㉘ 雪子とサン・ジェルマン
そうこうする内に、シルバーのビートルは、無事にテレビ塔の地下駐車場に戻って来た。
上階の亜空間レストランでは、サンジェルマンと杉浦鷹志が、お茶を飲みながら待っていた。
「鷹志、ただいま!」
「ああ、お帰り。由理ちゃん。無事で何よりだ。」
「ただいま。私のサン・ジェルマン。」
「お帰りなさい。雪子さん。」
「あれぇ?他のみんなは?」と由理子。
「皆さん、それぞれ用事が有るらしくて、帰りましたよ。」
サン・ジェルマンが答える。
「え〜、誰も心配してくれてないんだあ。ショック。」
「まあまあ、アナタと雪子さんのコンビニなら、心配無用のミッションだったでしょう?」
「まあね。でも雪子姉様は、ちょっと大変な目にあってたけど…。」
「本当ですか?命の危険性が有る場面には、必ず雪村君が、瞬間移動で降臨するはずですが…?」
「大したことは無かったのよ。ただ、ついつい夢中になって、全力を出しちゃっただけ。」
雪子はこの程度の事を、大袈裟に取られたくないのだった。
「え〜、でも、ほら、黒焦げになってたじゃないですか?何かあとから、魔法で元通りになってたけど…。」
「黒焦げ…大丈夫なんですか?」鷹志が慌てた。
「どうということはないわ。ただちょっと、大きめの、雷の直撃を食らっただけよ。」
「ええっ!?」鷹志がびっくりした。
「なんかあ、相手の名前があ、戦争王イシュタル?とかなんとか…。」
イイ加減な言い方の由理子。
「ええっ!?」鷹志が二度びっくりした。
「ほう、それはまた、イイ経験をなさいましたね?イシュタルなんて、中々直接闘ってくれませんよ。雪子さん、余程気に入られたんですねぇ。」
サン・ジェルマンの受け取り方も独特だ。
「まあね。色々教えて貰ったし、お土産にコレをくれたわ。」
雪子はそう言うと、背中に斜め掛けしていたオリハルコンの剣を抜いて見せた。
「サン・ジェルマン、確かアナタもコレ、持ってたわよね?」
「はい。私のは大切に研究室に保管してあります。」
「アヌンナキによると、オリハルコンの効力は、持主のチカラを純度高く引き出すことらしいわ。」
「ほう、やはりそうでしたか。だからあの時、この私でも、あんなチカラが出せたのですねえ。」
「コレ、彼等の母星だったカウンターアース…つまり惑星ニビルでは、ありふれた金属らしいのよ。逆に地球のゴールドの方が、よっぽど貴重なんだって。」
「それで古代エジプトで、並行宇宙の異種族相手に、商売を始めたんですね?」
「どうもそうらしいわ。」
「あと、キャップストーンの設置者は、アヌンナキたちで間違い無いわね。ただ、ピラミッドとスフィンクスは、更に以前、何者かによってポータル安定の為に設置されたもので、それは誰か分からず、謎は残ったわ。」




