⑭ 金字塔の頂上石
数日後、セーラー服の雪子と、赤髪にメイド服の由理子は、サン・ジェルマンのシルバーのビートルで、一路、2万年前に向かって出発した。
道すがら、助手席から由理子が雪子に話しかける。
「キャップストーンの製作者の正体を調べに行くんですよね?」
「そうよ。そして、それは恐らくニンゲンではないから、アナタに通訳を頼みたいの。」
「お任せ下さい!因みに、交渉も得意ですよ?」
「それは頼もしいわね。私はついつい、チカラに頼り勝ちだから…それでも最近は、ちょっとだけオトナになったんだけどね?」
「私は…お姉様のような、強いオンナに憧れるけどなあ。」
「あらそう?でも、アナタのように、戦わずに事態を丸く収めるチカラも、大したモノよ?」
そんな事をしゃべっている間に、ビートルは紀元前18000年のエジプトに到着した。
そこは所謂、ギザのピラミッド前だった。
雪子は敢えて、ビートルを目立つように着陸させた。それは自らを見た者に、オーバーロードと認識させるためである。
案の定、現地のニンゲンたちは目を丸くしていた。
さながら、天から現れた現人神という訳だ。
雪子がスフィンクスを眺めながら、由理子に語りかける。
「下鴨神社事件の時、最終的に、彼等…猫族、犬族、鳥族、爬虫類族たちは、皆、ここからそれぞれの時空へ帰って行ったと思ってたんだけど…。」
「…それが?」と由理子。
「無理よね?だって彼等は、それぞれの並行カウンターアースから来ていて、それらは全て隕石の襲来で、壊滅したはずだもの、」
「あっ、ああ、確かに!」
「だから、彼等が、本当は、どこに帰って行ったのか。ソレがモンダイなのよ。」
「なるほど。」
「もしも彼等が、帰ったフリをしただけだったなら、色々未来に影響ありそうでしょ?」
「マズイですね。」
「史実を超えるような影響が無い事を願うわ。」
二人でそんな会話をしながら、ふと、ピラミッドの頂上を見上げると、ナニやらゴソゴソうごめく人影が見えた。
「アレはナニかしら?」雪子が気がついて呟く。
由理子もそちらを見て、目を凝らした。
「ヒト…じゃない、鳥族ですよ?」
「あら、爬虫類族じゃないのね?」
どうやらソイツが、今まさに、キャップストーンを設置している最中のようだった。
「ちょっと一緒に来て。」
雪子はそう言うと、由理子を左の小脇に抱えて、三段跳びで、ピラミッドの頂上へ飛んだ。
「ねえ、アナタ、ココでナニしてるの?由理子さん通訳を!」
そこで由理子は、そういう意味のテレパシーを、相手に送ってみた。
すると鳥族の者は、流暢なヘブライ語で答えた。
「それより、いきなり何だ、キミたちは?ハダカ猿族のクセに、なんなのだ、そのチカラは!?」




