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六畳一間で妖精と戦う  作者: 南蛇井


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9-2 私たち……塩持ってるじゃん!

静まり返った部屋に、三人分のため息だけが響く――。

「もうダメだぁぁ……」

机に突っ伏した沙月が、ぺたりと広がったタコのように動かなくなる。力尽きた顔は半分床にくっついていて、もはやギャグの域だ。

その横で兎子もベッドの端に腰を下ろし、両手をぶらりと垂らしながらため息を漏らした。

「はぁ……このまま襲われ続けるのかな……。なんか、じわじわ体力削られて終わりそう……」

二人の沈んだ空気に対して、ただ一人、真子だけが姿勢を崩さない。腕を組み、眉をひそめたまま低い声を落とす。

「……このままでは、いずれ突破される」

その言葉は妙に現実味を帯び、部屋の空気をさらに重くした。

防御の要がない。次の襲撃に備える術がない。

笑ってごまかせる状況ではないのだと、三人の胸にじわりと緊張感が広がっていく――。

重苦しい沈黙が続く中――。

「……待って!」

机に突っ伏していた沙月が、バネ仕掛けのように顔を跳ね上げた。目はぎらりと輝き、さっきまでの脱力モードが嘘のように勢いづいている。

「私たち……塩持ってるじゃん!」

唐突な叫びに、兎子が思わずベッドから跳ね、真子も怪訝そうに振り返る。

「え?」

「……は?」

二人の視線が一斉に沙月へ突き刺さる。

その瞬間、部屋にただならぬ期待と困惑が同時に走った。

「持ってるなら――早く出せ!」

真子の声が鋭く響いた。さっきまで腕を組んで沈思黙考していた彼女が、机を叩く勢いで前のめりになる。

しかし沙月は胸を張り、逆に真子を指さした。

「だから!真子も一緒に持ってるんだってば!」

「……は?」

「えぇ……?」

真子と兎子の顔に、そろって大きなクエスチョンマークが浮かぶ。

場の緊張感は霧散し、代わりに「理解不能」の空気が漂い始めた。

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