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「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


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⑨ 神の領域の技

 一体ナニをする気なのか。

 具体的な事は一切語らず、雪村は行動を起こした。


 彼のたっての希望で、証人として、由理子、京子、ミケーネ、ナーガ、ケクロプス…つまり今回関わったフルメンバーが、その出来事に立ち会うことになった。


 一行はミケーネの船に乗り込み、一路22000年前の太陽系を目指して、地球の衛星軌道上から、時空ジャンプした。


 ジャンプした出口は当然、また衛星軌道上だった。

 確かに地球は無事のようだった。

 ただし、この世界線の地球の覇者は、爬虫類族なのだろう。

 

 次にミケーネの操縦で、船は地球の公転軌道を逆のぼるように飛んだ。

 すると、太陽の向こう側に、確かに見えて来たのだ。先程、旅立ったばかりのはずの地球にソックリな惑星が!


 船内の警報装置が鳴り出した。

 目の前の地球のソックリさんから、避難するロケットや宇宙船が、どんどん飛び去って行くのが見えた。


 そして、一行の乗った船の後方から、たくさんの隕石群が近付いて来るのが、船内のレーダースクリーンに映し出された。

 

「…そろそろ頃合いですね?」

 雪村がそう言うと、船外のカウンターアースに向かって、窓越しに両手をかざし、ナニやら念を込め始めた様子だった。


「さあ、行きますよ!」

 彼の掛け声とともに、目の前の反地球が、少しずつ光を放ちだし、そして最大限に輝いて…やがて跡形も無く、消失した!


「何て事を!?」

 ケクロプスは叫んだ。

「大丈夫です…たぶん。」

 雪村は答えた。


「今、アナタたちのカウンターアースを、ここから300光年程離れた場所に、移動させました。」

 雪村がナニ食わぬ顔でそう言った。


「それは一体…?」

 ケクロプスには、訳が解らない。

 いや、多分、その場に居る雪村以外の誰にも、この状況は理解不能だろう。


「白鳥座にある、ケプラー1649Aと言う名の、赤色矮星の公転軌道に乗せました。」

「何だって!?」

 その仕業の、難しさが具体的に理解できる、ミケーネが叫んだ。


「1年が19.5日になりますが、暮らしに影響は少ないでしょう。」

「いや、それ、短くない?」

 由理子が呟いた。


「そして、地球の観測者によって、2020年に見つかるまでは、注目もされません。安心、安全です。」

「…そういうモンダイなのかしら?」

 京子は首を捻る。


 そして肝心のケクロプスは…驚愕の表情から、次第に満面の笑みに変わっていった。

「有り難い!しかし、ニワカには信じ難い。それが本当なら、神にも等しい仕業だ。」

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