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「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


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㉕ 帰り道

 雪子が驚いたことに、ケツァルコアトルスは忠犬よろしく、城門前で大人しく待っていた。城門の番兵によると、何のトラブルも無かったようで、ホッと胸を撫で下ろした。


 正直、いくら不老不死とは言え、今の彼女は消耗が激しかった。だからこれ以上のトラブルは、御免こうむりたいのである。


 もう一つの驚きは、アヌンナキの7柱の面々が、ゾロゾロと彼女たちの見送りに、城門まで出てきた事である。余程さっきの闘いが印象深かったのか、或いはただ、伝説の怪鳥、ケツァルコアトルスを見たいだけだったのかは、定かでは無いが…。


「わざわざお見送りありがとう。じゃあコレで、本当にサヨナラね?」 

 雪子は由理子とともに怪鳥の背に乗ると、7柱に向かって最後の挨拶をした。


「ああ、元気でな。サン・ジェルマンによろしく伝えてくれ。」

 天王アンが答える。

「楽しかったわ。いつかまたヤリましょう。」

 戦争王イシュタルがそう言って手を振る。


「あと、コレはお土産に持って帰って。」

 彼女はそう言って、先程使用したオリハルコンの剣を、騎乗の邪魔にならないように、雪子の背に斜め掛けした。


 他の柱たちは黙っていた。


「ああ、最後に一つだけ…。」

 天王が雪子に思い出したように言った。

「なあに?別れが寂しくなったの?」


「…その、惑星移動を実行したニンゲンは、フェニックス…つまり鳳凰の生まれ変わりと言い伝えられているが、それは本当なのか?」

「さあ?でもサン・ジェルマンは、そう言っていたわね。」


「鳳凰は、我々にとっても、大切な神なのだ。本当なら、いつか会いに行きたいものだ。」

「あら、貴方神々にとっても、さらに上級の神って訳ね?」


「ああ、くれぐれも宜しく頼む。」

「分かったわ。他の者に迷惑をかけないなら、いつか逢わせてあげる。」

「それは助かる。」

「じゃあ、また、ね?」


 ケツァルコアトルスは大きな翼を広げると、その一振りで、空高く舞い上がった。

 地上の7柱の面々は、あっと言う間に小さくなった。


「よろしかったのですか?あのまま行かせて。」

 天王アンの隣に居た知恵王エンキが、そこで初めて口を開いた。


「良いのだ。彼女にはいつかまた逢えよう。さすればあの鳳凰様にも…。」

 天王アンはそう言って、目を細めたのだった。


挿絵(By みてみん)

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