40 イスラム教阻止
西暦40年(皇紀640年)
オマーン、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、イエメン、サウジアラビアを領有化。
つまりアラビア半島を支配した。
と言っても制覇した訳ではなく、パルチア王国やローマ帝国の領土から余裕を持った手前らへんで進軍停止。
まだやり合う気は無いからな。
それでも大部分を領有化出来たから原油は手に入る。
結構デカイ地域だが、大半が砂漠だから支配するのは簡単だった。
沿岸部を領有化すれば最早取ったも同然、後はじっくりと内陸部を掌握していけば良い。
そして何時も通りの統治をする。
政庁や役所を建設し、インフラを整えて基地を建設。
北郷商会を進出させて雇用と市場を活性化。
義務教育として最低3年間の日本語の読み書きや計算、洗脳教育。
これで大半は終わる。
アラビア半島は水資源が少ないから内陸部への進出は難しいが、河川が無い訳では無いし、海水をろ過して飲料水に変える技術は既に持っている。
とりあえず沿岸部の発展には支障は無い。
まだイスラム教は生まれてないから聖地メッカも今はただの交易路だ。
ここに街を築いて北郷教を布教すればイスラム教は生まれてこないだろう。
例え生まれても流行らない筈だ。
何故ならイスラム教は戒律が厳しく、毎日5回の礼拝義務や酒も飲めない。
それが生まれた時から当たり前なら受け入れるだろうが、北郷教が当たり前の世界なら流行りにくい。
基本的に自由意思を尊ぶ北郷教はとても都合の良い宗教だ。
だからわざわざ厳しい戒律がある他宗教に改宗するのは難しい。
しかし微妙にだが、ローマ帝国を圧迫してんだよな。
何故ならここアラビア半島はインドや中国からの貿易品がパルチア王国、ローマ帝国へと続くための交易路だ。
中国の絹やインドの象牙、真珠、木綿、香料がアラビア半島を中継してローマ帝国へと入る。
逆にローマ帝国から金属、ガラス、ワイン、金貨等がインドへ入るのにも使われる。
今はまだ交通路が発達してないからそんなに量は無いが、100年も経てばかなり重要な交通路になっていた筈だ。
まぁ早期に中国を支配したから中国からの貿易は無かっただろうが、インドからの貿易はそこそこあった筈。
多分ローマ帝国もこれには気づくだろう。
まぁでも流石に本格的には動かないだろう。
キャラバンとか民間貿易はしてても、国交は結んでいなかっただろうから大きくは動かない。
ローマ帝国の支配領域内の内需でも経済に問題無い。
それに今はパルチア王国とアルメニアを争って戦争中だし、ガリア(フランス)やゲルマニア(ドイツ)、ブリタニア(イギリス)の領土拡大にも忙しい。
存在すら明らかでは無い国とやり合っている余裕は無いだろう。
今まで極希だが、自動小銃など歩兵用兵器を鹵獲、強奪されて逆に使われてしまう。という出来事があった。
榴弾砲や機関銃等は弾薬の入手やメンテナンスの不備で簡単に使えなくなるが、AKシリーズの自動小銃は結構厄介だった。
付いているマガジンの弾薬が切れれば後は使えなくなるが、運が悪いと弾薬を入れた箱ごと盗られる事があり、長期戦になった事もあった。
AKシリーズは極地でも使える優秀性と、メンテナンスをあまりしなくても問題無く撃てる頑丈さを併せ持っている。
おかげでメンテナンスという観点が無い敵兵にも簡単に扱える。
だからこのことを踏まえ、ある程度技術が無いとメンテナンスが出来ないM-16シリーズを開発し、そっちに切り替えた。
M-16ならメンテナンスに複雑な物が必要だし、メンテナンスを怠ると簡単に撃てなくなる。
それにAKシリーズと違って反動を抑えられ、命中精度が高い。
これなら例え鹵獲されたとしても直ぐに撃てなくなる。
一度撃った後1週間も放置すれば壊れてしまうからな。
更に、M-16なら様々なAK-107同様様々な装備を取り付けられ、グレネードを取り付ければかなりの破壊力を持つ。
これで完全にアメリカ軍の装備になったな。
これまでも本土では地震や津波、噴火が起こり、被害は甚大だった。
幾ら予想出来て被害を最小限に抑えられると言っても大変な事には変わりない。
前の世界と同じだが、あまりに自然災害が多すぎて首都には向かないとして、北米のシカゴに遷都した。
初めからシカゴは首都候補地だったから首都機能は揃ってるので指揮系統の移転はスムーズに済んだ。
これで壊滅的な自然災害は少なくなる。
シカゴは冬はメチャクチャ寒いが、地震や津波よりはマシだ。
東京は前の世界同様、経済都市として発展させる。
前線から最も遠いから危険性は少ない。
治安もしっかりしているから夜でも比較的安全に歩ける地域だ。
この世界の日本警察はおっかないからな。
発砲こそほとんどしないが、カーチェイスでもするならパトカーをぶつけて強制的に止める。
アメリカのパトカーみたいにプッシュバンパーを装備しているからパトカーには影響無い。
暴走族の集団でもバイクにぶつけて止めるからな。
たまに死傷者が出ても警察は責任に問われない。
法を破った方が悪いと言われるだけだ。
その代わり逆に警官が法を破ると大抵死刑だ。
「法を守る者が逆に破るなどあってはならない、情状酌量の余地無し」として初犯や軽罪でも死刑判決を食らう。
おかげで警官の犯罪率はかなり低い。
良くて死刑、悪けりゃ家族や親戚も纏めて死刑だからな。
それに、日本帝国では検察や警察の力はかなり強く、その権力を悪用しようとする者もいる。
しかし、それを防ぐために日本帝国は「健全なる秩序維持のために、汚職や腐敗などを見かけたら必ず通報すること」と密告を積極的に奨励。
もしその密告の情報が正しかったら「愛国者」として表彰状や金一封も出る。
更に、検察や警察、軍、各省庁には帝国情報局(日本版CIA)の局員が潜入しているから汚職をすれば直ぐにバレる。
帝国情報局は海外の情報を仕入れるために外国に潜入もさせているが、メインは国内の監視だ。
国外より国内の方が遥かに脅威になるからな。
ローマ帝国は大変な事になってるな。
皇帝カリグラの放漫財政のおかげ破綻寸前だ。
カリグラは当初失政や民衆の締め付けを行っていた先帝ティベリウスと違い、賢帝として迎えられ、その名に恥じぬ優れた治世を行っていたというのに前年の病気で臨死体験した後からまるで変わってしまったらしい。
セックスにハマり、政務を疎かにしたり、病気の時に「貴方のためなら命をも投げ出す」とまでいった忠臣達に「約束を守ってもらう」と言って崖から突き落として殺すなど、イカれてるとしか思えん。
当初歓迎してたローマ市民も今では「先帝より酷い」と嘆いている。
何だ? 病気になった時に脳がイカれたのか?
それとも暴君ネロみたいに鉛でおかしくなったのか?
まぁ、もうすぐ歴代皇帝のように暗殺されて終わりだろう。
ローマ帝国の皇帝の死因って暗殺か自殺がほとんどだもんな。
何処の国も皇帝の死に様なんて同じようなものか。
俺は天寿を全うするけど。




