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「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


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㉛ 兄姉妹が勢揃い

 兄にも妹にも秘密にしていたチカラが、確かに香子には有った。

 逆に言うと、そのチカラ故に、彼女は家から一歩も出ずに、外界の様々な情報を、得ることが可能だったのである。


 そのチカラとは…。

「…植物を操るチカラよ。」

「…は?」

 由理子も鷹志も、一瞬理解出来ないようだった。


「私が利用出来るのは、あらゆる植物の根、茎、葉、花、実。あ、キノコはダメよ。アレは菌類だから…。」

「一体どういう…?」コレは鷹志。


「チカラを発揮するために、もちろん理想的な環境は、森林の中だけど、街中でも何とかなるのよ。」

「…?」まだ皆ピンと来ない。


「切り花でも、鉢植えでも、オシャレなインテリアとしての観葉植物でもイイのよ。ただそこに植物が存在してさえいれば…。」

 由理子と鷹志はまだ理解不能だ。


「私はね…あらゆる植物を介して、そこら中の情報を集めることができのよ。色々な場所にある植物が、一種の中継機となって、私に情報を送ってくれるの。そして私は、安楽椅子探偵よろしく、その情報を分析して、状況を理解するのよ。」


「ええっ!?」

 由理子はショックだった。何故なら、このカフェの花瓶のバラや、部屋の片隅の観葉植物のお世話をしていたのは、自分だったからだ。


「まあ、言うなれば、合法的な盗聴よね?」

「いや、そんなワード有りませんて!」

 由理子と鷹志は、同時にツッコミを入れた。


 それにかまわず、香子は話し続ける。

「後、植物に物理的に助けてもらう事もできるのよ?」

「ほう?」コレはサン・ジェルマン。


「蔓や根を伸ばして相手を縛りつけたり、特大のウツボカズラで、死体を消したりね?」

「えっ?」コレは雪子。


「なによ。冗談に決まってるでしょ?」

 そう言う香子の笑顔が、シャレにならない感じだ。


「…じゃあ、そのリュックの中身は?」

 由理子の問いに、笑顔のまま、香子が答える。

「さあ、何だと思う?」  


「…いや、分からないなあ。」

 少し震えながら、鷹志がかろうじて、そう言った。

「ねえ、生首一つ分のウツボカズラに、ちょうど良いサイズだと思わない?」

 薄ら笑いを浮かべながら、そんな事を言う香子。


「ひいいっ」と鷹志。

「ウソに決まってるでしょ!何度も同じ手にひっかからないの!ホントは午前中に、金城埠頭でやってたコミケで買った、BL本が大量に入っているだけよ。」


「ひいいっ」と別の意味を込めて鷹志。

 そう。彼女はソッチ側の腐女子だったのだ。


「アナタ色白のイケメンで細身で、BL本のモデルにピッタリよね?もちろん"攻め"じゃなくて"受け"ね?」


「だからさっきあんなに…。」

 由理子がナニか言いかけて、やめた。こんなことは、とても珍しいのだ。


「まあ、まあ、香子さん、冗談はそれくらいにして。」

 見かねたサン・ジェルマンが助け船を出した。


「そんな訳だから、今後は、仕事に影響が出ない範囲内で、サン・ジェルマン伯爵のチームに参加するから、よろしくね?もちろん、報酬無しのボランティアで。公務員は副業禁止だから。」


 香子はそう皆に宣言して、満足そうに、ティーカップのお茶を飲んだ。

「期待していいのよね?」と雪子。

「もちろん。」クドいな、という感じの香子。


「まあ、人手は多い方が、何かとイイでしょう?」 

 サン・ジェルマンはそう言った。

「因みに、ここに不在のメンバーは、真田雪村くん、村田京子くん、酒井弓子くんの3名ですよ。」

「了解です。」と香子。


 こうしてついに、真田兄姉妹が漏れ無く全て、時空調査が名目の、サン・ジェルマンのチームのメンバーとして、勢揃いしたのだった。  


 最後の1名の合流の仕方が、まるでNHKの人形劇でやっていた"新八犬伝の犬江親兵衛"のように唐突感があったのは、ご愛敬だ。


 果たして、このチームでどんな冒険に立ち向かうのか。

 それはまた、別の話なのである。



挿絵(By みてみん)


 以上で第17巻は完結です。

 第18巻を待つ間に、"真説 竹取物語 第零章〜第二章"を読んでいただくと、より面白くなる構造にしました。

是非どうぞ(>ω<)

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