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【旧リメイク前】三人の異世界転生者と時渡りの予言の姫巫女~刻々のティアドロップ~  作者: 日華てまり
第1章 学園都市ぺスカアプランドル編

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7話 フリージア・エキナセア

 



「大切な人を守る為の力、か……」


 教壇へ続く階段をぴょんぴょんと降りながら、フリージアは誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。


「やっぱり、ジェイドの大切な人、好きな人ってお姉ちゃんのことだよね……」


 フリージアは、五つ年の離れた自慢の姉を思い浮かべた。ジェイドが見た事ない顔をして、二人で並んで笑っているところを想像すると、それを振り払うように首を振った。

 想像の中ですら、二人はあまりにお似合いだったから、フリージアはへこんでしまう。


「そりゃあ、お姉ちゃんは優しくて美人で頭も良くて、自慢のお姉ちゃんだけどさ……って、それじゃあ、こんな私じゃ勝ち目ないじゃんね……」


 自嘲気味に笑いながら、フリージアは教壇へと上がった。

 常に明るくて元気なフリージアだったが、ジェイドへの恋心と姉への尊敬が邪魔をしてしまい、自己評価がすこぶる低いのだ。


(――でも、私が一番ジェイドのこと大好きだもん。簡単に諦められるほど、片思い歴だって短くないんだから!)


 誰に言うわけでもないのに、勝手に想像の中の姉に張り合うと、フリージアは真っ直ぐ顔を上げた。


(だから、少しでもジェイドの横に並び立てるようになりたい! 今よりほんのちょっとでも、自分のこと好きになれたら、胸を張って、ジェイドに大好きだって伝えたい!)


 幼い頃から一緒に過ごしてきた、優しい眼差しのジェイドを思い浮かべて、フリージアは決意した。


(ジェイドが凄い騎士になるっていうなら、私だって凄い魔法使いにならなくちゃ! 私だって、ジェイドをずっとそばで守っていたいって思ってるんだから!)


 フリージアが魔力を込めると、魔法特性診断キットから淡い光が溢れ出して、教室を包み込んだ。

 それは、ジェイドの時のような強烈な眩しい光ではなく、あたたかくて柔らかな光だった。


「光の花びら……?」


 光は黄色の小さな花に姿を変えて、ひらひらと教室を舞った。


「これは……フリージアは光属性の変異型のようだね」


 エクレール先生はそう言いながら、手のひらでそっと光の花をすくいとった。


「この花が君の力なのかな。変異型は個人差が激しすぎて、僕もあまりわからないんだけど……この光の感じは回復魔法かもしれないね」


「回復、魔法」


「変異型の特徴は、本人の心が深く関わってると聞くからね。これは傷ついて欲しくないっていう、君の優しい心そのものなんじゃないかな」


「……うん。これが私の魔法……。えへへ、頑張ろうね」


 フリージアは嬉しそうに光の花を指先でつついた。


「フリージア、凄いよ! 変異型ってやっぱり珍しいんでしょ! キラキラしてて綺麗だし! それに回復魔法なんて、絶対にレアだよ、最強だよ!」


 光の花の美しさと、回復魔法という特異な魔法を目にして、紫苑は興奮気味にフリージアへ抱きついた。


「……こういう魔法。フリージアらしいんじゃない?」


 あっさりとした感想のジェイドに、もっと褒めてくれてもいいんだよ、と詰め寄って、フリージアは微笑んだ。


「ねぇ、紫苑! 私決めた! 目の前にいる人を絶対に救えるように、この回復魔法で役に立つの!」


「うん! フリージアらしくっていいと思う!」


「でしょでしょ! たっくさん練習して、どんな傷でも治せるようになるから、紫苑も何かあったら頼っていいんだからね! あっ、でも怪我はなるべくしないでね!」


 慌ててフリージアが訂正すると、二人はおかしくなって、顔を見合せて笑った。


「あー、次は私の番だ! めちゃめちゃ緊張するー!」


 そして、不安と期待を胸に、紫苑は教壇へ向かうのだった。




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