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俺の姫サン。  作者: うきわ
5/10

Eクラス。

一方、朱里。

ど…どどど、どうしよう…ッ!!

あたしの席、1番後ろだ…ッ。

このパターン、知ってる。知ってるよ…。

中学生のときもそうだった。

しかも今回もまえの席の人、めちゃめちゃ背が高いッ!!

ーーーキーンコーンカーンコーン……

あああ!!鳴っちゃったよチャイム!

…落ち着けあたし、落ち着いて席に着くんだ…。

ガララッ!!

あああ、先生も来ちゃったよ…。

「はい、注目ー」

パンパンと先生が手をたたく。

若い先生だ。それに、けっこうカッコイイ。

「今日から担任の棗愁登なつめしゅうとだ。先生になって、まだ2年だ。慣れなくて先生として頼りないかもしれないが、1年間よろしく頼む」

パチパチパチ……

みんなが拍手したのであたしも手をたたいた。

「じゃあ、自己紹介から入ろうかな」

そう言って全体を見渡した。

「じゃあ、藍田から…」

あああ!!きた~。やっぱり!!

どうしよう、あたし小っさいから見えないよね…。

「えーと?次は林?林朱里!」

ううう。ゆっくりと立つ。そして、息をゆっくり吸って…

「えと、喜多見中から来ました……」

「林、立ってから自己紹介をしなさい」

ほらね。やっぱり。

「先生…立ってます……」

みんながクスクス笑う。

ううう……恥ずかしいよぅ…。

「あっと、悪い。見えなかった。じゃあ、林、そのまま自己紹介を続けてくれ…」

ううう、先生の、バカ。

「喜多見中から来ました林朱里です…。すきなものは……」

1日で、有名人だよ…。



「アンタ、林朱里っていうの?」

ショートホームルームが終わり、上から声が降ってきた。

「あ、はい!」

どうやら、前の背の高い人らしい。え~と、たしか名前は…橋田…

「アタシは橋田杏はしだあんず。出席番号、アンタのいっこ前だよ」

橋田さんは、なんてゆうか、カッコイイ。サバサバしている。だけど、優しそうだ。きっと女子にも男子にも人気がある。

「よかったら、アタシと友達ならない!?」

いきなり、だった。

「へっ!?」

びっくり。

「アタシさあ、池波中からなんだけど、池波中の人誰もいないんだよね」

そう言って、苦笑いを浮かべた。

「だから、よかったらさ、……友達になって?」

顔が真っ赤だ…。可愛い…。

「うん!いいよ!!あたしも女友達いないんだ~」

友達はこの学校では圭吾しかいない。

「え!?ということは、男友達がいるの?」

あたしたちはタメ口で話せるほどもう仲良くなっていた。

「うん!自慢の幼馴染!!」

「そうなんだ!」

そういうと橋田さんは笑った。

「ねえ、ねえ、橋田さん」

「杏でいいよ」

「じゃあ、あんちゃん!」

「呼び捨てでいいのに~」

杏ちゃんは笑った。

「でもこの方がしっくりくるよ」

あたしは呼び捨てで呼ぶことがほとんど無い。

「杏ちゃんって、頭よさそうなのになんでEクラスなの?それとも、やっぱり…バカ?」

本当、とても賢そうだ。バカには見えない。

「え?あ~…」

この反応からして、やっぱり頭はいいんだ…。

あたしは最下位…。うえーん。

「入試のときにね、寝ちゃったのよ」

「ええ!?」

寝ちゃった!?

…でも、それでもあたしより点数は上ってコトか…。

なんか、泣けてきた…。

「まあ、正確に言うとアタシ38度熱があったのよね~」

「えええ!?」

「ははは。前日勉強がんばりすぎて遅くまで起きて、当日バタンキューよ。ほんと、アタシってバカだよね」

はははっと杏ちゃんは笑った。

「で?朱里はなんで?」

ううう…。そんなの、決まってる。

「実力…です。これ以上聞かないで…」

杏ちゃんは目を見開いた。ちょっとすると笑い声が…。

あはははっ!!……杏ちゃん、大笑いだよ。

「いーじゃん!いーじゃん!!個性じゃん!!」

え?なんて?分かってくれるの?

このあたしの気持ちを分かってくれるの!?

「あ…杏ちゃんッ!!」

杏ちゃんに抱きつくと杏ちゃんはよしよししてくれた。

「圭吾はねッ、バカにしたんだよ~」

あああ、杏ちゃん優しい!!

「圭吾…って、幼馴染?」

「え?うん!!」

「まあ、幼馴染じゃね~」

そういってあたしを見た。

「今度紹介してね」

またにっこり。スマイル0円…。

「うん!」

入学初日、あたしにはすごくステキな友達ができた。

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