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六畳一間で妖精と戦う  作者: 南蛇井


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6-3 外界と切り離された

「じゃあ、私が出る」

渋々と腰を上げた兎子は、乱れる髪を手で押さえながらドアへ向かった。

突風でガタガタ震える扉のノブを、ためらいなくひねる。

――ガチャ。

扉が開き、確かにそこにはいつもの廊下が広がっていた。

兎子は一歩、ためらいなく踏み出す。

「……ふぅ」

背後に残した姉と真子を置いて、このまま逃げられる――はずだった。

しかし次の瞬間。

「ガチャ」

再びドアが開き、そこから顔をのぞかせたのは――

さっき出ていったはずの兎子自身だった。

「……え?」

困惑した表情のまま、彼女は部屋の中に逆戻りしてきた。

突風と紙吹雪の中、姉妹の視線がぶつかる。

沙月は涙目でクッションを抱きしめながら叫んだ。

「兎子ぉ!やっぱり戻ってきてくれたんだね! お姉ちゃん信じてたよ!!」

「え、ちょっと!? なんで戻ってくるの!?」

クッションを抱きしめたまま、沙月が半泣きで叫んだ。

兎子は眉をひそめ、首を振る。

「いや、戻ったんじゃない! ちゃんと廊下に出たはずなのに……気づいたらまた部屋の中なの!」

その言葉を証明するように、兎子は再びドアノブを掴み、勢いよく外へ飛び出した。

――ガチャ。

だが次の瞬間、部屋の中のドアが音を立てて再び開き、今度は冷や汗を垂らした兎子が戻ってきた。

「……ほら、やっぱり!」

沙月はパニック気味に首をぶんぶん振る。

「なにそれ!? ホラー!? 異世界転移!? バグ!? っていうかもう一回やってみて!」

「……はいはい」

仕方なく兎子は三度目に挑戦。

ドアを開ける、足を踏み出す、廊下を見た――はずなのに。

――ガチャ。

「ただいま」

部屋の中で、突風に吹かれながらぼやく兎子。

その姿に、沙月は青ざめて叫んだ。

「ど、どれだけ出ても戻ってきちゃうじゃん! 無限ループだぁぁぁぁ!!」

真子はひらひらと舞い落ちる漫画のページを片手で払いのけながら、眉ひとつ動かさず口を開いた。

「……妖精に結界を張られたな」

「けっかい……?」と沙月がオウム返しに呟く。

真子は頷き、散らかった部屋の惨状を一瞥した。

「妖精が怒りの頂点に達すると、自分の領域を閉ざす。つまり――この部屋はもう外界と切り離された。出入りは一切、不可能だ」

「い、いっさい……!?」

沙月の顔がみるみる蒼ざめる。

兎子は肩をすくめて溜息をついた。

「だから言ったでしょ。ドアから出ても出られないの」

「うそでしょ!? じゃあ、ご飯もプリンも食べに行けないってこと!? トイレも行けないってこと!?」

「冷静に考えればそういうことだな」

真子は風でめくれる髪を抑えながら、淡々と告げた。

「いやああああああ!!!」

沙月の悲鳴が、突風にかき消されていった。

沙月は真っ青になって、その場にへたり込みながら頭を抱えた。

「な、なにそれ!? じゃあご飯も食べられないじゃん! プリンも買いに行けないじゃん! トイレも行けないじゃん!!」

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