38 インド進出
西暦10年(皇紀610年)
カザフスタン、スリランカ、南インドを領有化。
今まで散々攻めて来やがった烏孫や北匈奴とかを一掃してやった。
奴等今まで攻めて来た癖に、逆に攻められる事を想定してなかったのか、進軍したら大慌てだった。
今までは攻めなかったから見せていなかった戦車や戦闘機、攻撃ヘリ、ガンシップに驚き、今までの恨みをはらすための情け容赦の無い弾幕にほとんどが死んだ。
100年以上も敵対してたんだ。
兵士達の鬱憤も溜まっていたのだろう。
師子国はアッサリ終わった。
歴史的には結構長い国だが、ずっとスリランカだけを守っていた国だからか、そんなに強くはなかった。
仏教が盛んだから統治には苦労しそうだが、前回もそうだったから問題無い。
それにまだ戦国時代程仏教が盛んじゃないから前より楽に終わる。
南インドの方もそれほど時間をかけずに終わった。
パンドヤ王国は頑強に抵抗したが、爆撃を受けた経験が無いので一度爆撃を受けたら次に爆撃機が飛来すると逃げるか降伏してきた。
スリランカと南インドを領有化出来たので何時も通りの洗脳教育だ。
幸い、まだここまでカースト制度は伝わって無いから矯正が簡単だ。
仏教が微妙に邪魔だが、キリスト教やイスラム教ほどじゃないから共存は出来る。
それでも北郷教を布教して仏教徒を削るが。
次はアーンドラ朝(北インド)やカリンガ、マガダ、クシャナ朝(パキスタン、アフガニスタン)、大月氏(旧ソ連圏)とやり合う事になる。
数が多いが、一気に滅ぼした方が良い。
今ならまだカースト制度は一般庶民には広まってない。
それどころかほとんど知られてない筈だ。
それにヒンドゥー教もまだ正式には成立してない。
元々ヒンドゥー教は仏教やバラモン教、民間信仰を合わせた複合型宗教で、成立したのは大体4世紀。
カースト制度の基礎であるヴァルナ制は紀元前1000年には出来ていたが、この時代ではまだ超マイナー。
ガンジス川流域ぐらいでしか使われてない。
つまり今ならまだカースト制度を滅ぼすのは容易い。
前の世界では緩和はしたが、結局最後まで滅ぼせなかった。
しかしこの世界ならやれる。
今では大規模な宗教や考えでも、この時代ではまだ地方の習慣に過ぎないからな。
日本領土では最近携帯が普及し始めた。
今まで携帯は大きくて重く、値段が高かったから庶民には手が出せなかったが、技術の発展と資源の調達が楽になった事で小型化、低価格化が進んだ。
まだ電話やメールの機能しかないが、それでもこの日本では画期的だった。
電話線が引きにくい地域でも電波塔を立てれば通話可能になるので主に地方で重宝された。
ゴミを利用するバイオマス発電を本格化させた。
ソーラーパネルや風力、地熱などの再生可能エネルギーの発電量が上がった事により、原発を順次停止、解体する事に成功しているが、更に電力が必要になってきたから様々な発電法を研究している。
ちなみにオーランチオキトリウムで原油の生産は既に成功し、実用化も出来ている。
しかしまだ原油が豊富にあるし、せっかく新たに原油が大量に取れる地域を得るんだからしばらくは伏せとく。
これは現代においても、既にガソリンを使用する自動車と同等の電気自動車は出来ているのだが、原油の値段が下がるから発表してないのと同じだ。
素晴らしい発明だが、まだ時代が早すぎる。
もう少し不便な時代になってからでないと逆に損するだけだ。
他サイド
日本本土の東京。
真夜中の住宅街を黒の大型バンが走る。
バンの中には完全武装に固めた男達が乗っていた。
人数は一個小隊程。
各自自分の装備の最終チェックを行っている。
彼らの装備はMP5SD5、グロッグ17、スタングレネード、ナイフ。
服装は防弾ベストにゴーグル、ヘルメット、上下とも黒い服、軍用ブーツなど明らかに普通では無い。
しかし装備が軍の物では無いので軍関係では無い事は分かる。
「総員傾聴」
その一言で装備のチェックを行なっていた者達が言葉を発した人物を見る。
「任務の最終確認を行う。
任務は暴力団掃討。
市民からの通報によって○○商事は○○組の事務所と発覚。
監視や綿密な調査を行なった結果、主要幹部は20名。
傘下の組や構成員については今任務と同時に他の部隊が掃討する。
尚、構成員全員が拳銃や短刀、長刀など何らかの武器を所持しており非常に危険。
銃刀法違反の他にも詐欺、恐喝、暴行、傷害、窃盗、売春斡旋、麻薬売買、人身売買、殺人など様々な反社会的な行動をしている。
これらの事から○○組を暴力団と認定。
これから事務所に奇襲を仕掛け、全員射殺とする。
尚、作戦開始時刻が真夜中のため、近隣住民の迷惑を考えてなるべくサイレンサーを装着したMP5を使用すること。
以上、何か質問はあるか?」
男の質問に全員が沈黙で答えた。
バンは目的地の○○商事付近に停車。
そして後部の扉が開き、完全武装をした部隊が駆け足で出てきた。
すると部隊はすかさず○○商事の玄関や窓にスタングレネードを投げ込み、構成員の目や耳を使えなくした。
その直後に部隊は突入し、いきなり閃光や音にパニック状態になっている構成員達にMP5を向け、躊躇う事なく発砲。
サイレンサーの効果で銃声は小さくなっているが、先のスタングレネードのせいで近隣住民は起きていた。
一方撃たれた構成員は腕や胴体に無数の穴が空き、倒れて絶命した。
その隙に他の隊員が奥に進み、まだ耳や目が使えずに混乱している構成員を射殺して進んでいる。
しかししばらくすると構成員達の聴覚や視覚は元に戻り、いきなり襲いかかってきた男達に拳銃を向けて発砲する。
しかしまだ混乱が収まっていないので照準が定めにくい。
それに暴力団などが不正規に所有している銃は大抵が粗悪な密造銃なので狙いはメチャクチャ。
オマケに撃ったせいで居場所がバレ、逆に射殺された。
突然のスタングレネードや銃声に何が起こったんだ? と住民達が家から出てきて見に集まって来た。
こんな時のために残った隊長が説明する。
「我々は特殊急襲部隊、SATです。
現在暴力組織である○○組の掃討作戦を行なっています。
まだしばらくは危険ですのでどうかご自宅にお戻り下さい」
隊長の言葉に住民達は納得して各々帰っていった。
現代日本なら考えられない事だが、この世界ではそれほど珍しく無いので住民達は何とも思わない。
彼等は警視庁直轄組織、特殊急襲部隊(SAT)である。
主に任務はハイジャック犯の狙撃や重要施設占拠などの重大テロ事件の解決、暴力組織の掃討など様々だ。
現代日本と違い、逮捕よりも射殺が多い。
今回のように反社会的な行動を行い、銃器を所持しているのならほとんど射殺する。
このような凶悪犯は矯正不可能として基本逮捕や刑務所への収監はしない。
もし投降してきたら射殺こそ免れるが、裁判で死刑や終身刑を宣告されて終わる。
そのため相手も死ぬ気で戦うが、装備や厳しい訓練によって鍛えられた精鋭達に敵うわけもなく、全員射殺された。
このようにこの世界の日本警察はかなり積極的に行動し、犯人を射殺する事も珍しく無い。
と言っても普通の警官はほとんど銃を使う事も無い。
何故なら経済の安定や厳しい法律、北郷教の活動によって治安は現代日本のように高い。
いや、暴走族や麻薬の売人など犯罪関係者自体が少ないから女性が1人で夜の街を歩いても問題無いくらいだ。
流石に事件0とは言えないが、精々が事故や飲酒運転、酔っ払いが絡んでくるぐらいだ。
何故ならスリでも場合によっては初犯で死刑になる事さえある。
こんな国で犯罪を犯しても割りに合わないのでやる者は少ない。
警察署や交番はどんな田舎にも必ずあるので日本帝国全体で治安が高い。
この国にいる限り、何処に逃げても無駄なのだ。




