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「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


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㉔ 下僕のチカラ

「…それにしても。」

 天王アンは言う。


「…そのサン・ジェルマンの下僕とか言う人物とは、どんな化け物かね?生身の単身で、惑星まるまる一つを、別の星系に瞬間移動させるなどと…ニワカには信じられない所業だ。」


「天下のアヌンナキの長から見ても、やっぱりそう思うのね。光栄なことだわ。」


「もちろん、我々も同じ事をしようと計画した。ただし、惑星を取り囲む、専用のマシンを起動させるためには、我々の誇る高水準の科学技術を持ってしても、膨大なエネルギーが必要で、計画は頓挫したことを付け加えておこう。」


「そうなのよねえ。チートにも程があるって言うか…やっぱりどう考えも、異常なチカラよねえ。因みに私自身は、彼の細胞のほんの一部が、変異した物なのよ。」


「ほう、それは興味深い。」

「はい!王様。」

「何かな?赤い髪の…由理子だったか?」

「私、その現場に居ました。彼…実は私の兄なんですけど…直接話も聞きました。エネルギーじゃなくて、イメージのモンダイなんだって言ってました。」


「それは…。」

「一番大事なのは、自分がそれをヤッているところを具体的に想像出来るかどうか。なんだって。」 

「そんな…それじゃあまるで…魔法だ。」


「まさかアヌンナキのトップの、天王アンの口から、そのワードが出るとは思わなかったわ。」

 雪子はちょっと嬉しそうだった。


「ところで今後、アナタたちがこの地を去った後、私がエジプトのキャップストーンを移動させても、怒ったりしないわよね?」


「ああ、別に構わないが、ポータルの制御は難しくなるぞ。」  

「ピンポイントで搾取のために、他の並行宇宙から狙い撃ちされるより、まだマシだわ。」


「まあ、せいぜい気をつけることだ。爬虫類族のやり口は、ジェントルとは言い難い部分もあるからな。」

「は〜い。爬虫類族と鳥族って仲悪いの?」

 横から手を上げて、また訊きにくいことを、由理子が平気で質問した。


「…どちらがより進化した存在であるのか…つまりどちらがより上位の存在であるのかについては、よく論争になったりしているよ…下らない事だ。」


「犬族と猫族は?」

「ヤツらはそもそも、最も後発のエジプト介入者たちだから、大人しいものだよ。もともと種族としても、好戦的では無いようだしな。」

 

「へえ。じゃあ、鳥族や爬虫類族の方が、喧嘩っぱやいのね?」 

「まあ、そう言うな。確かに、縄張り意識は強いがな。」


「色々教えてくれてありがとう。今日のところは、これで帰るわ。」

 雪子はそろそろ話を切り上げることにした。  

 これ以上長居すると、由理子が次から次に、余計な事を言い出しかねない感じだった。

 尋ねられる相手も、ウソがつけないから、気の毒だ。


 それに城門の外に待たせている、ケツァルコアトルスの事も、そろそろ心配になっていたからだった。


挿絵(By みてみん)

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