応援
「…………ふぅ」
それから、二週間ほど経て。
一度、深く呼吸を整える。……いや、僕が整えてどうするんだという話だけども。
ともあれ、僕の視界には明葉高校のグラウンド――そして、明葉の選手達の中心にいるのはクラスでも中心的存在の美少年、朝川瀬那くん。そう、瀬那くんがキャプテンを務める野球部の練習試合が、本日このグラウンドにてほどなく行われるわけで。……うん、すっごくドキドキして……いや、だから僕が緊張してどうするんだという話だけども。
ところで、きっかけは数日前――次の土曜日に明葉のグラウンドにて練習試合があるから、もし良かったら観に来てほしいとのお誘いを受け本日ここに馳せ参じたわけで。……まあ、もしかすると冗談だったのかもしれないけど……でも、冗談だとしてもほんとに来ちゃいけないこともないだろうし。
ところで、それにしても……うん、ほんとにみんなすごいなぁ。この熱暑の下、こんなにも一生懸命に頑張って。……部活、か。全く興味がなかった、というわけでもないけど……まあ、もう今更だよね。
ともあれ、ほどなくマウンドの近くで綺麗に整列する両校の選手達。そして、お願いしますと大きな声で一礼し……うわぁ、めっちゃ楽しみ!
「…………すごい」
それから、ほどなくして。
そう、ポツリと声が零れる僕。野球の試合はテレビでなら時々観るけど……それでも、やっぱりこうして生で観るといっそうの迫力があって。ピッチャーのフォームや投じたボール、バッターのスイングや放った打球、守備の選手の捕球や送球など、まだ始まったばかりなのにどれも本当にすごくて目が離せない。それこそ、なんで今まで観に来なかったのだろうと今更ながらに悔やむくらいで。
さて、現在の状況だけれど――1回の裏、明葉高校の攻撃でノーアウトランナー1、2塁。そして、次のバッターは――
「――キャ〜〜、瀬那く〜〜ん!!!!」
直後、数多の女子生徒から響く甲高い声。悠然とバッターボックスへと向かう3番、朝川瀬那くんに対する歓声で。……うわぁ、やっぱり人気だなぁ、瀬那くん。うん、なんだか僕が嬉しく――
「…………あ」
ふと、声が洩れる。刹那、振り返った瀬那くんと目が合ったような気がしたから。……いや、気のせいじゃないよね。明らかに驚いてたし。やっぱり、冗談のつもりだったのかな? でも……笑ってくれた、よね?
その後、左のバッターボックスにてバットを構える瀬那くんを食い入るように見つめる僕。その姿があまりにカッコよく、胸が奥から震え熱くなる。そして――
――カーーーン!!




