6-1 奇跡的確率だな
沙月たちの視線は冷たく一様に「小学生」に注がれる。
妖精の自尊心は、紙飛行機のように無惨に吹き飛ばされていた。
「俺はなぁ、何百年も生きているんだ! お前らよりはるかに年上だぞ! 小学生扱いするなぁぁっ!」
突風の妖精は顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
だが、三人の反応は――冷淡そのもの。
「え、でも小学生でしょ?」沙月が首をかしげる。
「うん、正しい」兎子はきっぱり同意。
「沙月にしては珍しく正答率が高いな」真子まで淡々と認定。
「ぐふぉっ……!?」
妖精は思わず言葉を失った。
沙月は勢いづき、胸を張る。
「ほら見て! 私、今日めっちゃ当たってるじゃん! ね、ね!?」
「うん、正しい」
「その通りだ」
――沙月の“正答ラッシュ”。
普段なら信頼度ゼロの彼女の言葉が、よりによってこの瞬間だけ無駄に説得力を帯びてしまっていた。
突風の妖精のプライドは、再び強烈な一撃を食らう。
黄色い帽子がずれ落ちるほどガタガタ震え、彼の顔は怒りで真っ赤に染まっていく――。
「ふふん、私だってやればできるんだよ!」
沙月は腰に手を当て、どや顔で胸を張った。突風に髪が乱れているのもお構いなし、勝ち誇ったポーズである。
だがその直後――。
「今日だけで一年分くらい当ててるね」兎子が冷静に告げる。
「これは奇跡的確率だな」真子も頷く。
「ちょ、ちょっと! それ褒めてるの? バカにしてるの!?」
沙月はジタバタと足を鳴らし、顔を真っ赤にする。
「……ふふん、当たってるんだから褒めてるんじゃない?」兎子はにやり。
「いや、確率的には宝くじに近い」真子は真顔で断言。
「宝くじぃ!? じゃあ私、もう一生当たらないじゃん!!」
沙月は絶叫しながら部屋の中を駆け回った。
その様子を見ていた突風の妖精は、完全に置いてけぼり。
「お、おい……お前ら、今は俺と戦ってるんだよな!? 無視すんなぁ!!」
しかし誰も聞いていない。沙月の“奇跡的正答”の方がよっぽど盛り上がっていた。
「お前ら……俺をコケにするのも大概にしろぉぉぉ!!」




