一番の剣
「神鉱で剣を打つ際に、竜骨を粉にしたものが添加してある。魔力との親和性が最上級の剣だ。」
親父さんは改めて説明してくれた。
神鉱は魔素の濃い場所で稀に取れる金属で、金属自体に魔力を内包しており、武具や魔具の素材に使うと、使う際の魔力が伝わりやすく、効果を増大させる。
竜骨はその名の通り、竜の骨だ。
強靭な体と膨大な魔力を持ち、その知性で魔法をも使う最強の生物と言われる竜。死してもその体には魔力が残り、あらゆる部位が貴重な素材として使われる。
だが俺が聞きたいのはのは素材説明じゃない!!
「いや、ちょっと待ってくれ親父さん。確かに神鉱なんて使ってるなら魔力の通りは最高だろうさ。だが、何でこの剣なんだ!?」
「魔力を通せる一番の剣を望んだのは小僧、お前だろう?」
「…言った…確かに言った。でも俺は『俺が持てる剣で一番の剣』って言ったよな? こんな立派すぎる剣は俺が持つには早すぎるだろう!? 」
驚きすぎて若干混乱しつつも、鞘に納めた剣をカウンターへ戻し、親父さんに言い募る。
「儂の目を疑うのか? お前ならこの剣を使える。剣とお前の魔力が馴染んでいるのが何よりの証拠だ。」
親父さんはそう言って口の端を上げた。
その言葉と表情に、俺は大きく息をついた。
「……はぁ。こんなに驚いたのいつ以来だ? もし使いこなせなくても怒んないでくれよ?」
「馬鹿言うな。儂の目は確かだ。使いこなせなかったらお前の鍛練不足だ。」
気を落ち着けようと冗談めかすと睨まれた。
でも、親父さんが選ぶ剣に間違いは無い…か。
ところでこの剣いくらだ?
良いものがお高いのは世の常識。内心、ブルグの森の奥へ入ることも覚悟しながら、恐る恐る値段を訊いた。
「分かった。この剣を貰うよ、って言いたいんだけど、この剣俺に払える値段?」
「金貨で十五枚。」
「……」
金額を聞いて固まった。
神鉱なんて使ってるんだ、高いのは当然解ってた。というか覚悟しているつもりだった。
でも俺が持てる剣として出されたんだから、もう少し優しい値段を期待した俺は、決して悪くはないはずだ。
…俺の全財産叩いても足りね~よ!!!
「質を落とすか?」
沈黙したまま悩む俺に、親父さんが言った。
そしてリュネさんの言葉を思い出す。
『ヴェル坊、剣を買うなら今手に入れられる最上の物を選びな。』
彼女が言うのはきっとこの剣だ。
であるなら答えは一つだけ。
「親父さん、代金を持ってくるから待っててくれ。」
「払えるのか?」
「足りなければギルドに借りてでも用意する。」
俺の目を見て訊いてくる親父さんに、真っ直ぐに見返して答えた。
「今払える分だけ持ってこい。残りは稼いで払え。」
そう言うと親父さんはカウンターの上の剣を内棚にしまい、背を向け武器の手入れに戻ってしまった。
俺は黙って頭を下げると、代金を用意するため店を出た。
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