表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「赤い髪のメイドと猫王子」(セーラー服と雪女 第17巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/12

⑪ 役目を終えて

 ナーガ王の城に戻った一行は、翌朝、まずケクロプスから帰ることになった。

 彼の船は、あらかじめナーガ王のスタッフによって修理が完了しており、いつでも出発出来る手はずになっていた。


「皆さんには、色々とお世話になりました。」

 彼はすっかり礼儀正しくなっていた。

「特にニンゲンの彼には、どれだけ礼を尽くしても、キリが無い程ですが…。」

 

 残念ながら、彼…雪村は、まだ目覚めていなかった。

「…アナタ方から、後程よろしく言っておいていただけたら、助かります。」

「任せといて!」

 由理子が元気に答えた。


「…そして、ナーガ王。」

「何かな?」

「素敵なチームを紹介してくれた事、感謝する。」

「なんのこれしき。同じ爬虫類族のよしみですよ。」


「皆さんには、いつかきっと、何らかの形でお礼がしたいが…ちょっと何年先になるか分からないな。」

 そう言いながら、彼は苦笑した。


「期待してるわ。私は一応、不老不死だから、サン・ジェルマンと一緒に、気長に待ってますよ。」

 京子が言った。


「じゃあ、皆さん、どうかお元気で!」

 彼はそう言って、船内に吸い込まれた。


 まるで小さいピラミッドのような見た目の、彼の宇宙船は、そのゴールドの船体を光らせながら、音も無く上昇し、空の彼方へ消えて行った。


「キャップストーンを作ったの、彼等だったりしてね?」

 その様子を眺めながら、由理子がポツリと、笑えない推理を披露した。

 その核心をついた当てずっぽうを聞いて、隣に居た京子は、目を剥いたのだった。


 更に翌朝、雪村がようやく目覚めたのを待って、ミケーネの船で残りの一行が、ニンゲンの世界線に帰る事になった。


「ミスター雪村、本当にありがとう。」とナーガ王。

「いえ、いえ。大した事はしてませんよ。」

 と謙遜をする雪村。


「ケクロプスもとても感謝していましたよ。わたしもまた、いつか恩返しがしたいものです。」

「まあ、お構いなく。気が向いたらで結構ですよ。その際は、是非、サン・ジェルマンへお願いしますよ。」


 彼もまた、これ以上、4次元人の注目を集めたくないのである。

 その後は皆で船に乗り込み、つつがなく出発したのであった。


「それにしても、お兄ちゃんは、どんどんニンゲン離れしていくわね。」

 今更のように由理子が言った。

「え〜、そうかなあ。」

 いつものボンヤリ返答の雪村。


「いや普通、惑星を丸ごと一つ、300光年先まで瞬間移動させられないでしょ?いったい、どうやったのよ?」 

「う〜ん、何と言うか、イメージの問題なんだよねえ。あらかじめケプラー1649Aと、その周辺の情景を頭の中に描いておいて、目の前の惑星を、両手でこう掴んで、こう!」


 彼は、由理子に解り易くなればと、まるで目の前のバレーボールを抱えて、すぐ隣のスペースに移動させるような動作をして見せた。


「なに、それ?バカリズムのフリップ芸みたい。」

 そう言って、彼女は笑った。


「まったく、理解に苦しむ超人ぶりだな。キミが敵でなくて、ホントに良かったよ。」

 ミケーネも笑った。


「由理子にも、なんだか済まないことをしたね。助けに行ったつもりが、また助けられた…。」

 ミケーネがそう言った。

「気にしない、気にしない。動物は皆ファミリーよ!」

 由理子はいつも底抜けに明るいのである。


 そんな船内の様子を、京子は静かに見つめていた。

 結構大掛かりな事になっちゃったわね。帰ったらサン・ジェルマンに、色々説明しなくちゃ。そんな事を考えながら、彼女は微笑んでいたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ