9 船の建造
紀元前570年(皇紀30年)
人口は更に増え続け、現在は600人を突破。
しかしほとんどはまだ子供だ。
人口は増えても使えるようになるまでは最低15年はかかる。
だから人口が増えても兵士の数はそんなには増えない。
人口が増え、村の規模もどんどん大きくなっていくから官僚や役人を育成するために北郷大学を設立。
主に教える事は領地の管理や俺を補佐する方法だ。
そして更に教育水準を高めるために中学校程度の教育も施す。
ちなみに国民全員に義務教育が課され、最低3年学校に通わなくてはいけない。
勿論義務教育期間の学費は国が負担する。
残り3年の高等教育はそれぞれ自由だ。
金があるなら受けさせる。
もしも初等教育において優秀な成績を修めたなら無料で高等教育を受ける権利を与える。
北郷大学は厳しい試験を受けなければならないが、合格すれば無料で入学出来る。
まぁ留年や退学制度もあるから常に努力し続けなくてはならないがな。
ちなみにこれは初等教育も同様だ。
例え義務教育でも一定の規準以下の成績では卒業出来ない。
それと佐官や将官、参謀をより育成するために国防大学も設立。
士官学校において優秀な成績を修めた者が入学する。
ついでに兵学校も設立した。
これは一般兵が入る学校で、兵士としての基本や軍規、下士官になるための教育をする。
いくら歩兵でも何も教育しないんじゃバカなままだしな。
規律を守らせ、決して市民に乱暴狼藉を働かせないために教育する。
それと兵学校、士官学校、国防大学は自衛隊の学校と同じで学費は無料で逆に特別国家公務員として給料が出る。
額は時代ごとに違うが、兵学校なら大体高卒初任給より少し低いぐらい。
仕官学校なら高卒初任給ぐらい。
国防大学なら大卒初任給より少し下。
勿論寮生活をさせ、規律と連帯感、洗脳教育を重点的にやる。
建築技術も上がってきたから今までのような古民家調は止め、完全な木造建築に変える。
その際、現代程厳しくは無いが地震や自然災害が多い日本の国土に合わせた建築基準法を制定した。
既に日本建築の大体の技術は習得させたし、釘なども開発した。
屋根も茅葺きから板張りにし、屋根瓦も開発した。
屋根の形も江戸時代を参考にし、囲炉裏や釜戸を使うので通風用の穴もつける。
そして竹を割った原始的だが雨どいも作った。
これが無いと雨が降ったら面倒だ。
それに今まで床は板張りに毛皮やゴザを敷いていたが、畳敷きに変えた。
やっぱ日本と言ったら畳だしな。
それと石切り技術を教え、村の地面に石畳を敷き詰めて道路を整備した。
これで雨が降っても地面がぬかるむ事も無い。
他にも街道を整備し、交通を楽にする。
軍隊を移動させるにも道が必要になるからな。
とりあえず街道も石畳で舗装し、移動を楽にする。
材料は幾らでも揃うからな。
軍も動員して作業をさせた。
基礎体力がつくし、自分達が使う道なんだから整備させる。
兵士達も厳しい訓練よりかは楽だから喜んでやった。
付近一帯の地理を調べさせたらここは福岡県に位置すると判明。
大体の地理が分かったから後は現代の地図と符合して簡単に分かった。
これで大体の地形も把握出来る。
山の高さとかがちょっと違うが、大体は同じな筈だ。
地図を見ればどこに何の鉱山があるのか一目で分かる。
この時代の日本はまだ立派な資源が沢山ある。
まだ価値は見出だされていないから今の内に手に入れる。
先ずは鉱山の採掘や精製法を教えなくてはな。
人口が増えてきたので井戸を掘った。
今までは川の水を引いて水道モドキでやっていたが、土地が広がり、水を引きにくい所は井戸を掘った。
まだ初期型の開放式だが、技術が更に発展したらポンプ式にしよう。
今まで体を洗うにはお湯に浸けた布で体を拭いたり、ドラム缶状に作った鉄鍋にコピーしたお湯を注いで浸かったりしていた。
しかし流石にこのままではキツイので温泉を探させた。
福岡県はあまり有名な温泉地では無いが、日本は火山国なんだから温泉はある。
調査の結果、何とか温泉を発見。
熱くて人間が入れる温度では無かったが、近くの川を連結して冷やし、岩で囲んで露天風呂を作った。
場所が山奥で気楽に入れる所では無いが、温泉に入れるというだけで満足だ。
温泉と一緒に石鹸も開発。
まだ肌に優しい石鹸は無理だが、汚れを落とす事なら出来る。
縄文時代にも靴はあったらしいが、この村では靴を履くという習慣が無いので草履、草鞋を北郷商会で売り出した。
初めは珍しがって売上は低かったが、軍で草鞋を導入した事によって知られてきた。
今まで歩きにくかった所も簡単に歩けるようになったり、滑りやすい所も滑りにくくなったなど様々な利点があるからみるみる内に全員が履き出した。
ちなみに草鞋や草履の他にも皮で作ったサンダルも売り出している。
寒い冬に雪が降りだしたら藁で長靴の形に作った深靴の販売も開始した。
これで雪が降っても足の凍傷が防げる。
意外とこれが結構暖かい。
藁の断熱性ってスゲェな。
更に鉄の生産性を高めるために大規模なたたら式製鉄所を建設。
原料の鉄鉱石や燃料の薪なんて幾らでもコピー出来るからな。
普通なら製鉄のために大量の燃料の薪が必要になり、ハゲ山を量産してしまうが、能力を使えばそんな事は無い。
と言っても開拓や間伐のために大量の木を切るからそんなにコピーする必要は無い。
海軍を設立したいが、この時代の船は丸太をくり貫いた丸木船みたいな原始的な物だけ。
海軍設立より先ずは竜骨が無いジャンク船を建造する。
これなら今の技術があれば出来るだろう。
出来るならいきなり戦国時代の小早川船や関船を作りたいが、まだ早い。
とりあえず海上に進出しなくてはならない。
北郷大学は試験は難しいけど学費が無料になる。という制度があるが、これは北郷大学以外にもある。
義務教育中の3年の学費は国が負担するが、その後の進学は基本的に自己負担。
しかし義務教育中に優秀な成績を修め、希望するなら奨学金や特別奨学金を受ける事が出来る。
普通の奨学金は書類審査をパスすれば受けられる。
無利子はハードルが高いから難しいが、有利子なら申請すれば誰でも受けられる。
勿論返済義務がある。
特別奨学金は先ずは書類審査で成績が基準に達しているかを審査する。
偏差値は勿論だが、授業態度、素行なども審査の基準になる。
そして何より大切なのは愛国心や俺に対する服従心を持っているかだ。
愛国心や服従心の持ってない奴を教育しても邪魔にしかならないからな。
そして書類審査をパスすれば次は試験だ。
今までのテストより難易度を上げたテストを受け、合格したら最終試験の面接だ。
これは最終確認で、思想に問題は無いのか? 学習意欲はあるのか? 等をチェックする。
それに全部パスすれば特別奨学生になれる。
特別奨学生はこの先の学費全てを国が負担する。
家が進学先から遠かったり、家が無いという場合には寮も提供する。
最低限の食費や交通費、雑費も申請して認められれば国が負担する。
勿論奨学金の返済はしなくて良い。
しかしその代わりに1年に一回テストや面接をパスしなければ直ぐに取り消される。
それに授業態度や素行、偏差値が落ちても取り消される。
だから奨学金になれたからと言ってハメを外しすぎると奨学金を取り消されてしまう。
就職先も軍や国家公務員に決まっている。
まぁその代わりにキャリア組に入れるから奨学生のまま大学を卒業して就職出来れば出世はかなりしやすい。
それでも数年は現場を体験し、使えなければキャリアは終わる。
日本みたいにキャリアになったからって無能は出世出来ない。
むしろ「特別奨学生の癖に無能かよ」とバカにされてしまう。
書類審査や面接で勉強しか出来ない奴は弾くから無能はそんなにいないがな。