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六畳一間で妖精と戦う  作者: 南蛇井


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14-3 水源VS恋愛”の構図

――暴れるサンジを網ごと引きずり、アスカから距離を取った瞬間。

真子は呼吸一つ乱さず、淡々と告げた。

「危なかった……このままじゃ大事な水源を失うところだった」

その声に、部屋の空気が一瞬だけ冷える。

彼女の視線は、泣き叫ぶサンジでも、弱々しく手を伸ばすアスカでもなく――机の上に滴る透明な雫、つまり“水”へと注がれていた。

「ちょっ……真子っちゃん!?今のって完全に恋愛ドラマをぶった斬ったよね!?」

沙月が目を丸くする。

「水源って……! あんたら、彼らの事情とかゼロ考慮なの!?」と兎子も半ば呆れ顔。

だが真子は眉ひとつ動かさず、冷徹に続けた。

「生き残るために必要なのは水だ。恋愛は……二の次だ」

――無情にも、サバイバルの論理が勝利した瞬間だった。

網に絡まったまま必死に暴れるサンジ。

「アスカぁぁ! 俺を離せぇぇ! 今行くからぁぁ!」

その熱烈すぎる叫びは、すでに部屋の空気を恋愛ドラマのクライマックスに塗り替えていた。

だが、ジト目の沙月が即座にツッコミを入れる。

「……もう、完全に恋愛劇場になってるじゃん! 私たち観客じゃないからね!?」

兎子は両手を腰に当てて、苦笑いしながら首を振る。

「真子っちゃん、さすがに悪役すぎる……恋人を網で捕まえるとか、ラスボス感あるよ……」

真子は一切の動揺を見せず、サンジを網ごとズルズルと床に引きずりながら、冷徹に言い放つ。

「……生き残るために必要なのは“水源”だ。私は正しい」

その三者三様の温度差に、部屋の空気はシリアスとコメディが絶妙に入り混じり、混沌を極めていった――。

サンジは網に絡まったまま、なおも必死に暴れている。

「離せぇぇ! アスカのところへ行かせろ! 俺は絶対に――!」

真子は網の柄をしっかり握りしめ、無言で引きずり戻す。

その顔は冷徹そのもの、すでに「水源確保」という一点しか見ていなかった。

だが、机に縛られた氷の妖精アスカが、弱々しく声を震わせる。

「……サンジ……」

そのひとことに、部屋の空気が一瞬にして軟化する。

炎と氷、捕獲者と恋人――矛盾だらけの構図の中で、三人の少女は顔を見合わせた。

沙月が額に手を当ててため息をつく。

「……どうするのこれ。完全に“水源VS恋愛”の構図じゃん」

兎子は腕を組み、苦い笑みを浮かべながら小声でつぶやく。

「真子っちゃん、次の課題はサンジの処理だね……完全拘束するか、説得するか……」

真子は無言でサンジを見下ろす。

その視線は冷たいが、ほんの一瞬だけ迷いがよぎった。

アスカが再び、小さな声で囁く。

「……サンジ……」

その響きは、確かにまだ続く“恋愛要素”の存在を告げていた。


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