表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本帝国記  作者: 浦波
44/55

43 神の生活

 西暦100年(皇紀700年)



 南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、アンゴラ、ガボン、コンゴ共和国、赤道ギニアを領有化。

アフリカ南部の大部分を支配した。




 ようやく資源の宝庫である南アフリカを領有化出来た。

金、銀、ダイヤモンド、ウラン、鉄鉱石などなど様々な資源を採掘出来る土地。

唯一原油は無いが。

鉱業の他にも農業も期待出来るから最高だ。

現代では南アフリカの中にはレソト、スワジランドがあるが、この世界にそんな国は無いから全部南アフリカ領だ。

スエズ運河が無い原状では喜望峰は重要な拠点だ。

まぁ、パナマ運河を越えれば行けるから微妙だがな。



それに南アフリカ以外もかなりの資源地ばかりだ。

ナミビア、アンゴラ、赤道ギニアなど原油やレアメタルが豊富に取れる。

基本的にアフリカは何処でも何らかの資源があるからな。

産業革命までは精々奴隷の生産地程度の価値でしかなかったが、第2次大戦後はとんでもない価値にハネ上がった。

その頃には内戦が頻発して欲しい物を手に入れる事は出来なかったが、この時代なら幾らでも手に入る。

日本以外では珍しい石や燃える水程度の価値でしかないが。




 次はいよいよコンゴ民主共和国に侵攻する。

熱帯のジャングルが生い茂るから進軍はかなり難しいが、ここを手に入れればほとんどのレアメタルが手に入る。

技術を更に発展させるにはレアメタルが幾らあっても足りない。

今でこそ内戦が度々起こる危険地帯だが、この時代ではまだ内戦は無いからただジャングルを制覇すれば良い。

タンザニアやウガンダからも進軍すれば早く終わる筈。

前の世界では兵士不足から進軍は待ったが、この世界では十分にいる。

日本人の人口は10億に突破する程に増えている。

間違いなく世界の多数派だ。

これなら問題無い。




 「女性は最低5人の子供を作れ」という命令のおかげで短期間でここまで増えたのは良いが、このままの勢いで行くと人口が増えすぎるから抑制のために教典の「女性は最低5人の子供を作れ」を改訂した。

ただし今まで同様、1夫多妻制は変えないし、人口増加政策のための減税や補助金も無くさない。

ただ5人から、「女性は最低3人子供を作れ」に改訂した。

勿論急に中国の一人っ子政策みたいに人口を減らせば少子高齢化するから子作りは推奨する。

厳格な北郷教徒は今まで通り5人以上作ろうとするが、義務で作っていた奴等は3人に減るだろう。


本当は義務なんか無くしたかったが、無くすといきなり子供の数が減って労働力不足が起きるだろうから徐々に減らしていく。

3人でも問題無くなれば義務を無くす。

これで多少は人口増加も抑制されるだろう。

現代日本とは真逆な悩みだな。




 ついにイージスシステムを開発。

アーレイバーク級駆逐艦などイージス艦の建造を開始。

旧式艦艇も順次イージス艦に変えていく。

イージスどころかレーダーで十分なんだが、技術は発展していくから仕方ない。


自動小銃もM-16を短くしたM-4が主流になってきた。




ローマ帝国サイド


 ローマ帝国皇帝トラヤヌスは部下からの報告書を見ていた。

内容は敵国パルチア王国が西アジアの国と度々戦争をしているというものだった。

「日本帝国か…聞かぬ名だな」

「はっ、日本帝国は西アジアに広大な領土を誇る大国らしく、近くアジアへの進出を始め、現在はパルチア王国と領土争いをしています」

「ふむ……」

部下の報告を聞いてトラヤヌスは考える。

もしその国がパルチアを取るだけで収まるなら良いが、そのままローマにも進軍してくるかも知れない。

しかしそれよりも気になる事があった。

「最近他国からの貿易が激減しているが、もしやこの日本帝国が関係しているのか?」

トラヤヌスは悩んでいた。

少し前までは貿易が活発に行われていたというのに最近は激減していた。

特に海路はほとんど無い有り様だ。

「いえ、日本帝国の領土は西アジアのみの筈です。

パルチア王国との戦争を続けながら海を越えての領土拡大は不可能かと。

おそらくこの事態はパルチア王国か海賊の仕業の可能性が高いです」

それを聞いてトラヤヌスも納得した。

成る程、確かに既に他国と争っているのに更に領土を拡大させるのは非常に困難。

もしそれが陸路ならあるいは可能かも知れないが、海を越えての進軍は難しい。

ローマ帝国並みの国力を持てば可能かも知れんが、聞いたことも無い国がそこまでの国力は持たないだろう。そう思ってしまった。

トラヤヌスは日本帝国の事は保留し、近く行われるダキヤとの戦争の話に移った。



トラヤヌスがそう思っても不思議は無かった。

この時代、海を越えるというのは簡単な事では無い。

貿易なら西アジア(インド)からアラビア海を越えてアラビア半島やアフリカ大陸に行くのは出来なくは無いが、軍を派遣するのはかなり難しい。

例えやるとしても他国との戦争中はやらない。

そんな事をすれば本国の守りが薄くなるし、戦争に負けてしまうかも知れない。

だから常識では決してやらない。

この時代では当たり前の常識にトラヤヌスはそう思ってしまった。

陸路からの貿易が減ったのはパルチア王国の仕業、海路からの貿易が減ったのは海賊か何かの仕業だろうと。

何故ならこれ以外では考えられないからだ。

この時代の常識的には。




北郷サイド


 世界最大にして最強の国家を実質支配している北郷の生活を一言で表せば、引きこもりだ。

首都に程近い、山荘に偽装した要塞の一室に北郷の住まいがある。

その要塞は地下に現在保有している最大の核の直撃を受けても耐えられる核シェルターを持ち、北郷に絶対の忠誠を誓う親衛隊一個連隊が詰めている。

数こそ1000程度だが、その装備は最強を誇っていた。

地下には戦車や戦闘機などの格納庫や滑走路などがあり、有事の際には土や植物で偽装した地面が開き、最新戦車や戦闘機を吐き出す。

偽装しているとは言え、山荘自体も要塞と言える。

壁は全て分厚い鋼鉄や鉛をサンドしたミサイルの直撃や放射線を通さないようになっており、窓も全て分厚い防弾ガラスで重機関銃の弾すら通さない。

有事の際には窓には鋼鉄の分厚いシャッターが降りるのでミサイル攻撃にすら耐えられる。

勿論防空体制は完璧で、偽装した防空ミサイルや対空機関砲が大量に隠れている。

ちなみに要塞の上空は軍の基地に近いとして飛行禁止区域だ。

皇帝の住まいも近いので、有事の際には近衛軍が援軍に来る。

狙撃を警戒しているので、山荘より高い建物は周囲10km無い。




 その重厚でとんでもない警備体制を敷く要塞内で北郷は何をしているかと言うと、基本は読書やネットサーフィン、ゲームだ。

というかやることが他に無い。

顔が知られていないからと言って軽はずみに外に出ることは不可能。

万が一にもバレたら最悪だ。

だから外には出ず、要塞内でまた何処かの世界に飛ばされても良いように知識を貯める。

もしくはネットサーフィンをして暇を潰す。

最近何が流行っているのかや、政府をどう思っているのかなど国内の情報を探っている。

まぁ実際は映画やアニメ、音楽などをダウンロードしたり、二次小説や同人誌を見るなど、やってることはモロ引きこもりだ。



一応政務として週1回戦略研究会のメンバーと会議があるが、それだけだ。

現在の軍や国内情勢、新たに占領した土地の開発や次世代兵器の開発状態、新たに何処へ侵攻するかなどの報告を聞き、その都度指示する。

そして俺の指示を戦略研究会が細かく煮詰め、今上皇帝のサインを貰う。

これが日本帝国の命令系統だ。

変わる事なく、400年以上続いている。



基本的に週1回の会議以外は全て休みだ。

日がな1日ボーッとテレビを眺めていたり、溜め取りした番組やDVDを見ている事もある。

ちなみに俺の食事は全て俺のコピーだ。

毒殺を避けるために専属のシェフが先ず料理を作り、毒味役が料理を完食する。

そして1週間経過を見てから全身の精密検査を行ない、何も問題が無ければ改めてコピーで出して俺が食べる。

こうする事で万が一の食中毒も防げる。

まぁ今まで毒味役が死んだり食中毒になった事は無いがな。


性欲の処理方法は主に自分でやる。

世の一般的な男同様に雑誌やAV、ネットでオカズを探して処理する。

下手に女とやると面倒事になりかねない。

それに千年以上生きてきたせいか、そんなに欲情しないのだ。

若い頃と違って毎日悶々とする事が無くなり、今や老人のようにからっから。

最早仙人に近いのかも知れない。

かなり欲にまみれているがな。

ゴミについても厳重に扱い、敷地内の専用焼却炉で燃やす。

ゴミからバレるなんてたまんないからな。

運動不足にならないように要塞内にはスポーツ施設があり、トレーニングルームや温水プール、サウナ、競技場、体育館など様々な施設があり、コーチもいる。



このように俺の生活は引きこもりそのもの。

外には出られないけど特に問題無い。

別に今さら外で騒ぎたい年じゃないし、別に不自由も感じない。

むしろほぼ理想の生活が出来ているのだから文句は無い。

出来るならこの生活のまま寿命を迎えたいものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ