報酬は明日
「まあ、お前がどの程度力を増したかは知らんが、ギルドの連中は解ってるから心配するな。」
フィオとのやり取りが一段落したところでリェフがそう言うと、周りにいた皆が口々に同意の言葉をかけてくれた。
「…皆、ありがとう。」
僅かに潤んだ目元を隠すように頭を下げながら感謝を伝えた。
深く深呼吸して落ち着いてから顔を上げるとフィオと目が合う。
「明日はお前の奢りな。」
ニヤリと笑ったフィオが言うが、報酬の催促が明日って何でだ?
「明日?」
「だってお前、今夜は無理だろ?」
俺が疑問に思い聞き返すと、当たり前のようにそう言われた。
帰ったばかりで心配されてるのか?
「いや、体調なら問題ないぞ。」
「そうじゃなくて。ヴェル、お前一通り報告が済んだら行くんだろ? 孤児院に。」
「ああ。ミニスとミオスの元気になった顔も見たいしな……あ、……。」
そうだ、孤児院に顔を出すってことは彼女が居て、ギルドの職員である以上、覚醒の事も当然知ってる訳で。
「今日のホリーの勤務時間ってどうなってる?」
ホリーがギルドにいるうちに顔を出せばと、訊いてみる。
「残念なことに、今日は休みだ。諦めろ。」
「……」
休みってことは絶対に待ってるな。
行くのを明日にすれば…否、駄目だ。そんな事をすれば小言の神は泣いて、怒って、降臨時間が倍増してしまう。
…これは回避不可だな。
「仕方ない、奢りは明日な。」
「かなり心配してたから、一刻は覚悟しておけよ。」
「う…分かった。」
諦めた俺にフィオが止めを刺すと、周りの皆が苦笑を浮かべた。
「それじゃあ、いい加減に報告に上がるか。」
「あんまり遅いとギルド長が痺れを切らして下りてきそうだ。」
ジェミオとアルミーがそう言って移動を促す。
確かに。
あんまり長々と騒いでいると「さっさと報告に来い!」って怒鳴られかねない。
それに早いうちにリュネさんや親父さんにも顔を見せておきたいし、小言にとっとと挑めば少しは早く終わる…はず。
俺は小さな溜め息を吐きながら、二階への階段を上がった。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




