5-2 短距離・瞬発型! 爆発力重視の風!
「え、でもさ……結局“風の妖精”ってことでしょ?」
沙月が首をかしげながら指を差す。
「――珍しくお姉ちゃんが正しいこと言ってるね」
兎子が淡々とした調子で追い打ちをかけた。
「ふむ……沙月にしては正答率が高い」
真子まで冷静に頷く。
「ひどい! 私だってこれくらい普通にわかるし!」
沙月は両手をぶんぶん振り回して抗議した。
「違うって言ってるだろ!!!」
突風の妖精がランドセルをガタガタ鳴らしながら前に出る。
頬を真っ赤に染め、地団駄を踏む姿はどう見ても駄々っ子だ。
「俺のはな! 短距離・瞬発型! 爆発力重視の風!」
ぐっと胸を張り、両腕をぶわっと広げる。突風がぶわぁぁと吹き荒れ、散乱していたティッシュが再び舞い上がった。
「そこらのダラダラ吹く風とは格が違うんだ!」
「……あ、なんか“持久力ゼロ”って自己紹介に聞こえる」
兎子がぽつりと呟く。
「そ、それ以上言うなぁぁぁ!!!」
妖精の絶叫が新たな突風を呼び込み、部屋のポスターが壁から剥がれ、ぐるぐると渦を巻き始めた。
「で、でも……見た目はどう見ても小学生だよね」
沙月はおそるおそる口にした。
「うん、ランドセルだし」
兎子は真顔で即答。
「黄色い帽子まで義務的に被っているな。安全指導を受けている感がすごい」
真子は腕を組み、冷静に分析を加える。
「ち、ちがう!! 俺はな、何百年も生きてるんだぞ!!」
妖精は顔を真っ赤にして叫ぶ。
ランドセルの肩ベルトをガシガシ叩きながら、必死に背伸びして大人ぶる。
「お前らよりも年上だ! 格上だ! リスペクトしろ!!」
「でもさぁ、やっぱりどう見ても小学生だよね。ね、兎子?」
沙月がわざとらしく頷く。
「うん。今日のお姉ちゃん、ずっと正解出してる」
兎子はあっさりと同意した。
「……珍しいな」
真子までさらっと背後から追撃する。
「ふざけるなぁぁぁ!!!」
突風の妖精は絶叫し、ランドセルの蓋をバンッと叩いた。
その瞬間、部屋中に猛烈な突風が走り抜け、散らかった漫画とゴミ袋がぐるぐる渦を巻いて空を舞う。
「俺を子供扱いするなって言ってんだぁぁぁ!!!」
「ぜっっったいに許さない!!」
突風の妖精は、ランドセルをバン!と叩き、部屋中に風圧を響かせた。
「俺の突風で、お前ら全員まとめて吹き飛ばしてやる!!!」
「やばいやばいやばい! なんで妖精って、いつも私たちに敵意むき出しなの!?」
沙月は机の下に半分潜り込みながら絶叫する。




