日本帝国記  作者: 浦波
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46 イスラエルの面倒さ

 西暦150年(皇紀750年)



 パルチア王国を滅ぼし、イランを領有化した。



初期の頃は領土を巡ってかなり侵攻をかけてきたが、最近はローマ帝国との講話や国内の安定化に力を入れていて、ほとんど侵攻は無くなっていた。

やっぱり貿易ルートを潰したのが相当効いていたようだ。

新たに領土を得るにもローマ帝国以外は日本に囲まれているからどうしようも無い。

船による海外の開拓を試みても日本海軍の駆逐艦に沈められて一切成果は無し。

だからと言ってまたローマ帝国と戦っても被害が大きすぎて逆効果。

このまま放置してれば自然崩壊していただろう。

しかし、わざわざ自然崩壊を待つのは面倒だし、崩壊した後の国を建て直すのも面倒だから直ぐに侵攻。




 歴史に名高きペルシア軍は中々強かった。

騎馬民族の戦い方である軽装騎兵を多く使い、弓を主力として白兵戦や不利になれば直ぐに退却する戦い方。

確かにこのアウトレンジ攻撃からの一撃離脱戦法なら敵に出血を強い、被害を最小限に出来る。

優れた戦法に間違いは無いが、相手が悪すぎた。

幾ら馬で逃げようとガンシップは軽々追い付き、機関銃で掃射する。

幾ら弓の射程が長くても砲弾やロケット、ミサイルには勝てない。

ご自慢の騎兵隊もガンシップや機関銃に殺られ、逃げたとしてもヘリが追跡して全滅させた。

パルチア王国は地方分権制度だから首都を落としても戦いは終わらなかったが、それも間もなく掃討出来た。

長い歴史を持ち、これからも長く大国を誇る予定だった国は滅び、日本の支配下になった。




 イランを領有化出来たので早速支配体制の構築だ。

直ぐにローマ帝国とも戦争になるから基地やインフラ整備をしなくてはいけない。

しかしそれでも今まで通りのやり方は変えない。

かつて王宮があった場所はミサイルやロケットを撃ち込んだせいで瓦礫になってるから撤去し、新たに鉄筋コンクリートの政庁を建設する。

他にも役所を建設し、支配体制を整える。

戦争で家を失った奴等のためにマンションや住宅を建設し、経済と雇用のために北郷商会を進出させる。

これだけで劇的に変わる。

それにパルチア王国も奴隷制を持っていたから解放し、貴族や庶民と一緒の三等国民にする。

幾ら「奴隷と同じ階級など耐えられん」と喚こうが日本の支配下なんだから黙らせる。

どうしても嫌だって言うなら肉体から解放してやる。

そうすりゃあ流石の日本でも支配は出来なくなるからな。


パルチア王国は現在のイランとイラク、クウェート、アルメニア、アゼルバイジャンも入っているから原油や様々な資源が眠っている。

本当、ここら辺って最高だな。





 パルチア王国を取ったんだから後に残すのはローマ帝国だけ。

と言っても欲しいのは北アフリカやトルコ等の中東。

この時代で言うアジアだ。

しかしそこには大きな問題がある。

イスラエル、この時代ならパレスチナだ。

既にユダヤ教もキリスト教も存在する。

どちらも迫害を受けて今はかなりの弱小宗教でしかないが、歴史通りに行けばキリスト教は大流行する。

今は迫害を受けているが、313年にキリスト教はミラノ勅令によって公認され、以降は統治に役立てるために広まる。

厳しい戒律を守らなくてはいけないユダヤ教と違い、何をしても悔い改めれば許されるキリスト教は流行る。

何せどんなに残虐な行いをしても教会で告解すれば許されて天国に行けるんだからな。

日本で一向一揆が流行ったのと同じだ。

あっちも南無阿弥陀仏と唱えるだけで極楽に行けると言われたんだ。

死ねば苦しみから解放され、極楽に行けると教えられたから大規模な一揆に発展した。

死をも恐れぬ完璧な軍隊の完成だ。


ちなみに北郷教の死後観は輪廻転生で、死ぬと裁判の神によって生前の善行と悪行を比較され、善行が多ければ天国に行き、速やかに転生する。

悪行が多ければ地獄に行って長く苦しい拷問を受け、魂を浄化出来たら転生出来る。

しかし地獄に落ちた場合はまた人間に転生出来るとは限らない。

魂が浄化しきれなかった場合は人間以外の生物、動物や爬虫類、昆虫などに転生し、罪を償う。

そしてまた死ねば罪を償ったとして人間に転生出来る。

こんな感じだ。



まぁ宗教の比較はどうでも良い。

一番の問題はイスラエルをどうするかだ。

前の世界だったらオスマン帝国がまだあったから押し付けたけど、この世界じゃまだ無い。

ていうかイスラム教も無いからな。

現代ならイスラエルは3つの宗教の聖地だが、この時代ならまだ2つの宗教の聖地だ。

現代よりはマシだろう。

でも正直面倒なのは変わらない。


だからと言ってイスラエルを取らないのは難しい。

イスラエルは交易路として重要な位置にあり、アジアとヨーロッパを区分する大事な地点だ。

イスラエルを取らないとトルコの支配が難しくなる。

出来るならヨーロッパ勢はヨーロッパに押し留めたい。

そのためにはトルコを取る必要がある。

となると必然的にイスラエルも必要だ。

うーーーん……。

まぁ面倒なのはイスラエルではなく、聖地があるエルサレムだ。

ユダヤの神殿跡とキリストが埋められた土地。

正直これが邪魔なんだ。

1つならまだ何とかなるんだけどなぁ。

…いっそのことキリストが埋まっていた土地をローマに持って行くか?

バチカンにキリストが埋まっていた土地の土を持っていき「これが聖地だ」とか言ってバチカンだけが聖地にならないかな?

…無理だろうな。

むしろブチギレると思う。

なにがなんでも取り返そうと動くだろう。


だったらイスラエルを支配後にバチカン市国みたいに独立させるか?

そうすりゃあ支配に手間はかからない。

でも自国の中に宗教国家を築くのはどうだろう?

市国と言っても独立国。

服従させるのは難しい。

なら引き下げてチベットやウイグルみたいに自治区にでも制定するか?

国では無いから支配は出来るが、宗教勢力に自治を許すのも反乱の温床になりかねない。

マジでイスラエル面倒くせぇよ。




 ローマ帝国に攻め込む前に準備をする。

最終的に日本とヨーロッパをウラル山脈とヴォルガ川、ボスポラス海峡で分ける予定だ。

だからカザフスタンからヴォルガ川以南を領有化した。

クリミア半島付近はローマ帝国領土なので慎重に領有化した。

まだ攻めるには早い。

一気に攻め込んで取りに行く。

だから今はまだしない。


これでカザフスタンとイランが繋がった。

カザフスタンのロシアとの国境線には要塞線を築き、ロシアやヨーロッパの侵攻を防ぐ。

とんでもなく長大な要塞線になるが、この日本なら不可能では無い。

川や海峡を挟むなら侵攻を防ぐのは簡単だが、陸では難しい。

だから万里の長城のように長大な要塞線を築く。

こっちの要塞線は近代戦を基に考えているから戦車も防げる。

念のために制空権維持のために防空ミサイルも配備済みだ。

ヘリポートが等間隔に設置されてるからヘリによる攻撃も可能。

少なくとも20世紀までは守れるだろう。



本当はウクライナも欲しかった。

ウクライナはヨーロッパの穀倉地と言われる程に肥沃な大地と、豊富な資源に恵まれているから欲しかったが、ウクライナを取るとヨーロッパと諸に接するようになり、それはそれで面倒になるから断念。

ヨーロッパと接するならせめて最小限に留める。

あんな民族のごちゃ混ぜに関わり合いたく無い。




 兵士の損失を減らすために無人兵器を開発した。

予算は無限だし、倫理も無いから現代より遥かに発展した。

先ずは無人兵器として代表的な無人戦闘機だ。

人間が乗る必要は無いから形は自由。

更に様々な場所にアフターバーナーを取り付けて人間には耐えられない戦闘機動が出来るようになっている。

戦闘機、攻撃機、爆撃機、偵察機のバリエーションがあり、流石にまだ人間が操作する戦闘機より複雑な動きは出来ないが、相手が騎馬や人なら問題無い。

兵士が遠くから遠隔操作で操れるので例え墜落しても人的損失は無い。

機械なんてコピーすれば幾らでも替えが効くからな。

無人戦闘機の他にも敵地突入や建物に突入する際の先陣、制圧確認、敵探知、物資や遺体運び等様々な無人兵器を開発した。



それでも人間の兵士が必ず必要だから兵士を守るためにパワードスーツも開発した。

ロボット技術もそうだが、現代において日本のパワードスーツ技術は世界でも郡を抜いている。

しかし兵器利用は許されないから使われるのは介護用等だ。

この世界ではそんな規制は一切無いので軍事用として開発。

例えどんなに非力な者でも重機関銃を軽々と持てたり、傾斜のキツイ山道もほとんど疲れる事なく登れる。

それに上下とも戦車のよりは薄いが、軽くて頑丈な装甲で覆われている。

対戦車ロケット弾の直撃を受ければ流石にヤバイが、この時代はまだ銃すら無いから心配いらない。

装備としては両腕には7.62mm機銃と火炎放射器、肩には対戦車ロケット砲を装備しているからほぼ無敵だ。

ちなみに背中にマガジンボックスを背負っているので弾薬をかなり積んでいる。

ヘルメット内部のバイザーには衛星やレーダーの情報をリンクし、敵の位置や距離、味方の配置、武器の弾数等を自由に出せる。

勿論赤外線装置や暗視装置も付いてるから夜間も動ける。

このパワードスーツを着た装甲歩兵だけでローマ帝国を滅ぼす事さえ可能だ。




ローマ帝国サイド


 日本がパルチアを落とした頃、ローマ帝国では大混乱が起きていた。

長きに分かって領土争いをしてきたパルチア王国が突如滅ぼされ、日本帝国領に変わったからだ。

初めはパルチア王国と日本帝国の戦争が勃発したので、その隙をついて領土拡大に動くべき派と静観派が議論していたら、いつの間にかパルチア王国は滅んでいた。

僅か1ヶ月もかからずにあの大国パルチアが負けたのだ。

あまりの展開の早さに誰もが混乱した。

この偉大なるローマ帝国でさえ手こずり、遂にアルメニアを手に入れる事が出来ず、講話を迎えたというのに、日本帝国は僅か1ヶ月足らずで制圧した。


予測では日本帝国はパルチア王国の隣国で、西アジアに広大な領土は誇るが、国力はそんなに高くは無いと思われていた。

何故ならパルチアとの戦争で土地を手に入れたとは聞かないし、貿易もしてこない事から大した輸送能力も無い辺境の国と侮っていた。

それもそうだろう。

何せこの時代のローマ帝国は絶頂期。

他の国と比べても明らかに文明レベルは高く、軍事力にも優れている。

自国こそが世界最強と信じて疑っていないローマ人なら聞いたことしかない辺境の国を侮っても不思議は無かった。

しかしその油断のツケはいきなり払わされる事になった。



とりあえず隣国になった事だし、日本とはどのような国かと探るために特使を派遣し、国交の樹立を求めた。

しかし特使は日本領内に入る事すら許されず、門前払いされた。

日本側が言う理由としては「終戦直後で忙しい、今は新たに他国と国交を結ぶ余裕は無い」との事だ。

その代わりに門前払いをする詫びとして宝石や装飾品類、絹の衣類、ガラス食器などを日本側はくれた。

その品々はどれも品質が高く、ローマ帝国の技術に劣っていない。

いや、ガラス製品に限っては完璧な透明度と歪みの無い形に作られており、ローマの技術を凌駕していた。


日本側の詫びの品は皇帝アントニヌスに献上され、その品々を見てアントニヌスは日本帝国の国力の高さを知った。

きらびやかで繊細な装飾品や細かい縫い目で織られた衣類。

そして何より美しいガラス食器。

水差しやコップ、皿など様々あるが、どれもが高い透明度と完璧な形をしている。

ローマの技術者では形が不揃いで透明度も低い物しか作れない。

それでも今まではローマ技術者のレベルは最高だと思っていたのだ。

この品々を見れば例え市民でも日本帝国の国力の高さを思い知る。

国力が高いという事は必然的に軍事力も高い事を示している。

何せあのパルチアを一月とかからずに陥落せしめたのだ。

そんな国が弱い筈は無い。



ハドリアヌスの遺志を継ぎ、領土拡大より帝国内の平和を目指すアントニヌスは日本帝国と戦ってはいけないと確信した。

まだ詳細な事は何も分かっていないが、少なくともローマから積極的に戦いを挑むのはいけないと感覚的に分かった。

何故かは分からないが、日本帝国とは戦ってはいけない気がしてならないのだ。

だから日本との開戦を訴える派閥を抑え、このままの関係を維持しなくてはいけない固くと誓った。

国交は結べなかったとは言え、幸いにも詫びの品をくれたのだ。

少なくともこちらとやり合う気は無い事が分かる。

今は待ち、日本の支配体制が整った後にまた国交樹立を申し出れば良い。

アントニヌスはそう思ったのだった。




日本サイド


 ブルキナファソの資源採掘がようやく完了した。

通常では考えられない昼夜兼行での採掘を10年続け、ようやくブルキナファソの金以外の資源を掘り尽くせた。

まだ微量には残っているかも知れないが、誤差の範囲内だから見逃す。

しかしおかげでマンガンやボーキサイト、ウランなど様々な資源を手に入れられた。

これでブルキナファソは本当に金以外はほとんど何も無い国になった。

今の文明レベルなら問題無いが、何れ発展すればかなり困る事になる筈だ。

精密機器を作るには必ずレアメタルが必要になり、そうなればブルキナファソは足りない資源を日本に求めるため、更に依存せざるを得なくなる。

まぁ今のレベルを保つのなら必要無いが。



ちなみに採掘しまくったおかげで租借地は月面みたいにクレーターが幾つもある。

このまま返しては色々疑われたり、恨まれたりして面倒だから土を埋め直す。

通常ではかなり難しいが、俺の能力なら簡単だ。

周囲の土を大量にコピーし、埋めて整地するだけ。

バレないように植物を植え、ある程度育って埋め直した跡が目立たなくなったらいよいよ返還だ。


しかし問題が発生。

住民達に帰還許可を与えたが、ほとんどの住民が戻らなかった。

何せ10年も経てば新たな生活に馴染み、更にその地に家や仕事があるなら離れるのは容易ではない。

また昔みたいに田舎で小さな家で暮らすよりも、今の都会で日本が用意した大きな家に住んでいたいと思うのが普通だ。

もし返還の際に家や街並みを作ってくれたのなら帰還も考えるが、日本側からしたら「わざわざ返還前に土地を元の状態に戻してやったんだからこれ以上は自分達で何とかしろ」と更地を返しただけ。

土地としての価値はあるかも知れないが、今の生活を捨ててまで欲しくは無い。

だから住民のほとんどは帰還を拒否し、都市に残ったのだった。



その後、返還された土地には別の地方からやって来た人間が住み着き、やがて村になった。

彼等は知らない、自分達の下にはかつてとんでもない価値のある鉱物が埋まっていたという事を。

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