表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/31

㉙  真打ち登場?

「ねえ、サン・ジェルマン。」

「なんだい?雪子さん。」

「私はまた、自分の夢に一歩近づいたわ。」

「そうですか。ソレはなによりですな。」


「アヌンナキたちは、きっとイイ戦力になるわ。」

「そうだとイイですね。」

「私、いつかきっと、この三次元世界を、四次元人から自由にしてみせるわ。」


「…その時には、不肖この私めも、助太刀いたしますよ。」

「それは心強いわね。きっとよ?」

「…御意。必ずや。」 

 サン・ジェルマンは、まるで武士みたいな返事をした。


 ちょうどその時、それまで隣のテーブルで、杉浦鷹志とイチャついていた由理子が、声を上げた。

「あれ?誰か戻って来たのかしら?」


 彼女に言われて皆が注目すると、エレベーターの電光表示が、一階から二階、三階と上昇している。

「ああ、それなら…。」サンジェルマンが何か言いかけた時、エレベーターの扉が開いて、とある人物が降りて来た。


 アタマは黒髪のショートヘアー。

 顔には丸いフレームの眼鏡をかけている。

 体型は小柄で痩せ型。

 上着はブルーのチェック柄のブラウス。

 ボトムは紺色のストレートジーンズ。

 背中には黒いリュックサックを背負っていた。


 まるでそれは、よくコミケで見かける、オタク男子のスタイルそのものだった。

 それは、満を持しての"真田香子"の登場だった。

 雪子と由理子にとっては、まさに"ウワサをすれば"である。


 真田香子は、真田雪村の妹で、真田由理子の姉である。

 このシリーズを、途中から読み始めた読者諸氏にとっては「誰、ソレ?」といったところだろう。


 それもそのはず。彼女はシリーズ第1巻に、さも意味有り気に登場して依頼、物語の表舞台には、ほとんど関わって来なかったのである。


 ただ、彼女自身、全く何も知らずの蚊帳の外だった訳では無かった。

 それは頼みもしないのに、電話を始めとするあらゆる手段を使って、由理子が逐一、様々な事件や冒険について、面白可笑しく報告を入れていたからなのである…もっとも、そんな手間をかけて貰わなくても、ある程度の状況を把握するチカラが、彼女には備わっているのだが…。


 しかし、彼女は堅実な性格である。

 彼女は地に脚が着いた生活を望んだ。

 カネにもならない冒険譚など、クソなのである。


 いつも、どこかボウっとしていて、雪子に誘われると、ホイホイついて行く雪村や、いつまでも定職にもつかずに、怪しいカフェでコスプレバイトをしている由理子のことが、自由でウラヤマシイ…じゃなくて、許せなかった。


 彼女は、国立大学の教育学部国語科を卒業すると、すぐに豊橋市の公立小学校の教諭になった。

 憧れの教育公務員である。


 勤務実態は確かにブラックだが、真面目に働いてさえいれば、安定した給与と福利厚生が約束された業界なのだ。


 そもそもこの世に、楽して儲かる仕事など、無いのである…というのが、彼女の持論だ。

 根無し草のような、ローリングストーンのような生活に、憧れが無いと言えばウソになる。


 しかし、そんなモノは、小説とか、マンガとか、アニメとか、ゲームとか、そういったフィクションの世界で楽しんだら充分なのだ。


 若いウチから、ちゃんと老後に備えておかなければ、人生詰むのだ。

 兄にも妹にも、機会があるたびに、口酸っぱくそう言って来たが、最近では諦めてしまった。


 だからせめて自分だけでもと、今日この日まで、ただひたすらに、堅実に頑張って来たのである。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ