第61話 アルバイトですって、ご主人様 2
「執事のバイト、家政夫のバイト、サキ専用の執事のバイト……。なぁサキ」
「どうなさいましたか? ともゆき様」
「全部執事じゃねぇか!!! 」
「不思議ですね。執事の求人が集中するなんて」
「どう見ても意図的だろう?! しかも『サキ専用執事』ってなんだよ! 」
「その名の通り私専用の執事でございます。仕事内容は私と一緒にいること。時給は1200円になりますが、やりませんか? 」
「いつもと同じじゃねぇか。しかも時給が平均より高めなのが腹立つ」
はぁと溜息をつきながら大量にある机の上のチラシを取る。
どれも執事。
執事経験のない俺に一体何を望んでいるのか。
むしろこれを俺に送り付けた奴らの顔を見たいと思う。
手に持つチラシを机に置く。
全てまとめて縄で括る。
すると隣でサキが驚きの声を上げる。
「! まさかこれらのアルバイトがお気に召さなかったと?! 」
「むしろ何で行けると思った?! 」
「これほどの好条件。乗らない人はいないかと」
「怪しさしかない求人に乗れるか! 」
「どこに怪しさが? 」
本気で首を傾げるサキが俺の所まで来てチラシを手に取る。
しかしやはりわからないようでまた首を傾げた。
「どこがでしょうか? 」
「……時給十万ってどう見ても怪しいだろ」
俺は捻り出すようにサキに言う。
しかし彼女は首を傾げたまま。
そしてやっとわかったのか「ポン」と手を叩いて俺に言う。
「安すぎますね」
「違うわ! 高すぎて怖いんだよ! 」
「え? 」
「「え? 」って何?! まさか本気でこの値段は安いのか?! 」
「一般執事よりは若干。これは不覚でした。もう少し待遇を良くして頂かないと」
「止めろ! そして俺は執事をやる気はない! 」
「と、ともゆき様の執事姿が見れないと?! 」
絶望したような表情を浮かべるサキ。
むしろ何で見たいと思う。
まさかとは思うが執事姿が見たいだけで、執事の求人を送りつけさせたのか?!
「俺は普通のアルバイトを見つけるよ」
サキの手にある求人を奪い取りビニールテープでチラシを括る。
絶望に顔を染め固まるサキを置いて、本格的にバイトをどうしようかと考える。
バイト、やったことないしな。
なにが良いか。
これなら道則が何をするか聞いておくべきだったかもだな。
いやしかし道則と同じバイト先は躊躇いがある。バイト中にナンパしてその尻拭いは嫌だし。
「ともゆき様は普通のアルバイトをご所望ですか」
「そうだ。因みに言っておくがサキにとっての普通じゃないからな」
「………………わかっていますとも」
サキが気まずそうに顔を逸らす。
また何か思いついたようだったが毎回やられる俺ではない。
スマホを取り出し求人を探す。
よさ気な求人が幾つかあるがしっくりこない。
さらにスクロールする。
「これは遠いな」
「自転車すらないともゆき様にはきついかと」
「こっちは夜か」
「ともゆき様の体力では無理かと」
「お、これは」
捲っていると一つの求人に行きついた。
内容はコンビニの店員。
時給も最低賃金ギリギリだが、サキにプレゼントをあげるくらいの時給はある。
「てかそこのコンビニの求人じゃないか! 」
「確か名前は『ロビンソン』でしたか」
「そうそうロビンソン。ここにしよう」
「本当にそこで良いのですね? 後悔しませんか? 」
「……おいサキ。俺を不安にさせるようなことを言うな」
「いえこういった確認は重要なので。で大丈夫ですか? 」
「行ったことあるが特に変なコンビニじゃなかったから大丈夫だろう」
「客と店内では違うかもしれませんよ」
「それはどこも同じだろ」
「【サキ専用執事】、空いてますが如何でしょうか? 」
「何でこの流れでそこに行きつく」
サラっと自分の執事を捻じ込もうとしているサキに戦慄した。
サキの度重なる確認の後、俺は早速連絡を取る。
すると店長らしき人が出て大丈夫との事。
こうして俺はアルバイトの面接にこぎつけた。
ここまで如何だったでしょうか?
面白かった、続きが気になるなど少しでも思って頂けたら、是非ブックマークへの登録や広告下にある★評価をぽちっとよろしくお願いします。




