新しい制服。
俺、深山圭吾。
今日から高校1年生。
そして隣の超鈍感な姫(幼馴染)、林朱里。
同じく今日から高校1年生。
俺たちは今日から通う高校へと向かっている。
「ねえ、ねえっ!なんだかドキドキわくわくするねー!」
朱里はそう言って俺の前に行ってくるりとまわる。
「なんだ、その感想。ドキドキわくわくって保育園児か?」
そう言うと、朱里は立ち止まって
「違うもーん!だって今の気持ちに1番あってるもん」
「可愛いでしょ、スカート!」
はっきり言って………可愛い。
「でもね、圭吾だって、めちゃくちゃカッコイイ~」
そう言って笑う。そしてまた1回転。スカートがふわりと浮く。
あ……。
「見えた、パンツ」
嬉しくてニヤける顔を見られないように誤魔化すように言う。
それにしてもスカート短すぎんだよ。他の奴が見たらどうすんだ。
「えっ!?…圭吾のえっち…」
朱里の顔がどんどん朱に染まる。
見せる方が悪いんだ。見せるほーが。
「オマエもっとスカート長くしろよ」
そう言いながら朱里に近づくと
「こないでください、変態さん!!」
……あ”あ”!?
朱里はくるりと回避。…また見えた。
「スカートは短い方が可愛いの!分かんないかなあ~」
スカートの裾をちょんっとつまむ。
「分からん」
朱里の横を通り抜け、速く歩いてやる。
「えっ!?わわわ、圭吾待ってよっ!」
朱里が後ろから着いてくる。
「…ぷッ」
おもわず吹き出す。…ヒヨコみたいだ。
笑っている俺を朱里は……抜きやがった。
「へへっ!圭吾、おっそーい」
小悪魔みたいに笑っていた。
でもな…俺がオマエに負けるとでも?
「…っと」
小走りを続ける朱里を放って俺は止まった。
俺と朱里との間に距離ができる。
さーて、いつ気がつくかな?
じっと朱里を見て、待つ。
あ、気がついた。
「圭吾!なんでそんなとこにいるのお~」
朱里が小走りで戻ってきた。
「一緒にいかないと嫌だあ~」
そう言いながら抱きついてくる。
…色んなものがあたってる…。
オイオイ…。俺たちもう高校生だぜ……?
「そこらのバカップルじゃねーんだから抱きつくなよ」
朱里を俺から引き剥がそうとすると、もっと強く抱きついてきた。
「ぐぇっ…」
朱里は顔をあげると、
「いーじゃん!あたし圭吾大好きっ!」
ははは…。幼馴染として、だろ?
そういう鈍感、迷惑だ。
俺は朱里を引き剥がす。
「ふぇっ」
なんか変な声を出した。
「彼氏できてからやれ」
…本当は彼氏なんかつくって欲しくないけど…。
「う~…。じゃあ、今は圭吾で我慢!」
……今は、か。
俺も朱里に抱き返せたらいいのに。
おもいっきり抱けたらいいのに。
けど、そんな勇気はない。
だって、幼馴染だから。
恋人じゃないんだ。
俺だってもう高校生。
中学生だったあの頃とはもう訳が違う。
15の春。
新しい学校の門を潜りぬけた。