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六畳一間で妖精と戦う  作者: 南蛇井


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7-2 これで安全地帯だね

風の暴力から解放されたわずかな安堵に、彼女の心も少し落ち着きを取り戻す。

しかし、部屋の散らかりはまだまだ手ごわく、まるでこの嵐が完全に収まったわけではないことを物語っていた。

真子は冷静なまま、窓の近くに立ち、慎重に周囲を観察する。

「まだ安心するのは早い。奴はこれで諦めるタイプじゃない」

兎子は落ちてきた本を拾いながら、ため息交じりに言った。

「……お姉ちゃんの部屋、何度戦場になるんだよ」

沙月はまだ顔を青くしつつも、少しずつ落ち着きを取り戻し、次の一手に備え始める。

真子は落ち着いた表情で胸の前に両手を組み、低く呟くように唱えた。

「――【カチカチ防風心の壁MAX】、設置」

すると部屋の中央に、光を帯びた透明なドーム型のバリアがシュワリと展開される。

バリアの内側はまるで時間が止まったかのように穏やかで、突風は届かず、舞い上がった紙や服、プリンのカップたちは弾かれて外へと吹き飛ばされた。

沙月は目を丸くして、飛んでいく物を追いながら息を整える。

「す、すごい……!真子っちゃん、これで安心できるの!?」

兎子も壁の中で肩を落ち着け、髪を整える。

「うん、少なくとも私たちは無事ね……あのお姉ちゃんの部屋でも、やっと安全圏に入った感じ」

真子は少しだけ微笑み、冷静に周囲を見渡す。

「まだ完全に油断はできない。突風の妖精はここで諦めるわけじゃない」

しかし今は、この透明な壁の中だけが、嵐から守られた安息の領域となった。

沙月はドームの中で飛び散る紙くずを払いながら、嬉しそうに両手を広げた。

「やった! これで安全地帯だね! もう吹き飛ばされなくて済む!」

しかしその瞬間、部屋の中央でランドセルを背負った突風の妖精が、フンッと鼻で笑う。

「フン! ちょっと耐えられるからって調子に乗るなよぉぉ!!」

するとランドセルが再びギュオォォと唸りを上げ、内部から新たな突風の気配が渦巻く。

部屋全体が再び不穏な振動に包まれ、沙月と兎子は目を見合わせる。

「な、なんか来る……!」

「まだ終わってなかったのね、真子っちゃん……」

真子は穏やかに息をつきながらも、目には鋭い光が宿る。

「まだよ。こいつは油断ならない。次の一手で決める」

しかし、安心地帯の中にいる二人は、その圧倒的な威圧に少しだけ心を凍らせた――。


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