④ いざ時空遠征へ
そんな訳で、今回のパーティー…じゃなかったチーム編成は、3名のニンゲンと猫1匹になった。
コレは決して、RPGなどでは無いのだ。地球の危機なのだ…多分。
赤い髪にメイド服の由理子。
黄色いワンピースにトレンチコートを羽織る京子。
フード付きのグレーのパーカーにジーンズの雪村。
未来チックなツナギを着た白猫のミケーネ。
皆並ぶと、何だか雪村だけが緊張感が無く、ラフな感じがした。彼はもう、よほどの敵に遭遇しない限り、そんな感じでいることが、常態化しているらしい。
ソレに蜥蜴王ナーガを含めたメンバーで、ミケーネの船に乗り込み、一路、爬虫類族の世界を目指して、名護屋テレビ塔の地下駐車場から、時空ジャンプをして行ったのだった。
出た先は立派な城の前だった。
「まあ、キレイなお城ねぇ。まるでほら、アレみたい…。」
京子が、何かイケナイことを言いかけたように見えたので、由理子に止められた。
「京子お姉様。それ以上は、版権モンダイになりますので…。」
「ナニ言ってるの、アナタ。私はただ、ノイシュバンシュタイン城みたいだって、言おうとしただけよ?」
「ああ、なら大丈夫です。」
何故かホッと胸を撫で下ろす由理子。
「…何よ。ヘンな子ねえ?」
「さあ、皆さんコチラへどうぞ。」
ナーガ王の案内で、由理子御一行は、城の城門から奥へと入って行った。
城は外側から見たイメージ通り、一階内部の天井が高く、吹き抜けになっていた。
部屋の中央には、二階の左右へと続く長い階段が有り、まるで宝塚歌劇団のセットのようだった。
「こちらです。」
ナーガ王が皆を案内したのは、中央階段の真下にある、エレベーターホールだった。
「実は、階段は普段誰も使わなくて…ほとんど飾りみたいなモノなんですよ。」
そう言いながら、彼は皆をエレベーターに乗せた。
そして操作パネルをいじると、エレベーターを降下させたのだった。
エレベーターはかなり深くまで降りたようだ。
まるで宇宙戦艦ヤマトの第1話みたいだな。
雪村は、ボンヤリそんな連想をしていた。
エレベーターのドアが開くと、左右にたくさんのドアが並ぶ、長い廊下が見えた。
まるでサン・ジェルマンの研究フロアみたいだわ、と由理子は思った。
エレベーターから数えて、左側5番目の扉の前まで来ると、ナーガ王が右手の壁に有るパネルに手を当てて、掌認証を使ってカギの開錠をした。
一行が中に入ると、背後で扉が自動的に閉じられた。
部屋の中央には縦、横、奥行きがそれぞれ3m程の透明な立方体があり、その中で透明なフレームのベッドに腰掛けて、コチラをじっと見つめる人物が居たのだった。




