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日本帝国記  作者: 浦波
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4 農業

何か縄文人の知能が上がってますが、気にしないで下さい。

 ゆっくりと眠れたので最高の気分だ。

何時もは木の上とかだったから体が痛かったが、毛皮を敷いていたから幾分かはマシだった。


さてと、とりあえずこの村の支配者にはなれたから最初は現状確認だ。

この時代の文明度を調べなくては。




 1日調べた結果、やはり主産業は狩猟で、農業も微かにやってはいるが、湿地帯にただ米の種を蒔いただけで基本後は放置。

それでも収穫は出来るが、ただ泥に蒔いただけでは根腐れや病気になるからあまり生産性が高いとは言えない。

だから未だに狩猟が主なのだろう。


文明の度合いについてはやはり想像通りの縄文時代。

縄文土器は造れるが、実用性に欠けた形が多いから良いとは言い難い。


模様を多様して芸術性は良いが、日常的に使う食器や鍋に芸術性を求めてどうする?

まぁこれが縄文人の遊び心なのだから否定はしないが。



武器の類いもやはり原始的。

鉄や青銅はまだ伝わってないから黒曜石や石を削って槍や斧にし、矢じりも同じだ。



衣服は麻等の植物繊維で出来ており、着物みたいに縄で縛って止める。

衣服には原始的だがちゃんと染模様があり、植物の汁等で染めている。

他には獲物の皮を身につけ、ピアス等装飾品も数多く着けている。

結構オシャレをして楽しんでいるらしい。



成る程成る程、結構文明はあるんだな。

農業をしてない以外はそんなに弥生時代と変わらない気がする。

まぁ農業をやるだけであんなに変わるんだから偉大とも言えるが。

それに弥生人って純血の日本人じゃなくて大陸から日本に渡ってきた大陸系なんだよな。

渡ってきた者達が農業や鉄等を伝えたからいきなり発展した。

だからそのせいか弥生人は大陸系の血が強く、縄文人と顔立ちが違う。

弥生人は現代人とあんまり変わらないけど、縄文人は基本的に濃い。

イメージ的には東南アジア系の顔だ。

おかげで大陸系の顔をしている俺はかなり浮いてる。

まぁおかげで差別化が図れるから良しとしよう。




 とりあえず先ずは村の全員を集めて神からのご神託を下してやるか。

翌朝、村の全員を集めて最初の命令だ。

「これからは狩猟は止め、農業に専念するのだ」

俺の言葉に村人は首を傾げる。

「の、農業…ですか?」

長老が全員を代表して聞いてきた。

「そうだ、今のように狩りで生活していたのでは安定は望めない。

だから狩に比べて安定している農業をするのだ」

神からの命令だから拒否など出来ないが、長老が意見する。

「しかし北郷様、我々も農業は行なってますが、狩に比べて収穫が期待出来ません」

長老の言葉に全員が頷く。

何せ収穫しても量や質は散々。

だったら狩の方が確実だもんな。

「それはお前達のやり方が悪いからだ。

ただ泥の上に種を蒔いただけでは収穫は期待出来まい。

だから私が新たな方法を授けてくれよう。

お前達が心配する必要は無い」

俺が断言すると全員と頭を下げる。

神のお言葉だからな。

疑うだけで不敬だ。


「それと今の人数では人出が足りない。

だから沢山子を作るのだ。

男は多くの妻を取り、女は最低でも5人は子を作るのだ」

俺の言葉に少しざわつくが

「子供が増える事で食いぶちが減る事は気にするな。

足りない分の食料は私が授けてやる。

お前達は心配などする必要は無い」

その言葉に全員が静まり、頭を下げて俺に跪く。




 その後、俺は現代のようにキッチリ四角では無いが、大体四角にした田んぼを作らせ、近くの川から水を引き、水田を築いた。

そして今までは種のままただ蒔いていたのを苗までは陸で育て、育ったら水田に植えた。

出来るなら病害虫対策として合鴨農法をやりたいが、残念ながら合鴨はまだ存在しない。

ていうかアヒル自体がまだ日本にいないからやりようがない。

これも大陸から輸入しなきゃいけない。

全く日本って便利な動物少な過ぎ。



アヒルの他にも馬、牛、鶏、ブタなどいなきゃ困る動物がいない。

唯一ブタはイノシシを家畜化させた動物だから日本でも作れそうだが、いかんせん面倒だ。

だったら大陸から輸入した方が楽。

でも一応イノシシの養殖もやるか?

大陸と交易を持つようになるまで後800年ぐらいあるし。

それまで肉が食べにくいのもキツイ。

いちいち俺がコピーするのも面倒だしな。




 水田の他にも塩田を作る事にした。

意外にもこの村は海に近いらしく、たまに海水魚を取ってくる村人もいた。

やはり何も味付けされてない食事は飽きていたので塩を作った。

作り方は単純で、ただ海水を煮詰めただけ。

単純であんまり質は良くないが、とりあえず塩なのでイノシシの肉にかけて焼いた。

その肉を村人にも分けたら評判になり、村人も塩作りに真剣に取り組んだ。




 弥生土器の作成法を伝授した。

と言っても焼く際に縄文土器なら野焼きでそのまま焼くのを、ただ土やワラを被せるだけだ。

しかしそれだけでもより薄く、耐久性も上がるのだから無意味では無い。

実用性を求めて取っ手を点けたり、置いたときの安定性を高めるために鍋のような形状にするなど指示した。

他にもコップや皿といった日常的に使う物を重点的に作るようにも指示した。

縄文土器みたいに実用性が薄いのを作られても困るからな。




 とりあえず人口からこれぐらいが限界だが、最後に重要なのがある。

縄文人にとってはどうでも良いのだろうが、俺にとってはある意味一番大事だ。

それは何かと言うと、歯みがきだ。

一見そんなに必要無いようにも思えるが、縄文時代の虫歯率はとんでもなく高く、約50%の縄文人が虫歯だった。

これは縄文人の食生活の豊かさが原因だった。

意外にも縄文人の食生活は江戸時代より豊かだ。

何故かと言うと、江戸時代は基本的に米と野菜、魚を食べていたが、縄文人は他にも肉や果物、蜂蜜等も食べていた。

そのため虫歯になるリスクが高い。

オマケにこの時代に歯を磨くなんて考えは無いから基本ほったらかし。

それじゃあ虫歯になっても不思議は無い。

こんな時代に虫歯になれば引っこ抜くぐらいしか治療法は無い。


出来るなら現代のような歯ブラシと歯みがき粉が欲しいが、そんな物があるはずが無いので代用品で我慢する。

イノシシの毛の中でも更に硬い毛を歯ブラシの形に削った木の棒に植え込む。

これで歯ブラシの代わりにはなる。

確か18世紀にヨーロッパでこれが大流行した筈。

歯みがき粉については塩と木灰、クルミの樹液等を混ぜたモノを作る。

殺菌力はあるから虫歯予防は出来るだろう。

確かクルミの樹液にはフッ素とかが含まれていた筈。

研磨剤や発泡剤が無いから味気ないが、歯を磨けるだけ良しとしよう。



村人達にも歯を磨く大切さを教えた。

そして一人一人に江戸時代のふさ楊枝(歯ブラシ)を支給した。

怠ると酷い口臭や口の病にかかるとして、最低1日1回は磨けと命じた。

原始的な物だが、やらないよりはマシだろう。

これから国家を担う者達が虫歯で働けませんではやってられないからな。

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