⑱ 七つの柱たち
「ほう、それは興味深い。ハダカ猿族の中に、我々にイジられることなく、自ら進化した者が居るとうことか?」
正面に座っている、円卓の中で、最も年長と見受けられる鳥男が、まず口火を切った。
もっとも、鳥男とは言っても、先程までの下僕とは違う。その姿はさながら、白い鳥の毛皮をまとったニンゲンのようだった。ナニ由来でも結局、進化の果てに霊長類になると、姿が似通って来るという事なのだろうか?
それはちょうど、カラス天狗と大天狗の違いのようだった。
「朕の名は天王アン。貴様たちから見て時計回りに、大気王エンリル、知恵王エンキ、大地王ニンフルサグ、月王ナンナ、太陽王ウトー、戦争王イシュタルである。」
「丁寧なご紹介ありがとうございます。私の名は真田雪子。超時空の魔女、通りすがりの魔女と名乗ることもあるわ。」
「こんにちは。私は真田由理子っていいます。雪子姉さんの時空を超えた妹です。得意技は、色々な生き物と心を通わせる事。一番大きなお友だちは、ケツァルコアトルスよ。」
そんな感じに、雪子と由理子がそれぞれ挨拶をした。
「では、魔女の雪子よ。貴様の望みは何か、言ってみよ。」
「そうねえ。まずはニンゲンの代表として、貴方のルーツはどこからやって来た者なのか、知りたいわ。それに、エジプトのキャップストーンの設置意図も、詳しくお聞かせ願えるかしら?」
「ソレを知って、どうするつもりかな?」
「事と次第によっては、あなた方の前に、この私が立ちはだかることになるわね。あ、でも安心して。歴史上で確定している事実を、変える気は無いから。」
「ほほう。多少賢しく、力強くなったとて、貴様たちニンゲンが、我々神々に敵うはずもないが…まあ、いい。知りたければ教えてやろう。」
「…ありがとう。助かるわ。」
「我々は、この惑星と同一公転面上の、太陽の向こう側にあった惑星ニビルからやって来た。残念ながら、ニビルは先日の隕石群の飛来により、壊滅の危機に瀕した。我々は辛くもそこを脱出し、それぞれ散り散りバラバラに、避難した。他の仲間たちは、火星に移住したり、太陽系外を目指したりしたが、我々はこの惑星を、仮住まいに選んだ。都合の良いことに、ここには、少し賢くしてやれば使い物になる、ハダカ猿族が先住していた。我々は彼等に、記録に必要な文字の読み書きを皮切りに、天文学や数学、科学などの知識や、社会的組織の作り方等を次々に伝授した。その見返りに、彼等には我々の下僕として、様々な作業を手伝って貰っている。言わばギブアンドテイクだよ。」
「なるほど。思った通りね。」
「ふらっとやって来た貴様たちにも、こうして丁寧に説明してやっている。我々は寛大だとは思わんかね?」
「随分余裕タップリだこと。でも感謝してるわ。」
「次にキャップストーンの設置目的の件だが…あのエジプトの地は、我々以外にも、イレギュラーに色々な種族がやって来る、言わば天然のポータルになっているようなのだ。恐らく我々が関わる以前に、もう一体在ったはずの、スフィンクスが失われた影響で、ポータルの時空の穴が、制御不能になってしまったのだろう。だからその安定した制御のために、キャップストーンを設置したのだ。これで時空間の不規則な往来は無くなって、現場のエジプト人たちの混乱も収まったのだ。むしろボランティア的な我々の行為に感謝してもらいたいくらいだ。」
「でも今、あなた方はそのポータル…時空ゲートを、最大限に利用して、様々な種族と黄金のやり取りなどで交易することで、大きな利益を得ているのよね?」
「無論、それもギブアンドテイクというヤツだ。我々に便宜を図ってくれている、現地のニンゲンたちには、見返りにオリハルコンを与えている。だからコレは、一方的な搾取ではないぞ。」




