親の権力
「パーティの招待状?」
とある王国のとある貴族の姉弟が、城の中庭にいた。
机の上には、主張の強いバラと紅茶、スイーツ、そして砂糖が並べてある。
姉にあたる女性ーーエネガンティアは、クッキーを頬張りながら差し出された手紙をまじまじと見つめた。
「特に珍しくもないでしょう。この辺りはパーティ好きの金持ちが多い」
「私たちの父親みたいな?」
「そうです」
弟にあたる少年ーーヴィルは紅茶を一口飲んだ。父親の話題を出されて少し不機嫌そうに見える。
「ヴィルは行きたくないの?」
「出来ることなら。行く度にやれ跡継ぎのこと、結婚のこと煩いですからね」
紅茶が熱かったのか、ティーカップにはもう触れなかった。
「さて、どう断りますか?"姉様が自己管理を怠りコルセットを付けれなくなった"という文言はもう使ったので」
「ちょっと待ちなさい、なんですって?いつの間にそんなホラを吹いたの」
「すみません、姉様の尊厳を保つために言ったんですけどね」
____嘘である。
この平民出身の姉の尊厳は出来る限り壊していきたいと思っている。
「私は体重管理はしっかりしてるわ」
「ごめんなさい、やっぱり怒ってますよね…」
「いえ、それほどでもないけれど」
____嘘である。
使用人が遠巻きにこちらを見つめてるため、怒りを露わに出来ないだけである。
「顔が引き攣ってますよ、姉様」
「誰のせいだと?」
「はは、僕のせいですかね」
今日1番の笑顔である。
エネガンティアは気付かれない程度にため息を付いた。
「それ、出欠期限はいつ?」
「明日の午後ですね」
「もう理由はなんでも良いわ、今すぐ断って」
「ばあやに頼んでおきます」
そこで使用人の1人が2人に近づいた。
「失礼します。この後お召し物の確認をしたく思いまして…」
姉弟は目を合わせた。
「…ごめんなさい、それは何のためのお召し物かしら?」
「明後日のパーティ用です」
「そうなの、私たちは今断ろうと思っていたのだけれど…」
「旦那様が、エネガンティア様とヴィル様は必ず連れて行くと申しておりました」
その瞬間、ヴィルから明らかに機嫌が悪くなった雰囲気が滲み出した。
気を抜くな、という意味を込めてエネガンティアはヴィルの足を軽く踏んだ。
「そう、分かったわ。もう少し後にお願い」
「承知しました」
「…猫が被りきれてないわよ、クソガキ」
「ちょっと口を閉じて頂けます?」




