ギルド
早速イリノはギルドに向かった。そこには、多種多様な老若男女が犇めいていた。人族、獣人、ほぼ、魔物のような外見をしたような者、老人、若者……まるで、生きとし生ける者たちの坩堝かと思われる様相を呈していた。
建物の中に入ると、ひときわ背が高く、体の大きい男が立っていた。柔和な笑みを浮かべているが、その体躯は一目見て鍛え上げられたものであることがわかり、素人眼に見てもかなりの強さを持っているのがわかった。彼はイリノを見ると、ニコリと微笑みながらゆっくりと頷いた。
「見ない顔だね。ギルドは初めてかな?」
「はい……。登録しようと思いまして……」
「冒険者かい?」
「いいえ。この町で商売をしようと思ったのですが、ここに登録していると何かといいといわれたので……」
「なるほどそういうことですか最近はそういう方が登録に来られることが増えましたねまあいいでしょうギルドというのはご存知かもしれませんが冒険者たちの旅の安全を守る組織ですが最近では町の治安維持にも協力していますできることは限られますが身の危険を感じたときには我々がお守りすることは可能ですそれに冒険者でなくともギルドの出す依頼に参加することも可能ですご登録はあちらのカウンターでどうぞ」
一気に早口でまくしたてられて、思わず体が硬直する。取り敢えず男が指し示したところに行くことにする。そこには、ウサギ獣人の女性が立っていた。
「……登録ですか?」
大人しそうだが、見るからに賢そうな女性が小声で応対してくれた。登録自体は驚くほど早く済ませることができた。紙に自分の名前を書き、細いガラスの管を指に当てると血を吸われた。痛みは一切なかった。女性は後ろの机で少し作業をすると、すぐにカードを持って来てくれた。
「こちらが、あなたのカードになります。これは世界中のギルドで使えます。亡くした場合は再発行手数料をいただきます。ランクアップは、強い魔物を倒せば上がっていきます。何か、わからないことがあれば、お越しください」
「はい……」
このときイリノはすでに、この女性に心奪われていた……。