玄関前で
間借りしている護符屋に着くと、店は閉まったままだった。
まあ時折リュネさんの気のままに休んだりするので、閉まっていても驚くこと無く、渡されている鍵を使う。
中に入ると明かりどころか、人の気配すら無かった。
「あれ、リュネさん出掛けてるのか。」
う~ん、どうするか。
部屋で休むほど疲れてはいないし、リュネさんの外出って何時帰るか分からないからなぁ。
あれこれと考えてみるが、どれもぱっとしない。
ホリーのお小言は憂鬱だがしょうがない。予定より早くなるけど、孤児院に行くか…。
早く行く分、解放されるのも早くなるだろうし…たぶん。
◇ ◇ ◇
暫く後、俺は立ち尽くしていた。
目の前には孤児院の扉があるが、鍵が掛かっている訳でもない。
した筈の覚悟が揺らいでるだけだ。
庭の方から双子達の様子を見て、司教様に無事の報告をして帰ればいいか?
心配かけたのは本当だろうし、やっぱり大人しくお小言を聞いとくか?
そんなことを逡巡していると、突然背後から声を掛けられた。
「ヴェルデの兄ちゃん、扉の前で何してんの?」
「っ、リコル。いや、ちょっと考え事をな…。」
「? 考え事なら中ですればいいじゃん。ほら、入ろうよ。」
「な、ちょっと待てリコル!」
「お~い。ヴェルデの兄ちゃんが帰って来てるぞ~」
リコルは一瞬、不思議そうな顔をしたが、俺の腕を取るとさっさと扉を開け、大声で俺が来ていることを告げた。
少しすると騒ぐ声と、ばたばたと走る足音が聞こえて来て、年下連中が次々に出迎えに現れた。
「あ、ヴェル兄お帰り!」
「本当にヴェル兄だ~。」
「お帰りヴェル兄! お土産は?」
「ヴェル兄だ~ねぇねぇ、聞いて~」
「ちょっと待て、お前ら。そんな一度に言われても、」
足元に纏わりつくようにして、口々に話しかけてくる年下達に囲まれてしまい、落ち着かせようとした時。
「ヴェル!!」
廊下の先から、聞きなれた幼馴染みの声が聞こえた。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




