結局
孤児院に顔を出した翌日の日暮れ、ギルドの食事処でフィオとの約束を果たしていた。
「で、結局回避出来たのか?」
「…。」
酒杯を傾けながら訊いてくるフィオに沈黙で答える。
「やっぱ駄目だったか。」
「…、ああ。司祭様がとりなしてくれたお陰で四半刻で済んだけどな。」
「おお、その程度で済んで良かったな。」
憐れみの視線を向けていたフィオが、小言が四半刻で済んだと聞いて驚きの表情を見せた。
俺は酒杯の中身を一口飲むと、肩を竦める。
「その代わり、今度、年長組を近場の採取に連れて行けってさ。」
今まで孤児院では、町中にいる事を前提にした内容を中心に教えていたが、今回双子が起こした騒動で、それ以外の危険や注意するべき事を実地で学ばせておいた方が良いだろうという話しになったからだ。
「そういう事な。んじゃ、俺も付き合いますか。」
「最初からそのつもりだったけどな。」
そう言って二人で笑い合ったところに声が掛かる。
「それじゃ、俺たちも付き合ってやるよ。」
声のした方を向くと、ジェミオとアルミーがこちらへ来るところだった。
俺は二人に席を勧めると、追加で酒を注文した。
「いくら近場でも、子供達を連れて行くなら、護衛の人数が多いに越したことは無いだろう?」
椅子に座って落ち着いたところで、アルミーが先程の話を続ける。
「それはそうだけど、いいのか? 依頼じゃないから報酬出ないぞ。」
「解ってるよ。んなこと気にすんな。」
「あくまで手伝いってだけだからな。」
念の為に確認するが、二人は笑ってそう答えた。
俺は素直に甘える事にする。
「それじゃ、頼むよ。実はちょっと心配だったんだ。」
そう言った俺にジェミオがニヤリと笑う。
「ああ、フィオが失敗しないかだろ?」
「討伐じゃなくて、採取だからな。」
アルミーもひとつ頷き同意した。
「な、俺だってそれなりの知識は持ってるからな!」
「そんなこと言うが、お前、採取が苦手だからって討伐依頼ばっか受けてるだろ。」
俺達の言葉にフィオが抗議の声を上げるが、ジェミオが即座に指摘する。
「い、いや、苦手なんじゃなくて、討伐の方が得意なだけだよ。け、剣の鍛練にもなるしな。」
フィオが指摘された内容を否定するが、若干しどろもどろになっていて説得力が欠片もない。
三人で温い眼差しを向けると、むきになって言い訳しようとするフィオに俺達は揃って吹き出した。
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