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月光花の元の5人~4人は【ざまぁ】されるようです~

作者: 卵の怠惰

 {

  

   昔、名もなき村で5人の幼馴染がいた。その5人は仲が良く、朝から晩まで遊んでいた。また、村の中でもかなり強く将来が期待されていた。5人には夢があった。冒険者になってSランクを取り世界最強となること。大人たちは笑っていたが5人は諦めずに修行をしてその日を夢見る。




  全員が15歳となった。みんなたくましくなり教会に行く。この世界では15歳になると今日に行き神へ誓う。

そうすることで自分だけの職業を神から与えられる。この職業で未来が決まるといっても過言ではない。『勇者』から『村人』まですべてが決まる。そのため5人は期待を持って神へ誓った。


 さて、結果から言おう。


 正義感が強い男の子は『剣聖』となった。みんなを守りたいと思った男の子は 『ガーディアン 』となった。優しい女の子は『聖女』となった。知識が好きな女の子は『魔導士』となった。


 そして地味な男の子は『テイマー』となった。



 4人はそれぞれのクラスで最上職といっても過言ではないほどに強力な職業が与えられた。しかし、残りの一人は最低職だ。その子はいたたまれなくなった。しかし、そこで関係が途切れるほど絆が浅くはない。

 1人をいじめずに5人では助け合いながら近くの町まで行き、冒険者登録をした。そして、5人はパーティーとなる。



  最初のほうはよかった。『テイマー』も弱い相手に苦戦するほど軟な鍛え方はしていない。4人についていけた。狼種とも契約をして荷物持ちとしても活躍した。


 だけどそのあとが問題だった。他の4人は最上職である。成長スピードも『テイマー』とは桁が違った。

『テイマー』が1歩進むたびに4人は10歩進む。そんな関係だった。5人はひどく困った。このままでは、1人だけついてこれない、。Sランクには到底いけない。だけど、五人でSランクになると誓ったのだ。だけれどこのままこのチームについてくれば、彼にとって苦痛でしかない。どうすればいいのだろう。




 そうして『テイマー』が寝た後に会議が始まった。


 ~会議の様子~


  「テイマーは寝たか?」

  「さっき見に行ったけど、ぐっすり寝ていたよ。」

  「そりゃ、そうよ。今日だってダンジョンに 行くのにテイマーは私たちの荷物を全部持って私たちについてきたんだから。私たちが持つって言っても{僕は何もできないからせめてみんなの荷物ぐらい持たせて}とか言って聞かないんだから。いい子過ぎるから逆に申し訳なくなるよ。」

  「でも、邪魔だからと言って追い出すのは『約束』のためにもダメだし・・・」


  「じゃあ、みんなでテイマーを鍛えるのはどうでしょうか?私たちなら彼を私たちレベルでなくても高いレベルまで育てられるし。」

  「それは僕が試したけどやっぱり彼の職業が邪魔してくるな。『剣聖』のレベルまで絶対に来ないし、それならテイマーのスペシャリストにテイマーのほうを育てたほうが彼にとって絶対にいいと思う。」


  「だけど、そうなると私たちの冒険の時間が限られてくるのよね。かといって休むわけにもいかないし、彼なら鍛えるよりこっちの旅についてくると思う。」

  「そうなんだよなー。強い魔物をテイムすれば話は変わるけれど・・・」

  「それは仮定の話ですからね。あっ、私たちが強い魔物を捕まえて彼にテイムさせればいいのではないでしょうか。それなら簡単でしょう。」

  「賛成!」

  「それを彼が受け取るかどうかが問題だね。」

  「彼なら受け取るでしょう。それで足手まといにならないのならば。」

  「オイラなら・・・受け取らない・・・自分の力で・・・みんなを守る・・・」

  「そういえばそれってテイマー的におっけーなの?」

  「ちょっとテイマーの本を取ってきます!」

 

  「さて、これで足手まといにならないかな?」

  「どうでしょうか。魔物にもよると思いますが・・・あとは彼自身の問題だと思います。」

  「オイラが・・・守る。・・・」

  「そうだね、僕らが彼を守らなければ。」


  「本を取ってきました。」

  「さて、みんなで読もうか。」



 ・・・・・


  「これは・・・。どうでしょうか。」

  「この本には敵の戦意が失われたときにテイムすることができると書いてある。それは、僕たちでカバーできるけれど問題はその次。魔物のテイムできる強さや数、大きさは魔力によって決まる。」

  「もしこの本が正しければどうかしら。彼は魔力が大きいとおもう?」

  「いや、多分僕よりは多いだろうけれど・・・」

  「無理でしょうね。」

  「だろうね。」

  「これで、魔物を強くすることはだめと。」


  「これどうするの。」

  「やっぱり体力や魔力が増えるのを待つ?」

  「そしたら僕たちが何歳になればいいの。」

  「うーん。装備を整えるとか?」

  「それだけじゃSランクには絶対になれないね・・・」

  「魔法をできるだけ覚えさせるとか?」

  「それくらいかなー」

  

  「思い切ってパーティー解散させちゃう?」

  「それだけは絶対に許されない。」

  「でも他にいい案があるの?」

  「今はこのままでいいと思うけれどこれからどんどん相手も魔物も強くなるしやっぱりテイマーが強くなる方法を考えなきゃ。」

  「私たちについてこれないから強くなれないのかしら。新しい空気に触れさせれば、今よりも強くなるかもよ。」

  「だけど、それを彼が受け入れてくれるかが問題よね。」

  


  「そういえば、図書館にこんな本があったわ。」




    ・・・昔の昔、まだ魔王がいた時代、帝国が危機を迎えていました。周りの国は争いごとばかりで帝国も王権争いの真っただ中でした。その中、1人の巫女が予言しました。

 

  魔王が復活する

             



 帝国の者たちは慌てて徴兵をして対策しようとしましたが王権争いをしているため、有意義な準備ができませんでした。そうして魔王が復活しました。あまりに準備をしなかったためか、魔王が強すぎたせいか、帝国の領土はどんどん燃やされ奪われていました。そして気づいたときには、辺境の壁を突破され手遅れでした。そこで、第二王女は密かに勇者の召喚を目論んでいました。確かに勇者は必要でしたが…


 勇者たちは無事に召喚できました。しかし、3人召喚したつもりが4人います。本人曰く巻き込まれたといっていたようですが、どうでしょうか?そのあとに第二王女はすぐさま職業を確認しました。3人は素晴らしい職業でしたが残りの一人は最低職でした。さて、第二王女は3人を訓練しすぐさま前線に送り出しよい成績を残しました。ですが残りの1人はどうしたのでしょうか?答えは簡単です。捨てました。使えないとわっかった瞬間、捨てたんです。そこに未練などありません。すぐに彼のことは忘れました。


 捨てられた彼は努力しました。努力して努力して努力して。それでも変えられない壁がありました。それでも彼は努力しました。決して魔王を倒すためではありません。王女に復讐するそのために力が必要なのだと。ここからは誰も知りませんがある日、最強の力が覚醒したようです。どのように覚醒したかは専門家もいろいろな意見で分かれています。その力を使って王女への復讐は達成されました。そのあとに彼は5人の仲間とともに魔王に立ち向かい見事に封印をすることができるのでした。


  ***


  今でも専門家ではこの言葉の真偽が分かれているようです。ある専門家は「彼のような優しい人間はそのような言葉を言うはずがない。」ある専門家は「彼は復讐の目的で最低職から異次元の強さを手に入れたのだと」



   彼は死に際の第二王女に言ったのです。




    【ざまぁ】         


                    と。・・・






  「確かこんな話だと思います。」

  「あの勇者物語にこのような裏話があったなんて・・・」

  「・・・」

  「優しい勇者様にもこのような過去が・・・」




  「でも、これを聞くと僕たちが彼を見捨てれば彼は僕らに対抗するために強くなる努力をする。的な情景になりそうな気がするね。」

  「私は反対です。もし彼を裏切ったら確かに少しは強くなるかもしれませんが私たちに追いつけるような成長、覚醒をするのは夢の話です。今まで聞いてきた話にそのようなことはありません。彼の心が折れてもう回復できなくなるかもしれません。第一、私は彼を裏切ることはできません。」

  「僕だって彼を裏切るような真似はしたくないさ。だけど、このまま彼についてきてもらっても彼が楽しめるとは僕は思わない。裏切たっとしてそのまま彼にあったパーティに入ってくれたら、こっちも親友が人生楽しめることが一番だし。」

  「だけど、『約束』は。」

  「あの約束のせいで彼を縛り付けるような真似はできない。」



  「・・・そうですね。わかりました。」

  「わかってくれてうれしいよ。では彼を裏切る真似をするでいい?」

  「「「「賛成」」」


  「じゃあ次にどうやって裏切るか決めよっか。」

  「彼をダンジョンに落としてみるとか?それなら危機一髪で覚醒するかもしれないんじゃないかしら。」

  「それは危なすぎる。もし覚醒しなかったらそのまま彼は死んでしまうだろ。」

  「その時は彼を助ければいいんじゃない?」

  「それではダメだ。彼が甘えてしまうし、助けられるとも限らない。」

  「・・・無難に・・・町・・・使えない・・・」

  「そうだな。町で彼に『君はいつもいつも荷物持ちばかりして使えない。それなら出れでもできる。だから君はこのパーティから追放だ』的な感じでどう?」

  「君じゃなくてお前って言ったほうがいいね。嫌いになった感じがする。あとは今すぐって感じじゃ突然優しかったのに厳しくなるのはおかしいしあと1か月どんどん冷たくするのはどうかしら。・・・すごく寂しいし。」

  「・・・うん・・・寂しい・・・」 

  「寂しいです。」

  「僕も寂しいよ。よし、暗い話は終わり。最後の1か月テイマー成分をたっぷりもらおう!」

  「おー!?」







  ~残り一か月~


 この日から4人は『テイマー』に少しずつあたりが強くなっていた。彼も最初はストレスが増えてきたのかなーと思てきたけれど今までと比べてはるかに厳しくなった。修行も辛くなってきたし荷物もいっぱい持たせれていた。彼は何度も4人に質問をして


  「悪いところがあればちゃんと直すから。だから・・・」


 などと言ってくるがそれを4人は無表情で無視する。そして夜になると4人は自分の行動と彼の健気さを思い出し泣き出すものもあらわれた。攻められている1人も攻めている4人ももう心は限界だった。


 そして、その日がとうとう来てしまった。




  ~当日~


  「お前、クビな。」

  「・・・・・え?」

  「だからお前はこのパーティーから出てけっていってるの。わーかーる?頭大丈夫?」

  「なんで、なんで・・・」

  「当り前ですわ。私たち4人は最上職。それに比べてあなたは『テイマー』という最低職。もう用済みってわけ。」

  「・・・ん・・・用済み・・・」

  「そんな。あの『約束』はどうなんだよ。」

  「もうあの『約束』古いわ。もしあなたがSランクになれば守られるかもしれないけれど。ま、あんたなら無理でしょうね。」

  「まだ、荷物持ちでも何でもするから。重いものでも全部持つから。だから・・・」

  「お前はもういらない。荷物持ちもお前より断然持てるスキルがある職業もあるしだからはやく僕の見える範囲に来ないで。虫唾が走る。あと、お前の装備だけはお前にあげるから。はい、ちょっとの金。いおら、これでもちゃんと譲ったほうなんだからもっと感謝しろ。」

  「本当に・・本当に・・・」

  「あーもう。うざい邪魔。早くどっか行って。」

  「くううぅぅそそぉぉ」

 


 そういって彼はこの場から去っていった。この方角からするとギルドではなく町から出るようである。


本当は4人とも泣きたい気分である。だけど、ここでは泣けない。まだ彼から見えるかもしれない。自分の感情が露になって彼を呼び戻すかもしれない。だけどそんなことをすれば今までの努力が水の泡になってしまう。もう、彼らの道は分かれてしまった。



 夜になって宿屋から4つの泣き声が聞こえてきたという・・・。



  ~その後~

 4人は考えた。このまま大活躍をしてしまったら、彼が弱かったことになってしまう。そうなるのは彼らにとって良いことではない。そこで難しい依頼をだんだん受けなくなりもし受けたとしても依頼失敗してしまう。そして中級の依頼も失敗が多くなってしまった。そのような筋書きの通りに行動した。するとその町から居場所がなくなり悪いうわさも立ち始めた。


   そのころこんな話を聞いた。ドラゴンをテイムしたテイマーがいる。



 

 4人はこの町から出て行った。この町にいても楽しいことなどない。噂がまだ立っていない辺境の町へ行った。


    




  だから気にしなくていい。僕らのことなんか気にせずに自由に生きろ。お前は強いんだから。






                            }






  パタン、と俺はその手帳を閉じた。俺はこの手帳でいうテイマーで今は立派なSランクに達している。


  「なあなあ、この『約束』ってなんじゃ?わらわ気になるのじゃ。」


 こいつは噂でいうドラゴンで、俺のものになってから人化の術で人の姿になっている。


  「ああ、『約束』っていうのはね・・・」




     昔、名もなき村で5人の幼馴染がいた。その5人は仲が良く、朝から晩まで遊んでいた。ある日、1人が森で迷子になった。4人は一生懸命探したけれどなかなか見つからず、深夜になった。やっと1人を探し当てたけれどそこは木でおおわれてなく無く少し広場になっていた。そこに一輪の光る花が咲いていた。1人はそれをずっと眺めていたのだ。あとから大人たちに聞いた話によるとその花は月光花というらしい。そして5人はそこに集まった。僕たちはもっと強くなってまた、20歳の時にこの場所に戻ってくるのだと。それがだんだんSランクに全員なってこの場所に来るという『約束』になった。




  「・・・みたいな感じだね。」

  「お主にもこのような弱き時代があったのじゃな。それに{僕}時代も。」

  「そりゃそうだよ。弱いのがずっとコンプレックスだったんだから。」

  「にしても4人かっこ良すぎるのじゃ。」

  「そうだね・・・もう一回ぐらい会いたかったな・・・。」



  「おっ、やっと来たな。」



  ・・・

  「っふぇ?」







 こうして5人は実に4年ぶりの再会を果たした。そして手帳を見た『テイマー』は・・・



















        










     【ざまぁ】と、言わなかったそうです。




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