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俺と魔剣(あいつ)の冒険譚  作者: アスラ
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不人気

「なあ、ヴェル兄。なんでそんなに値段が違うんだよ。」

「切れてても同じ根っこだよ。」


ペイスとビランは納得いかないと訴えてくる。


「その切れてる、傷があるって事が問題なんだ。この根の汁を薬に使うんだが、空気に長時間当てているとその効果がどんどん落ちる。いくら俺達が腕輪(バングル)を使っても、ギルドに売った時点からはそうじゃない。他所の町に運ぶなら尚更だ。」

「「そうなのか…」」


説明を聞いた二人が納得の声をあげた。

ついでにもうひとつ教えておくか。


「ちなみに猪子槌(コヅチ)の採取が冒険者に不人気なのは何でか分かるか?」

「やっぱり掘るのが大変だからじゃないの?」

「だよなぁ。本当に面倒だよ。」


俺の問いに二人はそう答えた。


「半分正解だ。」

「じゃあ、後の半分は何だよ?」

「それはな、割に合わないからだ。」

「割に合わないってどう言うことだよ?」


ペイスが分からないと声をあげ、ビランは少し考え込んでから首を横に振った。


「今、お前らは俺やフィオ、ジェミオやアルミーが一緒にいて、魔物と戦うこともなく、警戒も任せて安全に採取出来ているが実際はそうじゃない。」

「「ぁ。」」


俺の説明で二人はもう半分の答えに気づいたらしく、小さく声を溢した。


「この手の依頼は、独り(ソロ)もしくは少人数で受けることが多い。周囲を警戒し、戦闘をこなし、その上でそこそこ深くまで地面を掘り返すっていうのは簡単じゃない。掘っているすぐ側で戦闘をすれば血の臭いで他の魔物が寄ってくる。そうなればすぐにでも掘るのを止めてその場を離れなければ危険だ。傷物は買い取りが安くて、人数を増やせば報酬を分配するからさらに安くなる。戦闘があれば武器の調整(メンテ)も必要だ。儲からない依頼は不人気になる。とそういうわけだ。」


一通りの説明に途中二人は厳しい表情や難しい表情を浮かべつつ聞いていた。

そしてビランが疑問を口にする。


「それなら報酬を高くすればいいんじゃないの? そしたら不人気じゃなくなるよね?」


さっきまでの話を聞いてたらそう思うよな。


「でも、そうすると猪子槌(コヅチ)を使う薬の値段も当然高くなる。町の人達が必要な時に買えるよう、無闇に報酬を高くすることは出来ないし、割に合わなくても誰かが受けないといけない。採取っていうのはそういう依頼が多いんだ。大事な事だから覚えておけよ。」

「わかった。」

「うん。」


さっきまでとは違う真剣な眼差しの二人の頭にそっと手を載せる。


「それじゃ、最後までしっかり掘ろうか。」

「「はい。」」


ちなみに再開した二人の作業は、当然フィオにも手伝わせた。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

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