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「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


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7/8

⑦ 彼なら出来る

「でも、無数に有る並行宇宙を、全てチェックすることなんて不可能よね?」

 京子が当たり前のことを言う。

「ところが、ここにソレに近いことが出来る人が居るわ。」

 由理子が雪村を指さす。


「ああ、少なくとも、人類が地球の覇者で、雪子さんの同位体が居る世界線は、全てチェック可能だよ。精神波を飛ばして全ての雪子さんに指示することができるんだ。ただ一旦、テレビ塔に戻らないと無理かな…。」

 雪村はそう言った。


「わかった。私がもう一度、キミたちを送り届けよう。その後で猫族の時間軸を調べてみよう。」

 ミケーネが言った。


「犬族、鳥族には、超時空ホットラインを使って、私から連絡を取ってみようと思う。」

 そちらはナーガ王が引き受けた。


 それぞれが役割を分担すると、皆ただちに行動に移った。

 ケクロプスはミケーネ王のサポートに回って細かい情報の交換をした。


 しばらくたった後、ミケーネに送られて再び雪村が戻って来た。

 行く時には、余裕タップリの表情だった彼の顔色が、あまりに冴えないので、心配してナーガ王が声をかけた。


「確か…雪村君だったな。どうした?浮かない顔をして…。」

「ナーガ王。…それが…。」

 雪村がナーガ王に近付いて、小声で耳打ちする。 


 ソレを聞いたナーガ王も「何と!?」と言ったきり黙りこくってしまった。

「どうかしたんですか?」

 そばに居たケプクロスが気にしている。


「コレは、もう一度皆さんに集合してもらって説明しなくては、ですね?」

「はい。ぜひそうしていただきたいです。」


 そんなナーガ王と雪村のやり取りの後、当初のメンバーが城の一室に集められた。

 

 いつも余裕タップリの雪村が、珍しく深刻そうな顔をしているので、皆は直ぐに只事では無いと気づいた。

 特に昭和…いや元昭和の時間軸組は長い付き合いだからよく分かった。


 雪村は、そこに集まった一人一人の顔をよく見て…特にケクロプスの顔をしっかり見つめて、話を切り出した。


「今日皆さんに集まっていただいたのは、他でもありません。調査を進める中で、重大な事実が発覚したからです。念のため、ミケーネさんの宇宙船兼タイムマシンをお借りして、確認をしたので間違いありません。」


「どうしたの。一体、何だっていうの?」

 京子が尋ねた。

「…それは重大な勘違いでした。」 

 構わず雪村は話し続ける。




 

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